6.15.2024

[film] The Great White Silence (1924)

6月9日、日曜日の昼、BFI IMAXで見ました。
サイレントで上映前にBFIのBryony Dixonさんによるイントロつき。

英国での公開100年記念ということで大スクリーンでの上映、2011年のリストア – この時に音楽はSimon Fisher Turnerが付けていて、今回の上映はこのバージョンで。音楽には野外で録音した音なども入っているそうで、アコースティックもエレクトリックも実に見事にはまっていた。

Robert Falcon Scott隊長が率いる英国の探検隊が国の威信をかけて探索船Terra Novaに乗って南極点を目指した旅(1910–1913)に同行して撮影したHerbert Pontingが帰国後に作品として纏めたもの。

時系列で追っていくので出帆前の意気揚々から現地についてからの作業と緊張、現地のいろんな動物たちと、最後の方は帰らぬ人たちとなった船長たちの南極点に向かって戻ろうとする旅までを。

国家プロジェクトなので過度に悲惨だったり威張りちらすかんじもなく、ドキュメンタリーとして割ときちんと記録されているかも。(完成披露上映後に国王が子供たちに見せるように指示したって)

見たこともないでっかい氷河がでーんとある、ところとか、初めて宇宙に行ったようなかんじの緊張も伝わってくる。
人種差別的表現があります、と注意書きがあったのでなに? と思ったら船で飼っているやんちゃな黒猫に”Nigger”っていう名前をつけてみんなで遊んでいた、とか。これの他にはペンギンたちをみんなで追いたてて慌てふためくのを見て笑ったり、傲慢な侵略者が植民地でふつうにやる仕草としてしょうがないのだろうが、ごめんね(ペンギン)、って。

南極の動物たちの動く姿が撮られたのは、撮る側撮られる側両方にとってこれが初めてのことだったのだろうが、アザラシのでっかく滑らかな皮が光って海に消えていくところなどはIMAXで見るとなかなかすごかったかも。あと、BBC系の動物ドキュメンタリーの定番としてある、強いのが弱いのを狙って危機一髪みたいなのって、この頃からあるのね。(あれ、あんまり好きじゃない)


Третья Мещанская (1927)

6月9日の日曜日の午後、BFIから移動してBarbicanで見ました。
これもサイレントで、日曜日午後のサイレント上映はBFIの方でもあったのだが、こっちの方がおもしろそうだったので。英語題は”Bed and Sofa”。

監督はAbram Room、脚本はViktor Shklovskyと監督の共同。
アメリカでは上映されず、ヨーロッパでは長く幻の一本とされてきたのだそう。
伴奏音楽はライブのピアノに効果音的なエレクトロがついた。

モスクワのThird Meschchanskaya Street – これが原題 – のワンルームアパートに妻のLiuda (Lyudmila Semyonova)と夫のKolia (Nikolai Batalov)の夫婦と猫(かわいい)が暮らしていて、建築現場(ボリショイ劇場を建てているの?) で働く夫は愛想も機嫌もよいがなんも考えていないふうでどうもうざくて、彼が家を出ていくとLiudaは宙をみつめて溜息をついている。

ある日夫の戦友かつ親友のVolodia (Vladimir Fogel)が家にやってきて、モスクワでは貸間を見つけられないので困っている、というと、Koliaは気前よくうちのソファで寝なよ、と勝手に決めて家に置いてあげることにする。

そのうちKoliaが泊まりの出張に出ることになり、その隙にVolodiaはLiudaを外に連れだして一緒に飛行機に乗ったりデートして、Koliaが戻ってくると、彼の寝場所はベッドからソファの方に移動されているのだが、男ふたりの友情はなんとなくそのままで仲良くゲームしたりしている。

Koliaに替わって夫ポジションになったVolodiaは夫役としてKolia以上に強権的でいじわるだったことがわかり、Liuda が嫌になりはじめた頃、彼女が妊娠していることがわかり、男ふたりは中絶を要求して彼女は闇のクリニックを訪ねるのだが待合室の雰囲気に我慢できなくなって…

公開時はお色気コメディのように受け取られていたらしいのだが、内容も結末 – 妻が男たちを捨てて自由になる - も当時としては相当進んでいたのではないか。と思ったら詩人のVladimir Mayakovskyの実生活をモデルにしている、のだそう。

寝取られ男の悲喜劇、のようなはじめ想像していたのとはぜんぜん違う、寄ってくる男がしょうもないのばかりなので、あっさり捨ててひとりになるLiudaがかっこよくて素敵なやつだったの。


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