6.13.2024

[theatre] Lie Low

6月8日、Royal Court Theatreで土曜日のマチネのを見ました。

2022年のDublin fringe festivalで主演のCharlotte McCurryさんがBest Performersを受賞している。原作はCiara Elizabeth Smyth、演出はOisín Kearney。休憩なしの70分。

客席がステージを囲んで見下ろす形のほぼ二人芝居(+声だけ)。

ステージ上にはほぼなにもなく、ややうす暗い部屋(?)の奥に木製のタンスがあるだけ。そこにひとりで暮らしているらしいFaye (Charlotte McCurry)は夜になるとタンスの奥からアヒルの覆面をしたでっかい男がでてきて彼女に性的な嫌がらせをする妄想だかに悩まされ眠れない状態が続いていて、医師(声のみ)に相談してもあったりまえの解消法しか教えてくれない。

そのシーンを再現してみれば原因と対策がわかるかも、と思ったFayeは、訪ねてきた弟のNaoise (Thomas Finnegan)に嫌がられながらもアヒル男に変身してもらうのだが、どうもうまくいかない。

やがてNaoiseの方にも悩みがある、というので聞いてあげると、オフィスの女性にセクハラで訴えられてしまったのだと。その顛末を聞いたFayeはひょっとしてあんたが… って狂ったようになって床にシリアルをぶちまけたりして、Naoiseは断固否定するのだが、Fayeはやってないというならあんたのあれを見せてみなさいよ! って迫って、彼がズボンをおろして見せると(本当にだしてた)、そうではない、って…

不眠症、偽りの記憶、思いこみ証拠、被害妄想、被害者意識、それらを恐れて避けようとすることで別の妄想や思いつき(ひょっとして..)がオーバーライドしてきたり循環をはじめたり、なにがなんだかわからなくなって、他人は傷ついて自分は疲れて、という第三者が側で見ている限りではわかりやすい構図も、当事者たちにとってはこんがらがって互いに見えないことばかりでしんどいのだろうな、ということがものすごい勢い、怒涛の流れとテンションのなかで伝わってくる。

そのぐしゃぐしゃの中でひとり罪のなさそうな顔をしているアヒルのお面がだんだん不気味に見えてきて、お前か! ってなる。


Perfect Show for Rachel

6月8日、土曜日の晩、Barbicanのシアターの方ではないスペース(The PIT)でみました。この午後は芝居のハシゴになってしまい、どちらもこの週末で終わってしまうやつだったのでしょうがない。

Flo O’MahonyとZoo CoというCroydonのNPO劇団? が制作した芝居.. なのかパーティ? で演出はFloの妹で学習障害があってケアホームで暮らすRachelが行う。

会場(ここも上のRoyal Courtと同様、小さくて自由席で小劇場ぽい)に入ると、そこは既にパーティ会場のように音楽がかかって演者たちはみんな楽しそうに歓談してて、入ってくる客に話しかけたり芝居の仕込みのお願いをしてきたりする(そういうのは苦手なのですこし離れたとこに座る)。

始まる前だか始まっているのか、Floが全体の仕組みと演出のRachelを紹介する。Rachelはステージの端に座っていて、彼女の前には39個のボタンがあって、彼女がそのどれかを押すと、演者はその小演目?のインストラクションに従って動いたり歌を歌ったり客席に探し物に来たりおならをしたり、退場って言われるとドアの向こうに隔離されたり、同じボタンが押されても同じことを繰り返さなければならない(何度か押されてた)。 Rachelの指令は絶対で、彼女の言ったことは傍にいるプロンプターによってすべて字幕としてタイプされて画面に投影されるし、Rachelの様子はずっと映しだされていて、いろいろ出てくる言葉をぜんぶ通訳する手話のひともいるし、客席も含めてすべてがRachelに奉仕する – だから”Perfect Show for Rachel”で、職場のパーティとか、なにがどう楽しいのかちっともわからない自分のような人にとって、パーティってこういうものであってよいのでは – ただ飲んで語るだけって、あれなに?っていつも…(以下略) - と思うのだった。

ステージのもういっこの端にはキーボードや楽器があって”We will Rock you”とかKylie Minogue – Rachelが彼女のライブに行ったときのスライドが映される - とかNirvanaのあれの替え歌とかどかどか演奏される。Rachelがパパといつも一緒に歌っていたという”Perfect Day”ではずっとキーボードに向かっていたプロンプターの人がマイクを握って歌いだしたり、どたばたとっちらかっているようで、実は指示の飛ぶすべてのパーツが細かく練られていることがわかってみんなよいなー、って。

で、Rachelがおわり、って言ったらおわりで、さばさばしているのもなんかよかった。

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