1.09.2025

[film] We Live in Time (2024)

1月2日、木曜日の午後、Picturehouse Centralで見ました。

これまでの慣習で、新年最初の1本は昔の映画を見ることにしていて、だから1月1日はBFI Southbankで過ごしたのだが、2日は新作を見ようと思って、でも新作の一本目が”Nosferatu”(2024)なのはなんか嫌かも、だったので、その前にこれを無理やり突っこんだ。なのでこれが今年最初に見た新作映画となる。

監督は”Brooklyn” (2015), “The Goldfinch” (2019)のJohn Crowley、脚本はNick Payne。音楽はBryce Dessner、Executive ProducerにはBenedict Cumberbatchの名前がある。

主演のふたりが結構仲良く楽しそうにプロモーションしていたので、明るいrom-comかと思ったら難病ものだった.. けどそんなに暗くないし辛くならないのでだいじょうぶ(かな?)。

Weetabix - シリアルの会社を経営するTobias (Andrew Garfield)とレストランを経営するシェフのAlmut (Florence Pugh)が出会って - 夜の道路上でバスロープ一枚で道路を歩いていたTobiasをAlmutが車で轢いてしまう - 少しづつ仲良くなって、彼女の病気がわかって、化学療法で髪を切って、赤ん坊ができて、出産して、娘Ella (Grace Delaney)が大きくなって、など、どうってことなさそうな細切れが、過去現在の脈絡なし順序の行ったり来たりでえんえん重ねられていく。最初はこの調子で最後まで行ってだいじょうぶかなあ? なのだが、すぐ涙目になって柔らかく受けとめてばかりのTobiasとなにかと突っかかって負けないのが基本のAlmutの(誰もが想像できるであろう)ケミストリーがすばらしくよいので、あまり気にならない。 いつのどの断面で切ってもふたりはふたりで連なっていて互いに目を離すことができなくて、そのうち大きめのイベント - 料理のコンペティションに英国代表として出るんだって踏んばっていくところ、そして、ガススタンドの身障者用トイレで娘を出産してしまうところ – めちゃくちゃおもしろい - など、ずっと一緒の時間のなかにいたふたり。

思えば、Andrew Garfieldの“The Amazing Spider-Man”シリーズの最大の失敗は“2”でEmma StoneのGwen Stacyを亡くしてしまったことだった(私見)。彼があの後に悲しみでぐだぐだの用なしになってしまうことは十分に見えていて、実際にそうなった。 今回も同じなのかもしれない。そんなにAndrew Garfieldの嘆き悲しむ姿はよいのか?(悪くはない。あんなふうに泣けるひとはあまりいない)とか。

Tobiasがどこまでも彼女を受けとめてベソをかきながら見守ってついていくのに対して、Almutは周囲を吹っ切ってでも前を向いて進行方向を変えない。元からなのか、かつてフィギュアスケートの選手になるのを諦めてしまった過去があるからなのか、どちらにしても絶対に振り返らず、後悔もしようとしない – この組み合わせは特に新しくはないと思うし奇跡も起こらないけど、この2人だから、という途方もない根拠もない確信と強さに貫かれているのでなんかよいなー、になって、でもほんとそれだけなの。

Almutの病は間違いなく幸せな家族を引き裂いて残された者をどん底に叩き落とすだろう、その決定的な別れとか最期の時からどこまでも離れて目を逸らそうとする - それがTobiasの取った態度で、映画はそれに倣うように中心にある病と死から離れようとして、この映画はそれでよいのだな、って思った。

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