9.04.2024

[film] JAWS (1975)

8月26日、Bank Holidayで祝日の月曜日の昼にBFI IMAXで見ました。

これまで映画は見たいときに見れるのを見る、で極めててきとーに接してきたのだが、ある程度体系的にとか、歴史を踏まえて見た方がよりおもしろくなることは確かなので(それは文学でもアートでも)、映画史上の名作、と呼ばれてきたようなやつも見たほうがよいのかも、って最近思うようになった。←遅い。 あと、もうそんなに先は長くないので、ある日ばったりして、天国(or地獄)の入り口に来た時、おまえはこんなのも見てないのか!って落とされるのはちょっと嫌かも、とか。

IMAXは25周年かなんかでたまにクラシックを上映したりしていて、もうじき『七人の侍』もここで見るの。 あと見れなかったけど、こないだ”Sátántangó” (1994)も夜中通しでやっていた。

というわけで初めて見る”JAWS” - サメ映画、動物パニック映画の元祖として名高いのだが、これまで見たことなかった。中学生の頃、海で泳いでいる女性が突然がくっ、って沈む予告を見て、あの音楽を聞いて、こんなのぜーったいムリ、怖すぎ、のままでここまで。

サメの怖さ、強さを描く、というよりも事件に対応する警察署長(Roy Scheider)、海洋生物学者(Richard Dreyfuss)、サメハンター(Robert Shaw)の三様の男たちの絆と、事件を広げた市の対応のまぬけさがくっきりと出ていて、思っていたような海獣の恐怖は来なかったかも。 ここでのサメは、ひたすらでっかく、挙動が見えず突然直線でやってきて壊したり食べにきたりするだけで、吹っ飛ばしたら終わりだし。そこに至るまでの日常との対比でぞぞぞぞ、みたいのは最近の怖いのを知っている人にとってはそんなでもないのでは。

三人で酒を飲んでひと晩過ごして絆を深めたのに、一人が食べられちゃって、でもサメをやっつけたらあんなふうに笑うのかー、って。お腹のなかに彼はまだいるかもしれないのに、とかそんなのが気になったりした。 当時だと害獣をやっつけたぜ! の快感が前に来たのだろうが、今はそんな単純ではなくなっている気がする。地球上で、人間が断然、突出して酷くなっているから。その前夜というかー。

Steven Spielberg作品だと、こないだボローニャで見た前作”The Sugarland Express” (1974)の方がいろいろ深く面白く感慨深かったかも。


Gloria (1980)

26日の夕方、上のに続けて、BFI Southbankで見ました。 
Gena Rowlands 追悼の一本。 これは何度も見ている。

NYのサウスブロンクス、アパートの一室でギャングに全員殺された家族の生き残りの男子を近くにいたから、というだけの成り行きで連れ歩くことになったギャングの元情婦 - Gloria Swenson (Gena Rowlands)のぜんぜん関係ないのに巻きこまれてぶつぶつ言いながらガキを引っぱって転々としていくスクリューボール・ノワール - コメディではないが、ところどころ笑えて惚れ惚れする。

なんといっても「おれは男だ!」ってイキって騒いでうっとおしいばかりのガキを無視したり黙らせたり、引っぱったり抱き抱えたりしてNYを渡っていくGloriaの像は、彼女が他の映画でもやってきたやりとりと態度を集約させたものだよな、と(男の側もおおよそあんなもんで)。逃走劇としては結構緩くていい加減なのだが、そんなこと言う輩はケツをぶち抜いたる、って。

追悼の一本が”A Woman Under the Influence” (1974) でも”Opening Night” (1977)でもなく、なぜこれなんだろ? って思ったけど、ラストを見るとそうかー、って。

あのラストで描かれるGloriaの復活のイメージがほしかった - 彼女は何度でもあんなふうに現れて抱きしめてくれるんだよ、って。

そして改めて(何度でも)”Love Streams” (1984)を見たくなる。


The Shining (1980) 

26日の晩、上のに続けて、BFI Southbankで見ました。
この日に見たのって昔の名画座でやっていたような3本立てになってしまったが、どれも2時間越えのだったので少し疲れた。
こちらはShelley Duvallの追悼で。 見るのは3回目くらいか。

144分のExtended Cutで、別の日には35mmフィルムでの上映があって、この回のは4Kリストアのデジタル。 それがさー、冒頭の山間の道路を抜けて走る車を追っていく空撮のショット、あまりにクリアすぎてぺったんこで違うんじゃないの? だった。少しぼんやり曇って近寄っていくのか遠ざかるのかわからない不安定な浮遊感と回っていくフィルムの質感が合わさるのがよかったのになー、と。あのカーペットの模様と質感も同様。

この作品はあまり怖くないイメージがあって、なんでかというと、ぜんぶ登場人物それぞれの頭の中で見えたり光ったりしているだけのあれこれが映されていく – のがわかっているから - 人によってはその見え方、晒され方が怖いのかもしれないけど、そうなっていておかしくないものなので、別に特に異常な何かには見えない – そういう世界を描いただけの、というか。

しかも雪に閉ざされて誰もいなくなった山間のホテル、家事と育児をぜんぶ妻に任せて自分は創作活動に没頭すればすべておいしくうまくいくから、という考えも極めて当たり前とされてて、当たり前すぎてぜんぶ凍らせて戦前のボールルームに突っこんでざまーみろ、ってやつなの。Jack Nicholsonはあそこで凍結だったので今だにあちこちで湧いてきやがる…

最初の方に出てくるスーツを着たJack NicholsonがJoaquin Phoenixに少し似て見えて、最近”Joker2”の予告ばかり見ているものだから、これをJoaquin PhoenixとLady Gagaでリメイクしたらおもしろいかも、って少し思った。

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