今回の日本滞在は何度も書いたり叫んだりしたようにぜんぜん楽しくないものになったのだが、生まれて初めて入院(一泊だけど)したり、全身麻酔をしたり(されたり、か)、いろいろあったので備忘として書いておきたい。不愉快に感じられる方もいると思うので、申し訳ありませんがそうなったら読まないで。
これが「手術」と呼ばれるようなものなのか、「検査入院」と言われたのでただの「検査」なのかも知れず、もし「手術」なのだとしたらそれも生まれて初めて、になる。 そんなのそれがどうした、ではあるが。
土曜日の午前に病院に行って手続きをして、連帯保証人について確認されたのでそんな人おりません、と言ったら替わりにごっそり保証金を取られる - 後で引かれて返ってきたけど。
入院する部屋に連れていかれてしばらく放置され、部屋にひとりにされるのは喜ばしいことのはずなのに、病室にこうして放っておかれると、みんな忙しいんだろうな、とか、手続きに誤りがあったのでは、と不安でそわそわしてくる不思議。 刑務所でもこんなかんじになるのかしら?
そのうち手術の準備をします - 「手術」って言った! 手術なんだわ…. と着替えさせられ、点滴(これは何度かやったことある)の管に繋ぐべく、結構長めの針をぶっ刺そうと右左の腕をとんとん始めるのだが、よい場所が見つからないらしく看護の方がもうひとり来て、左の手首の近くに刺してみたもののなんかはずれた、とかで引っこぬかれて改めてその近くに刺し直される。割と泣きたくなる痛さだったがこんな入り口の手前で泣いてはいけない。
予定していた時間から1時間くらい早まりましたので行きましょう、と言われ、こころのじゅんびが.. なんて恥ずかしくて言えない状態でベッドごとがらがら運びだされ、いろんな計器類で沸きたっている部屋に入れられて、ああきっとこのままなんか改造されちゃうんだわ、って10分後に計器ケーブルをずたずたに破壊しつくす絵とか… 浮かぶわけない。
さて、実はこれまで失神というのも経験したことがなくて、他からの力によって意識を落とされる、というのがどんなものなのかを知る、よい機会だとは思っていて、でも口に軽めのカップみたいのを被せられ、はい始めまーす、と言われ頭のなかで、1. 2. 3. 4. 5.. くらいまでカウントしたあたりで、視覚でいうと右左上くらいから立ちのぼって下りてくる何かを感じる、と思ったら落ちた。落ちた、ということすら思い起こせず。
次に気づいたのは「終わりましたよー 起きてくださーい」という声で、目覚めのぼけぼけとは明らかに違うケミカルな靄が目の前に広がっていて、この状態で病室まで運ばれたのだが、去り際の手術室の揺れとか流れていく天井のうねりとか、ああこれが医療ドラマとかでよく見るあの映像なんだわ、って。
部屋に戻り、魚市場の魚としてひと通りのチェックを施されて、問題なさそうですがどうでしょう? と問われたので痛いです、と本当に痛かったので訴えると、じゃあ痛み止めしておきましょうかね、ってホコリを払うみたいに坐薬をぽんっ!て突っ込むとさーっといなくなられて、こっちも眠りに落ちた。
そうやって起きたら晩ご飯の時間で、なんだか普通にハッシュドビーフなどを食べることができてしまい、夜中はいろいろあったものの、朝ご飯も - 普段は食べれないのに - フルの洋食ブレックファーストなどを食べることができて、血圧だのなんだのも正常で、午前中にあっさり退院できて、そんなの病院からすれば当たり前なのかもしれないが、組織をちょきちょき切り取られて血も結構でてしんどかったのにこんなふつうに歩いて活動できるものなのか、って残念に(思うな)。
そんなしょうもない感想よか、そもそも総合病院というのはそういうものなのだろうが、ものすごい数のスタッフや機械が24時間ずっとフルで稼働してて、それらのリソースをすべての人が生き延びられるように、って使って、使えるように配備していて、その歴史と世界規模の蓄積でここまでのものができあがったのだ、というスケールを少しでも実感してしまうと、ガザでの病院への爆撃がどれだけ酷いことであったか、とか、高齢者は自らお引取りをなんて、そんな考えがどうしてありうるのだろうか、とか。
少なくとも、病院と学校は効率化を追求してどうにかなる領域ではないよねえ、とか少し考える。全方位からのケアって、指標などで定量化して比較評価できる部分なんてほんの一部なのだ、って改めて実感した。健康であるに越したことはないのだろうが、こういう議論ができる土壌 - 哲学と想像力、広義の人文学を養える場が、恣意的・政治的にであろうが - 奪われている。それは本当に恐ろしいこと。
検査の結果は見込みどおりのバツで、3月にまた戻ってくること - こんどは正真正銘の手術だよ - になってしまったのだった。 あーあー。
1.25.2025
[log] January 26 2025
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