7.10.2012

[log] NYそのた - July 2012

NY、残りのあれこれ。

今回は映画もライブもあんまなかったので、28日(木)の晩、お食事に行った。
折角なので新しいところ、ということで、トライベッカのateraというとこ。

最近はやりのオープンキッチンで、日替わりおまかせ$150のコースのみ。
シェフのMatthew Lightnerは、PortlandのCastagnaにいたひとで、デンマークのNormaにいて、スペインのMugaritzでAndoni Adurizに師事したという。

New York Magazineのレビューが結構よかったのだが、ここの評価はたまに外していることあるし、この手のModern Eclectic Cuisineって、WD-50の例もあるように、なかなか定着してこない。
ただ他方で、老舗の大御所(Bouley, Daniel, Jean Georgesなど)が伸び悩んでいる背景には、こういう新勢力の台頭もあったりするのかなあ、とか。

結局はおいしいもん食わせろ、なんだけどね。
通りに面したとこには店の名前の看板がなくて怪しげ。 カウンターはぐるりと15席、あとは6人掛けのテーブルがひとつ。

まんなかの調理台でシェフを含めて4人くらいがスポイトだのなんだのいろんな器具を使ってよってたかって作業(調理、ってかんじはしない)、しててそのまわりを、工程管理するおねえさんとか、火入れとかパンとかデザート担当とかが囲む。全部で10人くらいか。

最初に「スナック」ていうのが10品。 スナックなので籠とか箱とかに入ってて、はい、って出されたもんを手でつまんで口に運ぶ。
これがなんともいえずおもしろくてたのしい。 食材の風味と外見、食感に触感(さわってぶにゅ、とか)、料理名を聞いて、目で見て、鼻で嗅いで、手で摘まんで、口に入れて、もぐもぐして、飲みこむ、これらの各工程でインとアウトのイメージが全て微妙にずれまくるので全体としてはこれなに? の吹き出しが脳内で乱立していく。

例えばフォアグラ落花生、ていうのがあるの。
茶色の殻つき落花生の形で、ちょっとだけぬめっとしてて、でも後味はしっかりフォアグラがくる。
こんなのばっかしで、メレンゲでできたロブスターロールとか、うずらの卵とか。
おいしいおいしくないでいうと、おいしい、けど、それは各自のおいしさの定義とか許容範囲の更新を要求してくるような押しの強さがあって、今にして思えば、これらのスナックは、メインの前座として、各自における「おいしい」を一旦宙吊りにするような機能を持っていたのではないかしら。
問答無用においしいー! ていうのもあるが、一瞬考えて、おいしいー、って言っていいのかしらこれ? と周りを見回してしまうようなやつもある。

そこいくと同じようなスタイル(カウンター対面、てづくり - てつまみ)でも、(例えば)お寿司のシンプルなことったら。
あんな、試験管とかスポイトなんかで実験しながら作ってるような料理なんて食えるかい! 黙ってうまいもん持ってこんかー! みたいなひとは来ないほうがよいかも。

スナックの後のメインは9皿。 メインの食材+付けあわせのはっぱ、とかの組合せになってて、スナックほどアヴァンギャルドではなく、なにが料理されているのかはわかるし、一応ナイフとフォークもある。

なかにはラーメンやってみました、とか言って失敗してたのもあったが、全体としてはすばらし。
トリュフです、と言ってでてきた外側真っ黒のビーツのローストがおいしかったねえ。
この流れでどうやって締めるのかとおもったら、最後の方はどまんなかを狙ってVeal ~ 和牛のリブアイへと。 特に和牛は赤身のまっかっかなレアで、付けあわせの酢漬けのMarrowの刃物のような鋭さと共に震えがきた。

好感をもてたのは、泡とか液体窒素攻撃がなくて食材真向勝負をしようとしているとこ。 
ほとんど東海岸のローカルで自分達で見つけてきたものでやりくりしようとしている。 野草やハーブの使い方は相当ちゃんとしていた。

メインのあと、オプションでチーズも取って(すごくおいしかったのだが、どこのだったかメモとるのわすれた)、デザートは4皿でた。
デザートは、どんな変なのが出てくるかどきどきしたのだが、シャーベット → ピーチ → Churro → アイスクリームサンドと、これも見事な直球で、直球であるが故の切ない甘さとやさしさにやられる。 さっきまであんな変態だったくせに、別れ際になったら… とかそんなかんじ。

というわけで、すごくおもしろくておいしくておなかいっぱいになったのだが、好き嫌いの多いひととか、アレルギーのいっぱいあるひととか、そういうひとはちょっと難しいかも。 
(予約の際に結構聞かれます)

http://ateranyc.com/

今回、本はあんま買わなかったかも。 雑誌はあれこれ買ったけど。

"Canyon of Dreams : The Magic and the Music of Laurel Canyon"
http://www.sterlingpublishing.com/catalog?isbn=9781402765896
これのソフトカバー版が出ていたので買った。 西海岸音楽の包括的なガイド。写真いっぱい。

あと、33 1/3シリーズの、Talking Heads "Fear of Music" by Jonathan Lethem。 
これ、どこの本屋にも山積みされてた。

VFILES x Gallagher’sはateraに行く前に立ち寄ったのだが、East Villageにあったころの1/3くらいしかなかったかも。
90年代初のPaperとか、少しだけ買いましたが、古雑誌の値段のあがったこと(つりあげてるでしょ → V)。

レコードは、ぜんぜんで、少し買った程度。
Dirty Projectorsの8x8 inchていうのを買った。 塩化ビニール板からそのまま切り出したみたいなぶあつい四角の板。溝は片面だけ。 

BAMに行ったら、Next Wave Festivalの30th seasonのパンフが置いてあった。
もう30thかあ。行き始めた頃は15thとかだったもんなー。
アイスランドのVesturport TheaterがゲーテのFaustをやって、その音楽をNick CaveとWarren Ellisがやるのとか、音楽だとJohn CaleがNicoへのTributeをやるのとか。

行き帰りの飛行機では、新しい映画はぜんぜん見ないで落ちてた。

行きは、"We Bought a Zoo"と"The Vow"をふたたび。
"The Vow"、記憶を失ったの男のほうだったら、どうだっただろうか、とか思った。 彼女は割とあっさり諦めてしまうのではないか、とか。

帰りは、7月に入って番組が変わってて、まず"21 Jump Street"を。
やっぱしこれおもしろいわ。 なんだか意味不明だがどかどか盛りあがるエンドロールも素敵。

それから"The Hunger Games"もふたたび。 国家とかメディアのありようをきちんと俯瞰できて、それは現代とも地続きで、そういう点で近未来の荒唐無稽SFなんかではない、そうとうきちんと作られた映画なのだな、というのが改めてわかった。
続編には、Jena Maloneさんが出ると。 これはなんかすごくなるかも。
   
あと、「レンタネコ」ていうのを見てみたのだが、猫がぜんぜんまんなかに出てこないのでつまんなくなって切った。

あとほかになんかあったか。


0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。