7.13.2012

[film] Dans la Ville de Sylvia (2007)

会社を半分休んだ翌日の4日、もう体が動かなかったので一日まるごと休んだ。 独立記念日だし。
ほぼずーっと丸まって寝ていたのだが、午後になってなんか動かないともったいない気がしてきたので起きあがって1本だけ見てきた。
元気だったら爆音の『精神の声』(328分)とかも考えたのだが、こんな体力ない状態でみたらはっきりと向こう岸に行ってしまいそうだったので諦める。

イメージフォーラムで始まっていたJosé Luis Guerín特集から『シルビアのいる街で』。
Guerínの作品は、TIFFでやったメカスとの往復書簡のしか見ていないので、この機会にできるだけ見ておきたい。
のだが、いまの時点で『シルビアのいる街の写真』と『イニスフリー』はもう見れないことに気づいた。 ちぇーっ。

ストラスブールの街で6年前に会った女性(シルビア)の面影を探してうろうろする若者の3夜。

たったそれだけなのに、このおもしろさ、ぞくぞくくるかんじはなんなのか。
あーこの作品すごい好きなやつかも、と思いながら画面を見ていた。 
たぶんこれから先、何回でも見ることになるであろう作品リストに追加される。

6年前に出会ったとき、彼女はここの演劇学校に通っている、と言っていた。
それだけでそこのカフェに座って、周りの女性をスケッチしたりしながらじーっと目で追っかけている。
設定としてはなかなか気持ちわるいのだが、彼の風貌がべたべたしていないのでよいのかも。

2日目に彼女だ!    ていうのを見つけて街中を延々追っかけていく。 この追っかけっこがとにかくすばらしくて、街中の路地とかお店、アパート、いろんな人たちとか、の間をすたすた歩いていく彼女、同様にひょろひょろ追っていく彼、ぴーんと張られたふたりの間の糸(彼女の背中と彼女の肩越しにある目)に空気と光が纏わりついて風になびく髪のようにそこらじゅうに散らす。
そうするともう、そこらじゅうの女性がみんなシルビアに見えてくるの。
それこそフィクションでもドキュメンタリーでもない、自然現象みたいにそういうのが起こる瞬間をカメラは捉えている。

彼はようやく彼女に追いついて、会話することができるのだが、彼女はシルビアなんてしらない、彼の知っている彼女とはちがう、きもちわるいわね、という。 それはほんとうかもしれないし、彼女はうそついているのかもしれない。
そうかー。 やっぱしー。 そういうもんかー。 しょうがないねー。

で、その晩、なんとなくバーで拾った女性と寝ちゃうのね。 このすけべやろうは。
で、そんなことしたもんだから、翌日は更にそこらじゅうでシルビアがまわりだしてしまうの。

この彼は、この後もずっと懲りずにシルビアを探し求めて世界を彷徨っていくに違いなくて、それはおそらく、Guerínが映画を撮り続けていくことの態度表明でもあるの。 すごくべたなロマンチストみたいだが、画面の美しさと力強さは丁寧に冷静に考え抜かれて切り取られたものだとおもう。

シルビア(じゃなかったけど、たぶん。)を演じた彼女(Pilar López de Ayala)は、Oliveiraの"O Estranho Caso de Angélica" (2010) でとってもきれいな死体のAngélicaを演じたひとだった。
どっちにしてもDream Girlなのね。

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