9.10.2024

[film] Beetlejuice Beetlejuice (2024)

9月6日、金曜日の晩、BFI IMAXで見ました。
監督はTim Burton、1998年の最初のは見ていない。こんなカルトに愛されて待望されきた傑作(たぶん)を見ていなくても大丈夫なのか? - 大丈夫だったと思う。

もちろん、Beetlejuiceがなんなのか、十分にわからないで見る。未知のお化けなのか妖怪なのかゾンビなのか、道端で初めて会うのと同じように – そいつが生きているのか死んでいるのか、Michael Keatonのあの汚れた、臭気ぷんぷんの偽物ぽい挙動を見れば、たぶん不死身で、最強で、呼べばどこにでも現れて – でも愛されていなくて忌み嫌われている、そういうのの集積ゴミ捨て場で、つまりはTim Burtonの世界どまんなかに暮らす住人である、ことはすぐにわかる。

前作で主人公だったらしいLydia Deetz (Winona Ryder)はうさんくさいお化けミステリー系TV番組のホストとして活躍..ほどではなくくたびれていて、その番組のプロデューサーでこいつもうさんくさいBFのRory(Justin Theroux)にやらしく小突きまわされていて、義母のDelia (Catherine O’Hara)からも娘のAstrid (Jenna Ortega)からももう終わったひと、のように見られていて、Roryからのしつこいプロポーズもなんとなく受けてしまう。

こうして、Lydiaの父の葬儀とか、Lydia自身の結婚とか、ハロウィンとか、父の遺品とか、死の、死んだ世界への出入り口がちょこちょこ目に入るようになったあたりで、ちょっと素敵に見えたJeremy (Arthur Conti)に付いていったらあっさり死後の世界に連れていかれてしまったAstridを救うべく、LydiaはBeetlejuiceを呼びだすと..

あと、Beetlejuiceの前の妻Delores (Monica Bellucci)がばらばらにされていた屍体を自分で繋ぎあわせて立ちあがり(このシーンすごくおもしろい)、彼に復讐すべく彷徨いはじめるとか、前世がB級探偵映画の人気俳優だったWillem Dafoeがひとり勝手なテンションで捕り物をはじめるとか。そしてどちらも中途半端になんとなく消える。

という筋書きらしきものはどうでもよくなるくらいに展開 – というか単に死者の世界がこちら側に押し入ってきて死者も生者も極めて勝手にやりたいように動いて、アナーキーなカオスがもりもりと形づくられていくのを見ているだけで楽しくなるのでそれでよいのだ、と思った。男性(的ななにか)はどこまでも悪賢く傲慢で、女性(的ななにか)はずっと不機嫌でむかついたままで、ゾンビやヘビやゴキブリやにょろにょろ虫がそこらじゅうにいて、これらを見たくないひとは見なければよいし、でもそれらは一度目をあわせて見始めたらどうにも止まらなくなる、というか、痒いところを掻きだしたら止まらなくなるかんじでやめられなくなり、噛め掻け裂け殺せー、くらいのところにまで行く。 登場人物のなかで唯一まともそうなAstridにもっと暴れてほしかったところだが、それくらい。

死者は死んでいるので怖いものなんてなくて最強なので、いざとなったら彼らを呼べば、たぶん自分の生と引き換えなんだろうけど – どうにかしてくれるので呼んじゃえ。 どうせ現世なんて汚れたゴミとかクズとかばっかしでじたばたがんばる価値なんてないよ、でもそれにしても、死者と生者の違いってなんなんだろうね? というのがTim Burton的世界がずっとこだわって視覚化してきたことで、そこに「美意識」みたいな価値を持ちこまず、「クリエイティブ」なんてくそくらえでひたすらジャンキーのほうに突っ走った本作はすばらしく、その疾走を支えているのがDanny Elfman – これぞDanny Elfmanとしか言いようがないうなりをあげるスコアで、見た後にはなにも残らないけど、すばらしく楽しく腐れたハロウィン・パレードを眺めた気分にはなれる。

ミニオンの連中にやってほしいのはこういうノリのなんだけどなー。


今日は来月から始まるLFF (London Film Festival)のチケット発売日で、でも平日の10:00なんて会議とかで入れるわけないし、ようやく繋いだらキューに12000人くらいいて、中に入ったらメジャーなのはぜんぶ売り切れで、一番見たいのはサイレントのシャーロックホームズだったのだが一回しかやらないので当然売り切れてて、とりあえずMiguel GomesのとAlice DiopのとPavementsのだけとった。 あとは当日でなんとかしようー。

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