1.16.2026

[film] Hamnet (2025)

1月7日、水曜日の晩、Curzon Bloomsburyで見ました。

イギリスでの本公開日は1月9日、旅に出る予定だったので、あーあになっていたが出発の前夜にPreviewをやってくれた。
LFFでいくらがんばってもチケット取れなかった1本、でもある。

監督はChloé Zhao、原作はMaggie O’Farrellの2020年の同名小説、脚本はChloé ZhaoとMaggie O’Farrellの共同。音楽はMax Richter、撮影は”Ida” (2013)などを撮ったポーランドのLukasz Zal。ProducerにはSteven SpielbergやSam Mendesらの名前がある。

最初に”Hamnet” - ”Hamlet”という名前には互換性がある、という字幕がでる。William Shakespeareの息子Hamnetは1596年に11歳で亡くなり、Shakespeareの悲劇”Hamlet”は1599年から1601年にかけて書かれた。彼の息子の死と彼の代表作となる悲劇の間には関連があったのではないか、という想定に基づいて書かれたドラマで、あくまで想定なので学術的にどう、とかリンクや謎を明らかにしていくような話ではない。両者の間に関係はあったのかなかったのか、は横に置いて、悲劇”Hamlet”上演の背後には、William Shakespeare (Paul Mescal)と妻Agnes (Jessie Buckley)の間にはどんなドラマがあったのか、を描いてみる。ここでももちろん、ふたりの人物像、その造型は、ふたりの女性による創作である。

最初はStratford-upon-Avonの森の奥で鷹を操ってジブリのアニメの主人公のようにノラに自由奔放に生きているAgnesの姿が描かれて、その姿を見たWilliamは魅了されて近づいていく。彼は粗暴な父親(David Wilmot)の虐待とやはり強い母Mary (Emily Watson)に囲まれて家業の手袋作りをやらされていて、Agnesの鷹匠用の手袋を新しいのにしてあげるところから扉を叩いて、野生の彼女と一緒になる。

やがてAgnesは森の中で長女Susannaを出産し、続いて屋内で、難産の末に双子JudithとHamnetを出産し、演劇の仕事が当たり始めたWilliamはロンドンでの仕事が多くなるがStratford-upon-Avonに大きな家(New Place)を持つこともできて、幸せが見え始めたころ、Agnesの鷹が亡くなり、双子にペストの病が…

Judithが危篤と聞いてロンドンから馬で駆けつけたWilliamはJudithの姿を見て安堵するが、Hamnetが... 悲嘆の後、あっさり慌しくロンドンに戻ってしまったWilliamにAgnesは激怒するが、ロンドンで上演される彼の新しい芝居のチラシ – “Hamlet”を見た彼女は、弟Bartholomew (Joe Alwyn)を連れてロンドンに行ってみる。

最初の方は森のおとぎ話のように、Chloé Zhaoの過去作のように社会の柵から離れて自由に生きようとする人々を描いて謎めいていて、結婚して家族ができたところで、その幸せがあっけなく崩れ落ちて、どうして? なぜ彼が? というとてつもないエモの渦に飲みこまれる。向こう側に行ってしまうのがなぜ自分ではなく、彼なのか?亡くなるべきなのは彼ではないはず、という強い思いが劇作のHamlet”をあんなふうにした – という解釈の是非すらなぎ倒して、父は真剣に息子を蘇らせようとする。

最後のグローブ座のシーンは、ものすごく臭くなってしまう可能性もあったがぎりぎりでそうなっていない気がした。舞台の上で甦る、鏡の向こう側に転生する生を見あげるAgnesの姿は宗教画のようで、”Eternal”のようでもあった。ここでのJessie BuckleyとPaul Mescalは視線も会話も交わさないけど、彼らの演技はやっぱりすごい。物語というより俳優の映画だと思った。

Stratford-upon-Avonもグローブ座も、Shakespeareの劇も、ここ1年ずっと追いかけるように触れてきたもので、でもそういうのとは切り離して見ないと、と思っても、やっぱりこれはShakespeareのお話しなのだと思ってしまうと、この映画での彼とあれだけのいろんななんでもありの劇たちを書き散らかしていった彼とがあまりうまく繋がらなくて、もう少し勉強しようか、って思った。

後日談というかこれに続く劇、Williamと舞台でHamletを演じた彼(Noah Jupe)が恋仲になってしまってAgnesを含めて周辺パニック、というコメディはどうだろうか?

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