1月8日、水曜日の晩、BFI Southbankで見ました。
“Projecting the Archive”っていう上映される機会のあまりなかった映画をアーカイブから拾いあげてフィルム上映で紹介していく試み。 特集上映でも映画祭でも取りあげられる機会のない映画って、実はものすごく沢山あると思うので、こういうのは嬉しいし、実際毎回売切れたりしているし。
タイトル、なんかフィッシュマンズの曲みたいかも、と思ったのだが『ナイトクルージング』と『バックビートにのっかって』を勝手に混ぜていたことに後で気づく。
“Brit Noir”と呼ばれる、戦中~戦後の混沌期 – 街は瓦礫の山、復員兵で溢れてぐじゃぐじゃのなんでも起こりうる -にあった英国の都市部で人々の闇(&社会)や犯罪、その背後にある狂気をあぶりだす米国ノワールの亜種のようなジャンルがあって - 前回このシリーズで見た”The Brighton Strangler” (1945)もそうだったかも - そこでキャリアは短かったものの英国産Vampとして強烈な印象を残した女優Christine Nordenの生誕100周年を記念して、彼女のフィルムデビュー作を上映する、と。
監督はHarold Huth、制作はAlexander KordaのLondon Films – だけど、Kordaは本作のリリースに結構難色を示していたらしい(なんかわかる)。あと、やはり日本では公開されていないみたい。
戦争を終えてロンドンに還ってきた復員兵で親友同士のAndy (Ronald Howard)とDon (Hector Ross)は喧嘩っ早くて威勢がよくて、警察官になるべく揃って警察学校に入って、DonはAndyの姉でかつて恋人だったJulie (Anne Crawford)と再会するのだが、彼女はSohoのナイトクラブを仕切るギャングのFelix (Maxwell Reed)に囲われていてうそー、ってなってFelixを睨んでぎりぎりしつつ近づいて対立を深めていくのと、Andyはやがて登場するFelixのナイトクラブで歌うブロンドのJackie (Christine Norden)に惚れてしまい、そしたら彼女もまたFelixに囲われていて、そのうちFelixとJulieが結婚することになると…
親友ふたりのどちら側にとっても、Felixの奴はうざいな、邪魔だな、になっていくのでふたりで団結して片づけてしまえばー、になるのだがやっぱりJulieを悲しませることになるし、Jackieの圧もすごいし、そうしているうちに思いもよらない方向に転がって、Andyが殺人の容疑で追われることになったりする。 この辺の展開は結構強引なのだが、登場人物の重ね方やひとりひとりの線の太さで、これってあってもおかしくないかも、になるとあれよあれよ、で気づいてみれば結末はノワールのなすすべもなし – 目が覚めて、あれはなんだったんだろう.. になっていたりする。
ノワールで言われるところの闇とか非情さが、アメリカのそれほど、狂って箍の外れたアナーキーななにかによってドライブされていない、よりかっちりしたマナーとか登場人物たちの境遇の枠で説明できてみんなが納得できる地点にもっていこうとするところがあるような、そういう点では日本のやくざ映画のそれに近いかも、と思った。あ、けど、やっぱり「仁義」とかそういうのはないから、違うか.. でも、FelixみたいのもJackieみたいのもああいうクラブも、夜のロンドンにいたりあったりしたかんじはすごくわかる。今のロンドンでもたまにそれらしいのを見かける。街からパブがなくならないように、ああいうのもなくなるとは思えないしー。
やはり強烈なのは(主役でもないのに一番像として残る)Jackieを演じたChristine Nordenで、IMDbには”Britain first notorious post-war sex siren in films”とあって、なるほどー、なのだが今だとこういう枠で括られるひとっていたりする?とか。 実際の彼女はBFIにもよく足を運んでくれるとても素敵な女性だったそうな。
1.16.2025
[film] Nightbeat (1948)
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