1月22日、木曜日の晩、WalthamstowのSoho Theatre – 昨年11月にJohn C. Reillyを見たとこ - で見ました。
Natalie PalamidesはLAをベースとするコメディ女優で、2017年にEdinburgh Comedy Awardsの最優秀新人賞を、2018年のひとり芝居”Nate”はEdinburgh Fringe FestivalのTotal Theatre Awardを受賞して、Netflixでも配信されたそう。
この”WEER”は、2024年のEdinburgh Fringeで上演され、A24が買い取って話題になったNYのオフ・ブロードウェイのシアター - Cherry Lane Theatreのこけら落としとしても上演された。 90’sの"one-woman romcom"ということで、このテーマなら行かないと、ってチケットを取っつ見に行ったのだが、すさまじかった。怒涛としか言いようのない90分で、終わった直後の嵐のようなスタンディングオベーションは当然かも。
会場に着くと、90’sの半端なラブソングが次々と流れていって、これだけで背筋に何かが走る。Backstreet BoysとかSpice Girlsはあたりまえ、曲名もアーティスト名もすぐには出てこないが、しょうもないPVの断片がチラついてくる方が気になって、そういうのが止まらない。舞台の奥にはチープな「1999」の板といろんな仕掛けらしきガラクタなどが散らばっている。
彼女がふたり分を演じるひとり芝居で、舞台の右手を向いている彼女の右半分は無精ひげ(口の周りをダークに塗ってる)でファッションに興味ないことがわかるチェックのシャツを着てすこしダミ声で何言っているかあまりよくわからないMarkになり、舞台の左手を向いている彼女の左半分は90’sのピンクのドレスを着たちゃきちゃきのChristinaになる。こうやってひとりコマのようにくるくる回転・反転して声を演じ分けながら90分もたせるのか、もつのか? と最初は思うのだが、これで激しい喧嘩も激しいキスもセックスもなんでもこなしてしまう。うまいとかそういうことではなくて - 腕の使い方とかよく考えたなーって思うけど、言葉にできないままエモの奔流できりきりとぶっ壊れていくカップルのじたばたや修羅場の混沌を見事に表現してしまう。
大筋は前世紀のおわり、1999年のカウントダウンを前にパーティで外出しようとしているMarkとChristinaが、彼が浮気したしない別れる別れないで喧嘩になって、でもとにかく車で外に出てみたら飛びだしてきた鹿(タイトルはDEERをもじったもの。はりぼてだけど実物大くらいの鹿)にぶつかって瀕死の重傷を負って、そしたら“1999”の右端の9がひっくり返って”1996”になり、ふたりが出会った頃からの走馬灯が回りはじめるの。
Natalieはブロードウェイで”The Notebook” - 『きみに読む物語』の舞台の雨の中のキスを見て、熱く愛しあっているふたりはどうしていつもあれこれ苦難や辛苦に見舞われて大変なことになるのか、っていう辺りからこれを思いついたらしいのだが、確かに90’sのrom-comって滑稽なほど、いろんな災難が降りかかってふたりの愛を壊したり試したりしにくるところがある。それをこれも典型的なGen Xのキャラクター設定 – ガサツですぐ熱くなるけど根は憎めない男、と過剰な思いこみであっという間に沸点に達する女、の組合せ、その切り返しのなかで描くとどうなるのか。 そんなキャラクター(の組合せ)が嵐を呼ぶのか、社会の荒波が彼らをあんなふうにしたのかしらんが、ひとこと愛してるって、ストレートに言ってキスしてハグして終わり、になる程度のことを延々遠回りして周囲を巻きこんで出口なしで繰り返していて懲りない(のはなんで?)。
客席にもちょこちょこ下りてきて浮気相手の役をやらせたり、ステージにあげて踊らせたり、右手の水溜はシャワーになったり土砂降りになったり、直立したベッドでやることなんて決まっているし、舞台でやってはいけない/でもやっちゃいそうなことはだいたい網羅して、終わりのほうはほぼパンツ一丁、右左で色模様の異なる変な動物になっていたような。 あんなこと毎日やっていて体はもつのだろうか、とか。公演が終わった後のステージ上にあれこれぶちまけられた惨状ときたらものすごいし。
90年代がどう、とかY2Kが、とか知らなくても十分に笑って楽しめる(というかこの人、1990年生まれって…)。
ただこんなふうな爆発の繰り返しのなかで見ると、改めてあの頃ってなんだったのか、になるねえ。
SohoにあるSoho Theatreでも女性(コメディアン?)によるひとり芝居、結構見たのだが、どれもみんなよく考えて練られていてすごいなー、になる。みんなどうやって思いついたり構成したりするのだろうか。
1.26.2026
[theatre] Natalie Palamides: WEER
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