9.26.2024

[music] Nick Lowe & Los Straitjackets

9月24日、火曜日の晩、London Palladiumで見ました。2日前のElvis Costelloと同じ会場で、今回取れた席もどういう偶然かひとつ隣のとこだった(どちらも数日前に取ったやつ)。

今世紀に入ってからNick Loweのライブを見ていないことに気づいた。最初のは87年のElvis Costelloの”King of America”ツアーの時で、このライブは自分にとってはとてつもない衝撃で、追加で出たのも買って見に行ったくらい – なので今度出るBoxセットについては悩んでいる。プレイヤーとかないのに – で、Nick Loweはこのライブの前座で歌っていて、別に太田区民会館での単独公演もあって、これはこれで待望のだったので行って感動して、以降年に一回くらいでやってくる彼の公演には通って、追加されるレパートリーに一喜一憂したりしていた。彼の来日が発表になるたび、今度(こそ)はバンドかしら? と思ったりしたのもよき思い出。

今回のライブを知ったのはElvis Costelloのライブ行こうかどうしようか悩んでいた頃にこんなのもあるよ、ってWebに言われたからで(こんなのばっかし)、Costelloの歌う姿を見ているうちに、Nick Loweも行かなきゃかも、になってきた。彼はもう75歳になる。 客の杖比率もCostelloのより高い。ついでにカウボーイ比率も高い。

前座は当初Chris Difford(Squeezeの)と発表されていて、これなら行かない理由があろうか、だったのだが直前に彼は来れなくなったそうで、Andy Fairweather Lowになっていた。 Eric Claptonの横でギターを弾いているおじいさん、くらいのイメージしかなかったが、三つ揃いの背広姿でアコギを抱えてべらべら喋りまくる - 演奏しなくてすむからな、って – ほぼギター漫談で、でも、あたりまえだけどその合間に鳴らすギターはめちゃくちゃうまい。 Nick LoweとはRockpileを組んだ時にDave Edmundsと一緒に初期メンバーだったのだそう。あとPaul CarrackやAndy Newmarkとバンドを組んでいた頃の話とか。 こういうどうでもいい話をあと2時間くらい聞きたかったかも。

今回バックを務めるLos Straitjacketsについては、全員覆面しているし、メキシコかなんかの(←偏見)B級バンドじゃないのか、となめていたのだが演奏がすごくしっかりしていたので後で調べてみるとナッシュビルのバンドで、創設メンバーにはThe RaybeatsのDanny Amisがいる。The Raybeatsといったらthe ContortionsとかNo Waveからthe Golden Palominos、Hoboken界隈まで関わりのあった偉大なインストバンドで、この辺は書いていったら止まらなくなるので省略。

とにかく、先に書いたように彼の音楽を今世紀に入ってほぼ聴いていなかった状態なので、一曲目の”So It Goes”のイントロがエレクトリックで鳴りだした瞬間に首のうしろがぞわああーってなった。すごくパワフルで圧倒されるというわけではなく、ヴォーカルが入ればいつもの穏やかな彼の歌になるのだが、彼のライブで演奏される都度、脳裏でイメージしていたエレクトリックの音が実際に、ついに聴こえてしまったからだろうか。彼の曲って、イントロの一音や歌いだしですぐそれとわかるものばかりなのでこんな一喜一憂が割とあったことを思いだしたり。

で、ここを過ぎれば割といつもの、というかこれまでのNick Loweのセットで、客を楽しませるというより自分の持ち歌 – 特に割と最近リリースした曲たち - を淡々と歌っていくスタイル - これ、当たり前といえば当たり前なのだが、でも一度でいいから”Labour of Lust” (1979) 全曲披露とかやってくれないものだろうか。

7曲くらいやったところでNickは引っこんでLos Straitjacketsが単独でサーフミュージックを数曲。サーフミュージックなんて、(退屈)とは言わせないんだから、という適度な気迫と芸道に満ちた楽しい演奏だった。このライブ、前座のはじめからして寄席っぽいんだけど、それがまたよい方に機能していて、バンドでやろうがソロであろうがこの辺は変わらないような。これって、小屋を渡り歩いていくフェスのノリとは根から違う気がする。

再びステージに現れてからも、新しい曲だってあるんだよ、って最近の曲をやった後で、”Cruel to Be Kind” ~“Half a Boy and Half a Man” ~ “(What's So Funny 'Bout) Peace, Love and Understanding” ~ “I Knew the Bride (When She Used to Rock 'n' Roll)” の流れはエヴァ―グリーンというのとも違う、でももう30年以上愚直にやっているやつだなー、って。いいかげんいつまで半分少年をやっているのですか、など。

アンコールの最後は、バンドをさげて、ひとりになって、憶えているかな? と自分に向かって呟きながら”Alison”を歌いだす。
この曲って、歌い方のトーンでAlisonの表情はどんなふうにでも変わってしまうのだが、こんなに静かに切々と鳴るのを聴いたのは初めてだったかも。

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