1.07.2025

[film] Nosferatu (2024)

1月2日、木曜日の晩、BFI IMAXで見ました。
2日だとお正月でもなんでもなく、みんな普通に動いている。

Robert EggersによるF.W. Murnauの1922年のサイレント –“Nosferatu: A Symphony of Horror”のリメイク。音響は確かにものすごいのでIMAXで見るのはよいかも。

12月31日の夕方にBFI IMAXでこれは見ていて(2024年の最後の上映)、サイレントだけど何度見てもどう見ても怖い。「恐怖のシンフォニー」、であるので遠隔の呪いはあるわ拘束の恐怖はあるわ祟りに感染の危険は溢れてくるわ全てが逃れようなくこれでもか、の中心にいるのがMax Schreckの - 水木しげるの漫画に出てきそうなシンプルな線顔(でもなかなかいないよ)のノスフェラトゥで、個人的にはWerner Herzogによる“Nosferatu, Phantom der Nacht”(1972)のKlaus KinskiとIsabelle Adjaniの濃厚さに敵うやつはいない、のだが今回のはどうか?

19世紀の前半、冒頭でEllen Hutter (Lily-Rose Depp)に何かが取り憑いて、そこから数年後、彼女と結婚したThomas Hutter (Nicholas Hoult)が出世のため(=彼女のため)に危険な遠くへの商談出張のオファーを受けて、彼女が行かないでと頼んでいるのに勝手に親友のHarding夫妻(Aaron Taylor-Johnson & Emma Corrin)のところに預けて野山を越えてたどり着いたのがCount Orlok (Bill Skarsgård)の館で、パンナイフで指を切って血を見せてしまったものだから、起きて気がついてみると何かの噛み痕が。

Count Orlok - 最初からどう見ても得体の知れない化け物 - はEllenのいる街に向かって棺桶に入った形で旅に出て、容態がおかしくなっていく彼女を診るProf. Albin(Willem Dafoe)と医師(Ralph Ineson)がやってきて、船内にペストを撒き散らしたCountがペストごと上陸して。全体としては何かの扉が開かれて山から下りてきた災厄としか言いようのないやばいのが飛び散って収拾がつかなくなっていくモンスターパニック映画のようで、美術にお金をいっぱいかけていることはわかるのだが、このお話しにそこまでのものは期待していない、というか、宗教民俗ホラーとしてみんな狂っていって、CountとEllen、Countと僕(Simon McBurney)、CountとProf. Albinの関係がきちんと描かれていればよかったのだが、なんか薄まって(or 不要に濃くなって?)しまったような。

音も含めて全体のおどろおどろしく嫌で気持ち悪い雰囲気は十分に満ち満ちていて、ストーリーを知らなくてもどうなっちゃうかはだいたいわかって、でもRobert Eggers って”Lighthouse” (2019)の時にも思ったのだが、最後になんであんなにどろどろぐちゃぐちゃの鍋にしてしまうのだろうか、あそこまでやらないと気が済まないのかしら… とか。

あと、Count Orlokがあまりにモンスターの魔人みたいで、出会いがしらにあんなのが出てきたらその場でふざけんな、ってやっつけてしまうべきだったし、最期にこんな化け物とやりあって(揃って言うこと聞かない間抜けな男たちの)犠牲になってしまうEllenがかわいそうすぎる。 原作なんて無視してやっちゃえばよかったのに。

敵があまりに化け物化け物していて無敵っぽいので、こっちにはX-MenのBeastだって、こないだのKravenだって、こないだのCassandra Novaだって、Green Goblinだっているんだからな、くらいのことを思ってしまうのだが、本当はそんなこと思わせてはいけないよね。

Nicholas Houltはこないだの”Juror #2” (2024)もだったが、生真面目さ故にはまって後戻りできなくなり、やばいどうしよ… にじりじりなっていく弱い男を演じさせたらうまいねえ。

これなら音楽はごりごりのゴスメタルみたいのを流しちゃって台詞が聞こえないくらいにしてもよかったのではないか(結果サイレント)。そういう上映会をやってみても。

あとの見どころはネズミだろうか - あれCG?
猫もいたので対決シーンが見られるかと思ったのになー。

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