5.18.2024

[film] Dancing on the Edge of a Volcano (2023)

5月4日、土曜日の晩、Curzon BloomsburyのDocHouseで見ました。

この日はStar Warsの日だったのでお昼は当然、公開25周年となる“Star Wars: Episode I - The Phantom Menace” (1999)を見た。最後の殺陣のとこ(だけ)は、映画史に残るくらいすごいと改めて思った。

レバノンのドキュメンタリー映画で、まだ記憶に新しい2020年8月、レバノンの港で起こって街全体を吹き飛ばした大爆発事故の直後、ちょうど現地では女性映画監督Mounia Aklが劇映画“Costa Brava”を撮る準備を進めていて、彼らの撮影を前に進めるか止めるかどうする? の日々の奮闘の記録を”Costa Brava”の編集を担当したCyril Arisがドキュメンタリーとして纏めたもの。

プロダクション開始までの秒読みもそうだし、制作が始まってからもほんとにいろんなことが起こって、なんというか…

まず爆発でオフィスの殆どが吹き飛んで、撮影担当は片目を失い、通貨が暴落して制作資金が紙切れ同然となり、ガソリンも入手困難になり、パレスチナ人の主演男優はコロナもあって入国ルートが限られてしまい、トルコ経由でようやくたどり着いても空港から出ることを許されない。娘役の女の子ふたりはコロナに罹って隔離されることになったり、毎日のように何か危機的なことに直面させられる。

これらは爆発の惨事からの連鎖として予測できなかったことでもないので、はじめにやめる・あきらめる、という選択肢もあったはずだが、彼女たちは撮影するほうを選んで - その理由も決意も明確には語られなくて、でもそれでも十分だし、そう決めた以上は断固完成させようとして負けないし強いし。

そこには理不尽な爆発の原因究明も含めて、政府側の対応の拙さ、責任の取らなさに対する怒りもあって、同じようにしょうもない(あれだけの事故を起こしておきながら責任を有耶無耶にして再稼働とかさせようとする)政府を身近に見ている者としてはがんばれー、しかない。

よくわかんない闇雲な映画愛とか執念みたいなのをちらつかせないのもなんかよくて、みんなでびっくりしたり笑ったりしながら一緒にやっていくMounia Aklさんの姿と彼女を支える女性たちも素敵でさー。街角の様子もあんな酷いダメージを受けたのになんとなくほのぼのしている。そういうお国なのか。

レバノンと言えばおいしいお菓子とお料理で、その上でこの映画を見るともっとレバノンが好きになる。そのうち行ってみたいな。


Celluloid Underground (2023)

5月4日の土曜日、↑の前に、Barbican Cinemaで見ました。これもドキュメンタリー。
上映後に作・監督のEhsan KhoshbakhtとのQ&Aがあった。

ドキュメンタリーというより個人的な映画エッセイで、現在イランから逃れて亡命状態でロンドンに暮らすKhoshbakhtが、ヒチコックの生まれたロンドンのLeytonstoneの街 - モザイクとかヒチコック関連のが街中に沢山 – を見渡したりしながら、イラン革命の前まではイランも(そこにいた自分も)みんな映画を愛していたと回想していく。

町中にふつうに映画館があって、家族で映画を楽しむことのできた時代が革命と共にどこかにいって町から、町の記憶から映画館が消えていこうとした頃、KhoshbakhtはAhmad Jorghanianという変な人と会う。この人は映画に関するものは35mmフィルムからポスターからなんでもかんでも自分の家に大量に貯め込んでゴミ屋敷をつくっていて超然としていた - 映画が好きらしい。

あの国では見つかったら犯罪として牢屋にぶちこまれる可能性があるなか、このおじさんはそれでも集める、って穴倉に運んでいてかっこいいなー、なのだがKhoshbakhtは突然彼が自動車事故で亡くなった、と聞いて…

他の国のいろんな事情を見ても、映画ってその人の人生を変えてしまうくらい強いものなんだ… というのと同じく、国による取り締まりとかを見ても劇物なんだなあ、と改めて思って。貯めこむ/貯めこんでしまうのはわかるけど、どうしようもないし。

今もどこかに埋もれていて誰かに発見されるかもしれない映画のこと、それが投影されるのを待っている映画館のことを思うと、ほんとに映画ってなんか…

こないだの”Kim’s Video”にもKim’s Underground ってあったし、映画は表象としてあるものだが、その獲得や確保をめぐる活動はいつもUndergroundでどこか犯罪ぽくもあり孤独で…. というそのありようについて考えさせられるのだった。

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