11月15日、土曜日の晩、Royal Court TheatreのUpstairsで見ました。
シアターのあるSloane Square周辺は始まったばかりのクリスマスマーケットできらきらのぐしゃぐしゃだった。
座席指定ではなく全席自由なのだが、A4サイズバッグより大きい荷物は預けるように、というのと、入る前に入り口に置いてあるソフトカバーで靴を包むように、という指示があって、中に入ると客席が四方を囲む形で全体が乳白色のふかふかので覆われたソファのようになっていて中央は大きな楕円の2段くらいのすり鉢型 - たぶん女性器を模している - に凹んでいる。
タイトルだけでもはっきりと18禁なのだが、ポルノがダイレクトにプレイされるわけではもちろんなくて、いろいろ考えさせてくれるとてもよい内容のものだった。
プレイテキストの最初にはMiltonの引用と、もうひとつ、”All paradises are defined by who is not there, by the people who are not allowed in.”というToni Morrisonの言葉が引いてある。
原作はSophia Chetin-Leuner、演出はJosie Rourke、休憩なしの約75分。冒頭、女性 - イヴ? - が現れて無言のマイムをして誘惑の世界に誘ってくる。
大学の修士を出て講師としてJohn Milton (1608-1674)を教えているAni (Ambika Mod)は学業は優秀で学界で有望な若手と言われいて、彼Liam (Will Close) もいるし、彼との仲がうまくいっていないわけでもないのだが、インターネットポルノに嵌っていて、彼と会った(やった)後の寝る前とかにPCとかスマホを出して(セットのクッションの隙間に挟みこんであってすぐに取り出せるようになっている)サイトにアクセスして、マスタベーションをするのがふつうの癖のようになっていて止められない。Liamもそれを知っているのでやめてくれない? と頼むのだが、Aniはなんで? 浮気しているわけじゃないし、あなたに満足していない、ってことでもないし、酒とかドラッグみたいに習慣化によって体によくないことになるわけでもないし、嫌なのはわかるけど誰にも迷惑かけてもいないし、個人的な愉しみなんだからほっといてほしい、ってつっぱねている。
その習慣はやがて真面目な父にも見つかって器具を取りあげられてしまったり、Liamからも距離を置かれるようになったり、どこかおかしいのかも、って産婦人科に行ってみたりするが、どうにもならない。やめられない。これって悲劇なのか喜劇なのか?
なんでそれをしてはいけないのか、の方よりも、どうしてそれが彼らからよろしくないこととみなされてしまうのか、の方にどちらかと言うと力点が置かれ、それは彼女の研究テーマである『失楽園』の方にも及んでいく。他方で、彼女が見ているサイトの映像は抽象化され(見えた範囲ではりんごみたいのが映っていたり)てて、喘ぎ声とか、音声のみが聞こえてくる。あと、ここで商業コンテンツとして提供されているポルノ業界がその根に孕んでいそうな暴力や虐待についても触れられてはいない。
性の快楽に根差したことは決定的な答え、ありようとして説明しにくい気がするし、逆に汎化しすぎるとわけがわからなくなるだろうし、そのバランスをうまくとって、全体としてはどうしたもんかねえ… みたいな途方に暮れる系の軽めのコメディに仕上がっているような。
あと、こないだの”Every Brilliant Thing”にも出演していたAni役のAmbika Modのさばさばした態度と軽妙な受け応えのトーンが絶妙で、彼女なしには成り立たなかった気がする。
これを見た後で、既に書いた映画 - ”The Choral”を見たのだが、世界があまりに違いすぎて変なかんじになった。
11.23.2025
[theatre] Porn Play
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。