10月28日、水曜日の晩、CurzonのBloomsbury – 映画館で見ました。
ロックダウンの最中に死ぬほどいっぱい見てやや辟易しているDisney-PixerによるAIが考えてCGが作ったようなプログラミングアニメも、夢を売るとかのしらじらしい名目のもと大量の労働者を酷使・搾取する手工業ジャパニーズアニメももういいや、になっているなか、これは大好きだった”Song of the Sea” (2014)のスタジオによる新作。 日本でも丁度公開が始まったのね。
1650年、クロムウェルによるアイルランド侵略が始まった頃の血塗られたキルケニーの地で、父 (Sean Bean)と一緒にイングランドからやってきた娘のRobyn (Honor Kneafsey)は地元で恐れられていた狼の群れの脅威を払う狼ハンターとして働いている – 正確にはハンターなのは父で、Robynは父の手助けをしたくて横にひっついて走り回るのだがじっとしてろ、っていつも怒られてばかり。
不思議な力をもっているとされる狼の群れは神出鬼没で賢くて手強くて、Robynは飼っている鷹のMerlinを連れてがんばるのだが近寄れなくて、ある日きた!と思ったら失敗して噛まれて気を失って、そこで狼たちを引き連れた不思議な森の少女 - Mebh (Eva Whittaker)と出会ってだんだん近づいていく。
征伐を強引に進めていくLord (Simon McBurney)とその下の軍から狼の群れをなんとかしろ、って命じられて苦闘する父とRobyn、Robynの友達になったMebhと狼たちの運命がどうなっていくのか、という流れがひとつと、狼に噛まれてから不思議な力 – 眠りにつくと幽体離脱して狼の嗅覚聴覚をもって素早く自在に動き回ることができるWolfwalkersのそれ - を持ってしまったRobynがこの力を使ってこの危機にどう立ちまわって乗り越えることができるのか、というのがもうひとつのテーマとしてある。 “Twilight”の中世アイルランド伝説版みたいな。
イングランドは自国のパワーを誇示するためにも我が軍が危険な狼族を退治してやったぞ(感謝しろ)、ってぶちあげて侵攻に拍車をかけたいので父にもプレッシャーをかけてきて、でもRobynにはMebhとの友情に加えて大狼の状態で捕らえられている彼女のママがいることがわかって苦しい。やがて軍が征伐のために大勢で森に入って火を放ち始めて、どうなっちゃうのか..
狐や狼のお話って、化身が絡む昔話とか言い伝えって悲しい終わり方をする - だいたい身代わりになって討たれちゃったり - のが多いからきゅぅぅってなりながら見ていたのだが、これは大丈夫だったかも。
ワイルドの怖いもの知らずで元気いっぱいの(ムーミン - 日本版の - ミイみたいな)Mebhがでっかい髪の毛をばさばさ言わせてぐいぐい引っ張って暴れまくるのと、あたり一帯の誰もが人質状態で格子に囚われて身動きとれない状態のなか、森を中心に自在に走り回る狼たちの奔放さが素敵で。すべてもう失われてしまったものだったとしても。
森の情景の水彩にペン画みたいに膨らみのある描き方と、町や屋内の木版画のようなごつごつしたタッチの組み合わせがよいのと、人 - 町民と兵士たち - と森の動物たちの描きわけも稚拙で漫画みたいだけど、漫画なのでよいと思うし。漫画というか、子供の頃に読んだ絵本て、こういう絵の状態でずっと残っているなあ、って。 子供が見たら夢中になる/なってほしい、と思うけど最近のアニメに勝てるかなあ。勝ち負けじゃない、って言いたいけど最近の大人は腐りきっててそういうふうにしか見ないから(そして負けるとすぐに視界から消しやがるし)。
Wolfwalker、なれたら素敵だろうなー。寝入ったら狼になって外を走り回るの。夜更かししなくなるし、寝ているんだからいくら遊んでも跳ねても寝不足にはならないんだよね? 夜中に出てくる近所のキツネたちも実はそういう連中だったりして。
そういえば、WolverineのHealingパワーってこのあたりが起源なのかしら?
ロックダウンは木曜日からなので、そこに向けて美術館とか映画館をもう一回チェックしている - いくつかないことはないけど、もう腹を括る。絵を見たり映画館に行けることがどんなに自分にとって大切なことか思い知ることになるので、そういう点では悪くないかも。少し前にドイツに行けたのはラッキーだったなあ、って。
11.01.2020
[film] Wolfwalkers (2020)
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