10月27日、月曜日の晩、Curzon BloomsburyのDocHouseで見ました。
Ben Stillerの監督によるドキュメンタリー作品で、こないだのNYFFでプレミアされ、Apple TV+でも配信が始まっているので、日本でも見れるのかしら?
Ben Stillerが彼の両親 - Jerry StillerとAnne Meara、60-70年代のTVを中心としたショウビズの世界で花形だった夫婦コンビの足跡を辿っていく。
まず、Benが両親が住んでいた(Anneは2015年に、Jerryは2020年に亡くなっている)NYのアパートに足を踏みいれると、膨大な量のフィルム、写真、手紙、メモラビリア等がぜんぶ遺されていて、TVのThe Ed Sullivan Show等を中心としたフッテージ - ユダヤ人の夫とアイリッシュの妻、とか - の数々、彼ら二人が遺したホームムービーなどから振りかえりつつ、彼らが辿ってきた道と、途中からBenと姉のAmyも生まれて家族ができて、セレブとして多忙だった彼らの家族として過ごすのってどういうことだったのか、等も含めて追って、そこにはBenの妻や子供たちも加わる。
Anneはコメディではなく俳優を志望していて、でもJerryと出会ってコメディの道に入って、漫才コンビとして成功して、生活も安定して、アメリカ中を転々とするような生活になって、幼いAmyやBenからするとそんなに幸せではなかったようなのだが、でも、大量の記録を通して浮かびあがってくるのは、どれだけふたりがずっと愛しあっていて、どれだけ子供たちのことを気にかけていたかで、それはこの、ここで映しだされる分も含めた記録の総量を見ればわかるし、だから”Nothing is Lost”なんだよ。彼らはいなくなってしまったけど。
ということを、Ben Stillerが自分と、自分の今の家族にも言おう、言わなければ、と思って作った作品で、それはJerryとAnneがずっとお互いに見つめ合って言い続けていたこととも重なって、ああ、ってなる。家族ってそういうものだ、って言ってしまうのは簡単だけど、こんなふうに正面きって言う – ずっとぺらぺら冗談ばかり言っていたBen Stillerがふと真顔になるあの瞬間を思いだしたり。
Benが父に今の自分ほど有名じゃなかった、って言うと横にいた母が即座にあなたおねしょしてたでしょ、ってBenを激怒させたりとか、とにかく素敵な家族なの。
Omar and Cedric: If This Ever Gets Weird (2023)
10月18日、土曜日の晩、Curzon BloomsburyのDocHouseで見ました。
こんなの見にくる人いるのか? と思ったが結構入っていた。でもここの上映のローテーションには入っていないみたい。
Omar Rodríguez-LópezとCedric Bixler-Zavalaの80年代から、特にAt the Drive-InとMars Voltaを中心とした活動の記録。タイトルの”If This Ever Gets Weird”はその後に、すぐにやめような、が来る。
監督はNicolas Jack Daviesで、上映前にシアターに顔を見せて、トークとかできないけど、上映後も上のバーにいるからなんか聞きたいことあったら声かけて、と。
監督はいるのだが、素材の殆どはOmarがずっと撮り続けてきた膨大な量のビデオや写真で、一番古いのは80年代のプエルトリコからやってきた移民としての家族のこと。そこから、テキサスのハードコアシーンでのふたりの出会いから、あきれるくらいにぜんぶ揃っていて、そこにOmarとCedricが交互にナレーションを被せていくので、ドキュメンタリー作品としての強さはあまりなく、ふたりによる活動の回顧-総括みたいなものになっていて、このふたりについてはそれでよいのかも。 上映時間は127分だが200分にしたって見たい人は見るだろう。
At the Drive-Inが爆発して、そのピークに分裂してMars Voltaを作った頃のなぜ?についてもJeremy Wardの死についても、CedricのScientologyの件についても、Teri Gender Benderのことも、彼ら自身の言葉で率直に語られているし、おもしろい、というのとは違うのかもしれないが、バンドの活動を記録する、というのはこういうことだよね、というのがよくわかる内容になっている。 と同時にOmarのばけもののような創造の裾野、その広がりを目の当たりにして、なんてすごい、になる人はなると思う。
Kim Novak's Vertigo (2025)
10月18日、土曜日の午後、LFFをやっているBFI Southbankで見ました。少しだけ書いておく。
監督はAlexandre O Philippeで、監督自身が大ファンであるKim Novakの自宅を訪ねていろいろ昔話を聞いて記録していく。
タイトルから、彼女の名を一躍有名にしたAlfred Hitchcockの”Vertigo” (1958) - 『めまい』の撮影時のことなどが、スキャンダラスなところも含めて赤裸々に語られるのかと思ったのだが、そうではなく、彼女のキャリアを振りかえって、自分がいかに恵まれたスタッフやキャストに囲まれて「女優」として成長できたか、等について感謝を込めて語っていく。クライマックスは、ずっと箱にしまわれていた『めまい』でのグレイのスーツを出して抱きしめるところで、分裂をテーマにしていたあの映画のあれこれが幸せに統合されていくようでよかったねえ、になるのだが、他方で、(犬猿だったと言われる)Hitchcockのことがあまり出てこないのは、ちょっと残念だったかも。
11.02.2025
[film] Stiller & Meara: Nothing Is Lost (2025)
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