1.28.2026

[theatre] Dante or Die: I Do

1月23日、金曜日の晩、Malmaisson Hotelで見ました。

演劇で、主催はBarbican、劇団名がDante or Die(英国の劇団)、会場はBarbicanの裏手にあるシティーホテル。金曜日は18:15の回と20:45の回の上演があって、見たのは20:45の回。

制作はDaphna Attias + Terry O’Donovan、脚本はChloë Moss、演出はDaphna Attias、初演は2013年で、今回のロンドン公演の後は、ReadingやManchesterの同じホテルチェーンをツアーしていくらしい。

最初はどういうものかよくわからなかったのだが、ホテル(通常営業もしている)のロビーにある受付にいくと、色分けされたバラの造花一輪(自分はRoyal Blueだった)を渡されて、その色別グループの担当ガイドの人がいるグループに合流する。会場(部屋)が狭いので荷物やコートはクロークに預ける。

そうやってグループ分けされた全6組(かな?)は、ガイドの案内に従ってロビーのひとつ上の階の6つの部屋のそれぞれで展開される15分くらいのドラマを見て、次の部屋(のエピソード)に移って、を繰り返していく。部屋に入ったら演者の演技の邪魔にならない限りはどこに立ってもベッドに座ってもよいし、ドラマの進行を妨げないようにちょこちょこ自分の居場所を変える必要もあったり。全体のストーリー(的なもの)はどの部屋のどのエピソードから見てもわかるようになっている(プレイテキストを買ったら、付箋で自分の見る順番をタグしてくれた)。

Georgie (Carla Langley)とTunde (Dauda Ladejobi)の結婚式当日、式が始まる15分くらい前の各部屋の混乱や狂騒やじたばたを観客は目の当たりにしていく。見ていく順番は組によって違うが、各部屋(の演者)は式の15分前に時間を正確に合わせる必要がある(部屋の外で聞こえる掃除機や誰かの叫び声も含めタイミングは計算されている)ので、ガイドの人が部屋をノックしてそこに入るときはせーの、で全てのグループが同期をとる。終わると観客は誘導されて避難訓練や健康診断のように次の部屋の前 - ホテルの廊下に一列に並んで次のエピソードが用意されるのを待つの。

最初の部屋に入ると、半裸の老人(男)(Geof Atwell) が車椅子に座っていて、体が不自由で言葉も喋れないようなのだが、彼に服を着せたり薬を飲ませたりしている妻と思われる女性や慌しく出入りする親族らしき人の発言から彼は花嫁の祖父であるらしいことがわかる。でも彼は終始ほぼ動かず表情も変えられず、その様子を見てケアをする女性は涙ぐんでしまったり。 これも光景としてはありそうだしわかるし。

次の部屋は、洗面所の化粧台のところでベストマン(Manish Gandhi)が鏡を見ながらスピーチの練習をしていて、このエピソードはどうかな? って花婿のほうに電話でお伺いをたてると「それはなし」とか素っ気ない返事が返ってきたり、着替えをしていると列席者でゲイの恋人らしき男が現れてキスしたり、緊張とテンションでぐしゃぐしゃになっていく。

次の部屋は、入ると電話がじゃんじゃん鳴るなか花婿がパンツ一枚で天井をぼーっと眺めていて… こんなふうに部屋の散らかりよう、人物の表情と動き、部屋に駆けこんでくる人々の様子を見ただけで、そして残された時間が15分しかないことで、そういうことね… ってどんな事態になっているのかは想像・把握できる。他には昔に別れて招待されていない花嫁の実父が元妻と娘にこっそり会いに来ていたり。

ホテルは四つ星、モダンで小ぎれいなのだが、ロンドンなので部屋によってはとても小さくて、そこに10人くらいの観客が入るので結構ぱんぱんで、俳優の演技とか彼らが見ているスマホの画面まで含めてものすごく間近で見ることになるし、式の開始までに残された時間を思うと修羅場の真っ只中に居合わせていることになる、その臨場感と緊迫感はなかなかすごい。各エピソードの終わり近くには”Trainee”の名札をつけた清掃員らしき女性が現れて”Sea of Love”を小さな音で流しながら少し片づけなどをして、エピソードの合間 - 客が廊下に出ている間の彼女は時間を巻き戻すべく逆の動きをして、”Sea of Love”も逆回転で流れたり、いろいろ細かく作りこんである。

結婚式手前のこの場、この時間に他人の不幸を願ったり幸せを呪ったりする者はいない。”I Do”の一言を言う/聞くためにそこにいる誰もが自分のやり方で目の前の幸せを掴もう、掴んでもらおうとしている10数分間、だからこそこれだけのドラマが生まれて、うまくいっていない場合にはどうにか収まる兆しとか意思を見せる、その微細な瞬間を掴まえるのって、こうでもしないと難しいのかも。

そして俳優の人たちも、一回の上演で、同じ演技のセットを6回繰り返すことになるので、大変よね。
客も廊下に出て並んで入って、緊迫のドラマを見て、を繰り返すので結構疲れて、自分の回では客のひとりのひとが廊下で倒れて一時期的に全員ロビーに戻されたり、があった。(これも仕込み? って誰かが言っていたが違った)

エンディングはというと、式そのものをクライマックスとして見せてハッピーな方にはもっていかず、混沌のままで放置して解散となるのも素敵。あの登場人物たちが、それぞれの部屋で、幽霊のようにずっとああしている絵を想像したりもした。

終わって外に出たら23時を過ぎていて、うー、ってなった。


これを見る前はBFI SouthbankのDavid Lynch特集で、彼の初期の短編作品6本を見ていた。(だから疲れたのか?)
一番古いのは”Six Men Getting Sick” (1967)で、これらのって、NINと一緒にやっていた” Came Back Haunted” (2013)のテイストに近いなー、って。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。