7.03.2024

[film] A Quiet Place: Day One (2024)

6月28日、金曜日の晩、BFI IMAXで見ました。

音をたてたらやられてしまう静かでこわいパニックホラー“A Quiet Place” (2018) ~ “A Quiet Place Part II” (2020)の前日譚で、世界で一番やかましい都会 - NYのマンハッタンを舞台にしている – ここの平均音量は70dBだとか。

監督は最初Jeff Nicholsで動いていたらしいが、途中で“Pig” (2021) のMichael Sarnoskiになって、脚本も彼とJohn Krasinskiの共同。

最初にすごいネタバレをしておくと猫はぶじなので、だいじょうぶ。ひょっとしたら一番がんばって偉くて主人公は猫でよいのかもしれないくらい。

Sam (Lupita Nyong’o)はNY郊外(Queensのほう?)のホスピスに猫のFrodoと暮らす末期ガンを患う詩人で、そこのイベントでチャイナタウンに人形劇を見に行く、というので嫌々参加して見ていたらシアターの外ですごい音がして外に出てみると空から何かが降ってきてあちこちで爆発が起こって人は何かでっかいのに襲われて、音をたてたら襲われるみたいなので(でもその習性がそんなに早くわかるものかしら? 水に弱いのとかも)、そうっと逃げていると戦闘機がマンハッタンにかかる橋を爆破しているので、この島に閉じこめられてしまったらしい - さてどうする?

マンハッタンだけに怪物が落ちてきたのなら封じ込めはわかるけど、あれだけいっぱい落ちてきてるのに橋を爆破した理由がわからなかったかも。やかましいマンハッタンに連中を呼び寄せて囲い込んでやっつけるならわかる(でもそれなら橋は必要だよね?)。

ホスピスの人たちとも逸れてSamの傍にいてくれるのは猫だけ – Part1の赤ん坊より難易度高い - になってしまい、案内でサウスストリート・シーポートから船が出るというので避難民は南に向かうのだが、みんなが一斉に動き出したもんだからそれなりの音が出て、そこに怪物が襲いかかって大パニックになり、でもSamはジャズミュージシャンだった亡父との思い出があるハーレム(北方)に向かう。そこでPatsy’sのピザを食べるのだと。

映画と関係ないし殆どの人にはどうでもいいことかもだけど、Patsy’sのピザとアルグラのサラダは本当においしくて大好きなので、SamがPatsy’sのピザを食べたいんだ、っていうのはよくわかったし、これと猫だけでこの映画はよいことにした。

で、途中で怯えた英国の法学生のEric (Joseph Quinn)と出会って、ふたりで何度かの危機一髪を切り抜けてハーレムにたどり着いて、かつて父が演奏していたジャズクラブに入って、ここから先は書かなくてもよいか。

都市が襲われるディザスター・ホラーとして、時間軸がよくわからない状態でさくさく対応策が練られているのは変だと思ったけど、静けさとぐしゃぐしゃの対比を経て、見ている側がへとへとになる手前でNina Simoneの"Feeling Good"に抜けていくところは悪くないかも、と思ったのと、主人公がこの騒乱を生きよう、生き抜こうとするのではなくひとり死に向かって、死と向き合っているところがよいの。詩人としてひとり静かに死にたい、のに音をたてると嬉々として殺しにくるやつらにその場面をかき乱されるのが忌々しい。

こないだ見た”Hoard” (2023)でも妙な存在感をだしていたJoseph Quinnがよい - 目に涙を浮かべるとことか - のだが、やはりLupita Nyong’oの今にも折れそうで、でも崩れないかんじがすばらしくうまい。

猫のFrodo、柄は同じだけど途中で顔つきが変わった(クレジットみたら2匹だった)ので、一旦逃げたあとで別の猫になったのだと思う。でもどちらもおとなしい猫でよかったね。

音をだしたら寄ってくることがわかっているのなら、轟音なんていくらでも出せる場所なのだからじゃんじゃか鳴らしておびき寄せて一網打尽にできたのでは、と思うのだがそういうのはやらないのね。

次は”Day minus One”で、宇宙であれが発見されて地球にくることになった経緯が陰謀論ふうに語られるのではないだろうか。

空から落ちてきて街中が真っ白の灰まみれになって戦闘機が飛んできて、というのは911のがまだ – 20年過ぎても - 生々しいのでどうだろうか(きついのではないか)、と。 あの日、再びAttackされる可能性があるって、戦闘機がずっと飛んでいたんだよ。

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