12月26日から27日にかけて(のはずだったが戻ってこれたのは28日)、ウィーンに行ってきた。以下、簡単な備忘。
Rembrandt – Hoogstraten: Colour and Illusion
着いて、ホテルに荷物を置いてからKunsthistorischesMuseum Vienna(美術史美術館)に向かって、まずこれを見ることは決めていた。
Rembrandt van Rijn (1606-1669)と弟子のSamuel van Hoogstraten (1627-1678)のふたりの画家(当然、Rembrandt多め)が何を目指そうとしていたか、等についての美術史観点での考察。
2019年、アムステルダムのThe RijksmuseumでRembrandtの全版画展があった時に見に行った辺りかその前から展示の中にRembrandtの名前があればとりあえず、なんとなく見ようか、になっている。
サブタイトルに”Colour and Illusion”とあるように、色が微細できれいで写実性の高い – 騙し絵のように見えるくらい精巧な作品たちを世界中から集めてきていて(見たことあるのも結構あった)、それがRembrandt個人の才能による、というよりは工房のなかでもきちんと受け継がれる手法のような何かとして確立され伝授されていたのだ、というのがHoogstratenの作品から窺うことができる。描かれた人が絵画のフレームに手をかけている、絵のなかの木枠が実際の額縁に引き延ばされていて、絵画に描かれたものとこちらの見ている、見ようとする世界と連なっているようなイメージの見せ方。
あと、Rembrandtの宗教画に現れる聖性、とシンプルに呼びたくなる光の美しさ、あれはいったい何なのか。あの光の籠ったような眩さって彼独特のものだと思う。
美術史美術館は常設もほんとにすばらしくておもしろくて、ギリシャ彫刻のとこも含めて久々にぐるぐるだらだら回って見てまわる。
Medardo Rosso: Inventing Modern Sculpture @ museum moderner kunst stiftung ludwig wien (mumok)
美術史美術館の前の通りの向こう側にポスターがあって、おもしろそうだったので入ってみたら当たった。
イタリア系フランス人の彫刻家 - Medardo Rosso(1858-1928)のレトロスペクティブ。
同時代のロダンの滑っていく滑らかさとは別の、崩れて溶けていく、或いは固化していくような近代の身体や顔相を更に溶かそうとしたのか固めようとしたのか。
彼の作品と共に、ドガやブランクーシ、ジャコメッティ、モランディ、ベーコンなどなどの二次元作品も並べて、なんだか知らないうちに身体や顔が瓦解融解して、手の施しようがなくなっていくさまをいろんな角度から写真も含めて並べていって、彫刻における美とは何で、いかにしてありうるのか、を強く、何度でも問う。
今年、圧巻だったルーブルの展覧会 - ”Torlonia Collection”の、あの漲るかんじからここまで来る、来れてしまうものなのかー - 同じ固体でも塊りでも - って。
カタログ、分厚かったので諦めてしまったのだが、買っておけばよかった…
Alfred Kubin @ Albertina modern
27日の朝一に美術館の前に行って、見た。
今回は、Rembrandt展とこれがあったのでウィーンに来ることにしたの。高校くらいのとき、Slapp HappyのPeter BlegvadがAlfred Kubin (1877-1959)からの影響を切々と語っているのをどこかで読んで、画集があれば手に入れたりしてきたのだが、大きめの規模の展示でようやくじっくり見ることができた。いろんな頭のなかの、捩れた肉の奥の、実際の地獄、チャコールの、砂の地続き、で決してその動きを停めることも完結することもない呪いや懺悔の歌とか像とか。
絵の合間に彼自身の言葉などが貼ってある。
- Maybe this is what life is: a dream and a fear.
彼のだけじゃなくて次のようなムンクの言葉も。
- My path has led along an abyss, a bottomless depth. I have been forced to jump from stone to stone. The fear of life has accompanied me for as long as I can remember
Edvard Munch (1863-1944) はやはり近いのかも。
カタログは売り切れていて悲しかったのだが、翌々日、ブリュッセルの書店Tropismesに行ったらあった。
Listening to Love with Schönberg
Kubinを見たらSchönbergも、ということで近くにあったArnold Schönberg Centre も行ってみる。年末だからかもう誰もいない暗いオフィスビルのようなとこの2階で、人も殆どいない状態だったが、かれの描いた絵画作品や、ブーレーズやラトルが彼の曲を指揮するビデオを見たりしてちょっと休む。
Modernではない方のAlbertinaでは、Robert Longo, Jim Dine, Chagall、あとは常設も。Chagallは、前にCentre Pompidouで見たときより、ちょっと感動したかも。動物たちがより迫ってきた。
他には”Before Sunrise” (1995) にでてきた Kleines Caféでお茶をしてお菓子を食べる。 すんごくよい雰囲気の茶店。
最後にはやはり食材屋に、ということでJulius Meinl am Grabenに向かって少しだけ食べものを買い、Demelでどうしようか、ってやっているところにロンドン行きの飛行機キャンセル、の報がきてBAと徒労まみれのぐだぐだ交渉にー。
1.05.2025
[log] Vienna Dec 26-27
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