1月3日、土曜日、日帰りでパリに行ってきたのでその備忘。
前回の日帰りが11月の終わりだったので、ほうら言わんこっちゃない、なのだがいつでもどこでも見逃しは常にあるし、寒くて動けなくなったりしたし、新年に行くのって縁起よいのかもしれないし(そんなことはない)。
1925-2025. Cent ans d’Art déco @ Musée des Arts Décoratifs
パリ装飾美術館での、1925年に開かれたパリ万博(アール・デコ博覧会とも呼ばれた)の100年を記念して1910年頃から1925年頃までの約1000点を並べた総括的な展示。アール・デコなんて結局金持ちの道楽~大衆化に向かう堕落じゃん、って、この時代のアートについて自分が見てきたのは別の、どちらかというと反対の方角のものだったのだが、そんなにきれいにジャンルとして切れるものではないし、背後に金持ちがいないアートなんてないしで、まずは見てみようかと。
個々の作家やブランド(カルチェ等)に特化していろんな側面を見せていく、というのもあるが、これらがどれだけ現代のデザインや意匠の原型や型紙のようなものを100年に渡って提供〜再生産してきたか、その艶でてかてかじっとりとした工芸のパワーを圧倒的な物量で見せつけてくるものだった。貧乏な田舎者としては、どの部屋に行っても、コーナーに寄っても、ひぇぇーしか出てこない燦然とした輝きとその迫力。その究極が展示の終わり、地上階にあったオリエント急行の客車内部の再現だろうか。これと比べたら今の飛行機のファーストクラスなんて厩でしかない、くらいの細部へのこだわりとそれが地点Aから地点Bへの列車の移動の間にだけ現れて、今はもう(まだあるのかな?) というまさに夢のような。 全体の図録は買わなかったけど、オリエント急行の冊子だけ買ってしまった。
Paul Poiret, la mode est une fête
ファッション・デザイナーPaul Poiret (1879-1944)の企画展示 - 「ファッションは饗宴である」。
コルセットを解放し、ファッション業界の近代化、ブランドを持つファッション・デザイナーとして家具から香水まであれこれど派手に(いまから見れば十分地味だけど)手掛けたマルチ・アーティストとしての側面を強調した総合的な展示で、おじさんなんでもやってきたのね、という印象が強い。沢山の彼の肖像画、彼自身の絵画などは御愛嬌。
Georges de La Tour - Entre ombre et lumière @ Musée Jacquemart-André
フレンチ・バロックの画家Georges de La Tour(1593-1652)の企画展で、ふだんあまり見れない(何かの企画展で、ひとつ出ていたりすると嬉しい)作家なので、ふつうにうれしい、けどめちゃくちゃ混んでいた。蝋燭の光が、どんなふうに聖と俗+その他を光と影のなかに対置するのか – 光は影ではないということ、特にその白め淡めの蠟燭の光が、何を照らして浮かびあがらせるのか - その何かが浮かびあがる様がそのまま絵となり、絵を描くこと、見ることの根源にある何か – 映画でも同じかも – の驚異が迫ってくるようで、それはなぜ我々は光を必要としてきた/いるのか、というところまで向かうようだった。我々の目をそのシンプルさによって光のもつ柔らかさに導くというか。絵を見るとき、闇や暗い影のところに何がいるのか、を見てしまいがちだが、それとは逆の方に目を向かわせる力があるというか。
いま丁度ロンドンのNational Galleryで”Wright of Derby: From the Shadows”という小企画展をやっていて、イギリスの画家Joseph Wright of Derby (1734-1797)のこれも光と影をどう描いたのか、を見せていて、場所も時代もジャンルもぜんぜん違うのだが、比べてみるとおもしろい。産業革命期の光と闇が作りだす劇画のように太くて力強いドラマ性 - 光があることで安堵する、というより光に照らされ浮かびあがったものを畏怖する、それらが宗教とは別のパワーやドラマによって強いられる - これってde La Tourの頃にはなかったやつかも。
Rick Owens, Temple of Love @ Palais Galliera
Rick Owens (1961- )の回顧展、というよりは”Temple of Love”というテーマに沿って彼のデザインしたファッションが祭壇上にずらっと並べられて神々しく、でもゴスというほど漆黒でグロくもなく、グレイにそびえ立つ像はなかなかかっこよい。服以外だとIggy Pop、Klaus Nomi、David Bowieのレコードジャケットがトリオで並んでいて(Iggy Popは”The Idiot”のレコードを売店で売ってた)、彼の本棚まで展示されているのだが、そこまでやるとわかりやすくなりすぎてつまんなかったかも。
Tisser, broder, sublimer. Les savoir-faire de la mode
同じPalais Gallieraでやっていた、英訳すると”Weaving, Embroidering, Embellishing, The Crafts and Trades of Fashion” - 『織り、刺繍、装飾、ファッションの工芸と交易』。
18世紀から現代までのファッション史をクラフト - 工芸のテーマ、技術・技法の観点から因数分解して振り返ってみよう、という展示で、完成された服や装飾品も並んでいるが、それらがそうなっていく過程や経緯がわかる、イメージできる形に並べてあり、これらはみんなパリがThe Crafts and Tradesの集積地であったから浮かびあがった何か、なのだろうか。
自分がこういう技術に触れただけですべてを一瞬で破壊してしまう不器用の鬼だからか、こういう世界には憧れしかなくて、釘付け頻度がすごくて、いようと思えば3時間くらいいられたかも。職人の技、すごいんだから、みたいな展示にしていないところが却って凄みを感じさせたり。
この後はGaleries Lafayetteに行ってクリスマスの飾りを見て、食材売り場で悩んで、でも買うのはやめて、いつものLa Grande Épicerie de Parisに移動して、チェリーとかイチジクとかお菓子いろいろと、帰りの電車で食べるバゲットサンドなどを買って帰った。
あーあと何回行けるだろうかー。
1.13.2026
[log] Paris - Jan.03 2026
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