5月1日、水曜日の晩、London Palladiumで見ました。
クラシック以外で、ホールで座って見るライブは久々で、London Palladiumに最後に来たのは2018年3月のMorrisseyだった.. すごく遠い昔の気がする。
“Bob Dylan Live 1966, The "Royal Albert Hall" Concert” (1998) - 彼のThe Bootleg Series Vol. 4としてリリースされた、マンチェスターのFree Trade Hallで録音されたのに"Royal Albert Hall”とラベルされてずうずうしく出回ったライブを2022年、ほんもんのRoyal Albert Hallで、このライブの順番通りにまるごと再現演奏したライブ盤を、更にそのままに演奏していく(だけの)ライブ。
チケットはSold Outしないまま後ろの方はずっと空いた状態が続いて、でもじりじり辛抱強く待って当日の1週間をきったところで前から6列目の正面を取ることができた。
Cat Power - Chan Marshallを最後に見たのは2014年6月、新木場のSTUDIO COASTで、その前は2013年の1月にNYで”Sun” (2012)のツアーのときので、最初に見たのは”You Are Free” (2003)のときのNYで、たしかKnitting Factoryかどこかで、すんごくだらだら勝手なペースで3時間くらいやってくれてびっくりした。最初に出会ってから20年、最後に見てから10年、みたいなのって、最近そんなのばっかりなのでよいけど(よくない)、ぜったい地球の回転おかしい。
彼女はこれの前にもすばらしいカバー集 - “Covers” (2022)をリリースしていて、その流れでのこれなのかと思って、それは単に元の作者やその曲が好きだから、というのはもちろんあるのだろうが、その際に曲の解釈やアレンジをこうして、とか自分だったら(自分だから)こうする、というのはそんなになくて、単に歌って、その声とか息遣いがその場の空気を震わせる、そのかんじが気持ちよくて好きなのではないか、今回のについて言えばあのBootleg全編を包みこんでいる空気感まるごとがよくて通しでやってみた、くらいではないか。おやじ評論家が偉ぶって言いそうな「Dylanを自分のものにしている」みたいなのとはぜーんぜん違う次元のことなので念のため。
このステージでも譜面台の歌詞を見ながら歌っているし、演奏についてはバンド任せで、歌うだけ声をだして響かせることだけに注力しているかのようだったし、しかしそれはとにかくすばらしく響いていたの。
最初のアコースティックセットはギターのHenry Munsonとハーモニカの(ピアノ担当だけどピアノは弾かない)Aaron Embryを傍に歌う。オリジナルのDylanはこの3パートをひとりで、ひとつに統合させてやっていたわけで、それをバラしてどうする? なのだがそれがせめぎ合うトライアングルの緊張を生んで、そこに放たれて、こちらにとんでくる彼女の声の強いこと。10数分以上張りつめてまったく弛まない”Desolation Row”とか、”Mr. Tambourine Man”の”Hey! Mr. Tambourine Man, play a song for me”は彼女の目の先にいるTambourine Manを探して追ってしまうのだった。
後半のエレクトリックセットのバックは6人、DylanのオリジナルはThe Hawks (もちろん後のThe Band)の5人なのだが、Dylanのギターも入れると楽器の台数としては合っているのか。 若い子たちだったが演奏はギターの彼を中心に見事に硬く固まっていて、オリジナルが醸しだしていたエレクトリックでこんなふうに鳴らしてしまってよいの? - “How Does It Feel ?” - の生意気に前のめるとこと気持ちよさが裏に表に絡まっていく緊張感はそのまま、そうやって膨らんだ空気のなかで気持ちよさそうに歌う - 声を響かせていっぱいにする。オリジナルが15曲だったから15曲だったけど30曲あったらそのままやっていてもおかしくない。
アンコールなんてもちろんない。ついでに自分の曲も、なんてのもなくて、ここではそれが圧倒的に正しいように思えて、あーんよかったよううー、って半泣きで帰ったの。
こちらもBank Holiday の三連休で、明日の朝から一泊でアッシジの聖フランチェスコに会ってくるの。会えますように。
5.04.2024
[music] Cat Power Sings Dylan: The 1966 Royal Albert Hall Concert
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