1.07.2026

[theatre] Petty Men

12月18日、木曜日の晩、Acola TheatreのStudio2(たぶん小さい方)で見ました。
初めて行ったシアターだったが、これまで何度も通っていたライブ小屋Café OTOの隣なのだった。

殺風景な物置きのようなだだっ広い楽屋 – 萎れた花とか、小さいギターアンプとギター、上には字幕のスクリーンがあって、台詞が流れていく。そこにアンダースタディの二人の俳優がやってきて着替えて支度をする。シェイクスピアの『ジュリアス・シーザー』 (1599)のウェスト・エンド公演で、この日は公演100回めを数えて、そこそこ成功しているらしい。Caesar役は大物俳優(けど嫌なやつ)がやっていて、暗殺者となるBrutusとCassiusのアンダースタディ(控え)のふたり - Brutus (John Chisham)とCassius (Adam Goodbody) - 劇の役名がそのまま - にはまだ出番が来たことはなく、でもスタンバイはしておかなければならない。

ふたりのうち、真面目そうなCassiusは準備体操をしっかりやって、日々やっているらしい台詞の暗唱(Brutusがチャプターかなにかの番号をランダムにいうとその箇所の台詞を機械のように喋る。すごい)をやって、万が一の出番が来た時に備えるのに対して、Brutusの方はぶらぶらつまんねー、というかんじでおもむろにギターをかき鳴らしたり紅茶にウイスキーを入れて飲んだりしている。ふたりの沈黙の合間にはシアターの方の劇の開始を告げるアナウンスが聞こえてきたりする。

待ちながらのぐだぐだをやりすごしていって、決して出番はやってこない – その時間のありようは『ゴドーを待ちながら』のようでもあり、シーザー暗殺のタイミングをねらう元の劇そのもののようでもある。

そのうちシアターの方からなにかざわざわ聞こえてきて、どうやらCassius役の人が倒れてしまったらしく、シアターからも指名が入る。ついにこの時が来たか、とCassiusは出番が来たスポーツ選手のように出ていくのだが…

こんなバックステージのありふれた光景を描いて、それでも/だから芝居はすばらしい!ってやるのではなく、なんかしょうもない時間とリソースの無駄で変すぎる… みたいな目線がおもしろいと思った。

Cassius役のAdam Goodbodyが設立したBuzz Studioの最初の公演で、脚本はJohn Chisham, Júlia Levai, Adam Goodbodyの共同、演出はJúlia Levai。本作はAdam Goodbodyの叔母、RSC初の女性演出家でStratford-upon-AvonにThe Other Placeというシアターを立ちあげてフリンジや実験演劇の先駆けをつくり - Patrick StewartもCharles Danceもここから出てきた - イギリス演劇界の性差別とも戦ったBuzz Goodbody (1946-1975)に捧げられている。


The Importance of Being Earnest

12月31日、水曜日のマチネ(これが2025年の終わり公演)をNoël Coward Theatreで見ました。

2024年の終わりにNational TheatreでやっていたMax Webster演出によるプロダクションを、キャストの一部を変え - Algernon役がNcuti GatwaからOlly Alexanderに、Lady BracknellをStephen Fry(え?)が演じている。

舞台はNational Theatreの時より幅も奥行きもやや狭くなって、その分全体のちゃきちゃきしたやかましさ、かしましさは増大したかんじで、そこにOlly Alexanderのおきゃんな魅力が炸裂して楽しくて、でもその上に鯨のようにばしゃーんて覆いかぶさってくるStephen Fryがぜんぶ持っていくような。 前のバージョンの舞台は華麗でゴージャスで貴族ぽいチャームに溢れていたが、こんどのは下町喜劇のごちゃごちゃが前面に出ていてたまんない。”Earnest”というただの名前をめぐるGwendolen (Kitty Hawthorne)とCecily (Jessica Whitehurst)のばちばちの掛け合いもたまらなくおかしいし。

Oscar Wildeぽさ、でいうと前のプロダクションの方なのかもしれないが、これもありなのでは、って垂れ流される下世話なかんじもよくて、でもどっちもおもしろいから。

日本人だったら誰もがマツコ・デラックスを思い浮かべるに違いないStephen Fryは、現れるだけで歓声が湧いてくる貫禄で楽しくて、前に”All My Son”を見終わってシアターを出たら、隣のシアターで終演後に外で待っていたファンと一緒に写真を撮ったり楽しそうにわいわいしてて、よい人なんだなー、と思った。

これもNTLにして、2本を一気にみて舞台のピンクに染まってみたい。

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