5.27.2024

[film] Catching Fire: The Story of Anita Pallenberg (2023)

5月19日、日曜日の夕方、Curzon Bloomsbury のDocHouseで見ました。
Dogwoofの制作で、監督はAlexis BloomとSvetlana Zill - ふたりの女性によるAnita Pallenberg (1942-2017)の評伝ドキュメンタリー。

1時間53分と結構長いのだが、これでも相当カットしたのではないか、というくらい伝説も含めたあの時代のあれこれが詰まっていてあっという間。

彼女はもうこの世にいないので、彼女の声は出版されることのなかった彼女のメモワールの文章から(AIではない)Scarlett Johanssonがあてていて、当たり前のようにはまっている。

Brian Jones (1942 ‑ 1969)の恋人でその後にKeith Richardsと一緒になって .. くらいしか知らなかった、というかその辺のファム・ファタール(悪)とか泥沼話の典型みたいのが嫌でStonesとかClaptonとかはあんま聴かないくらいだったのだが、印象として180度ひっくり返るかんじ(でもないか? ) - そう、だらしない男たちと彼らにやりたい放題やらせたり調子づかせていた男の業界がぜんぶー。

イタリアでドイツ系イタリア人の両親のもとに生まれ(画家のArnold Böcklin (1827 ‑ 1901)は曽祖父だって)、ドイツの寄宿学校時代からモデルをするようになり、そこからNYに渡ってJasper Jonesのスタジオに入り、WarholのFactoryに行って有名になり、アメリカにツアーでやってきたRolling StonesのBrian Jonesと出会い、ここから先はもうー。

寄宿学校時代の友人からNY時代の知り合いから、音楽関係者はもちろん、なかでもMarianne Faithfullが、映画界からはVolker Schlöndorffが、2人の子供達から、最後の方は(どうでもよさげな)Keith Richardsまで、メモワールを中心として、その周りにひと通りの証言は集まっているような。(そしてやはりMick Jaggerはぜったい何も言わない)

ドラッグに溺れて乱暴になっていくBrianとそれを隣で見ていたKeithが彼女を連れ出すようになり、その頻度と長さがのびて船旅とかになり、それがずるずる固定になって子供が生まれて、ぜんぶどうすることもできなかった.. みたいなトーンで、フランスのお屋敷で延々続けられた飲んだくれのパーティー(子供連れ)まで、どこからも、どこへも抜けだせなかった日々が語られるのだが、そこでのホームムービーみたいな映像って、ふたりきりの逃避行、みたいに言ってもああいうの撮る人 - お付きがいたのだとしたらなんとまあ.. だなあとか。

AnitaとBrianの、あるいはKeithとの結びつきがどんなだったか、はわかるわけないしどうでもよいのだが、その関係のありようをうまくスター(重みづけあり)の物語に仕立てて子供まで巻き込んで囃したてみんなで酔っ払ってすげえだろ、って威張ったり彼女を「魔女」呼ばわりするあの時代の空気感などは、やはりぜんぜん好きになれないし地獄におちろ、って。それでもそこから出てきたアート作品は、切り離して別でよいのか、カッコ付きで見るべきなのか、悩まなくたって勝手に流れてくるし止められないからー。

彼女を取り巻いていた環境がどんなだったにせよ、子供たちにはずっとよいママだったみたいだし、最後の方にでてくるKate Mossの心酔ぶりを見ると、サバイバーとしていつまでもいてほしかったな。(反対側のMickとかKeithの妖怪みたいな気持ちわるさよ - 魔女どころじゃねえだろ)


英国はBank Holidayの三連休なのだが、今週の後半はバルセロナがあるのでどこにもいかずにおとなしくしている。 昼間にQueen Elizabeth HallでのTiffany Poon(ピアノ)のロンドンデビュー公演、曲がシューマン、ラヴェル、バッハ、ショパン、と好みの方だったので行ってみたらすばらしかった。

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