11.24.2025

[theatre] John C. Reilly is Mister Romantic

11月19日、水曜日の晩、WalthamstowのSoho Theatreで見ました。

いつも行っているSoho TheatreはSohoの繁華街にあるのだが、今回のWalthamstowっていうのは地下鉄のVictoria Lineの終点で、結構遠いところで、間違えるところだった。大昔に建てられたクラシックなシアターを買い取ったものなのか、大きさも含めて雰囲気はとても素敵。 ここでの3日間公演の最終日。
チケットは随分昔にアナウンスを見てすぐ取って(あっという間に売り切れていた)、でもこのお題で何をやるのかは謎だった。

場内が暗くなると、客席の後ろの方から楽隊 - アコーディオンにラッパ、バイオリン、バラの花を抱えた人等、縦一列で正装した4人が演奏しながら入ってきて、ゆっくりと通路をぬってステージ上にあがる。ちんどん屋風だが、みんなぱっとしない浮かない顔でしんみりしていて、仕事だからしょうがない or 葬列のようにも見える。彼らがよく映画に出てくる宝物が入っているような木箱をどん、ってステージに置いて適当に演奏をはじめると箱の中からJohn C. Reillyが出てくる。燕尾服を着て、頭髪は爆発してて、頬には薄っすら紅で、演奏を始めたバンド – ピアノ(たまにアコギ)、ウッドベース、アコーディオン&ラッパ、バイオリンにあわせてスタンダードを歌ってステップをふんだり舞ったりしていく。

John C. Reillyの歌については、映画版”Chicago” (2002)でも歌っていたし、“Walk Hard: The Dewey Cox Story” (2007)だってあったし、Third ManからJack Whiteプロデュースで7inchも出したりしていたし、ヴォードヴィル風の、ということであれば、”Stan & Ollie” (2018)のOliver Hardy役が記憶に新しくて、要はこういう演し物についてはなにも心配することはなくて、実際そうだった。なにが飛びだして、どこでどうタガが外れて、どんなふうに襲いかかってくるのか、どきどきして見ていればよいだけ。

曲の合間には来てくれたみんなをさんざん揚げて讃えてバラの花束をぶんまわして、数曲やってそこからバラの花のついたマイクを手にすると客席に降りてきてやあやあ、ってひとりひとりいじりながら通路の間をぐいぐい入っていって、事前の仕込みがしてあるのかどうかわからないけど、女性の客にマイクを向けて名前からいろいろ聞きだし、最初の人はステージ上まで連れていって、「これからずっと僕についてきてくれるかい?」ってプロポーズをする。言われた方は「ごめんなさい」って返すと、そうかそういうことか、って拗ねてステージに戻ってきてやけくそ半分で歌を、というフーテンの寅みたいなやりとりを4回くらい、女性だけじゃなくて男性客にも同じようにやる。返しは全員「ごめんなさい」だったのだが、これに”Yes”って応えたらこの後どう展開していったのか、はちょっと興味がある。

でもとにかく彼は”Mister Romantic”なのでそんな程度では凹まなくて、まずは客を笑わせて楽しませて幸せになって貰おう!だし、”Chicago”ではRenée Zellwegerの旦那だったし、“The Hours” (2002) ではJulianne Mooreの、“We Need to Talk About Kevin” (2011)ではTilda Swintonの旦那だったんだから、すごいんだから(相手はみんな幸せになって… ない?)。

彼の芸って、名作“Step Brothers” (2008)でも、”Stan & Ollie”でも、よい相方 - バカであればあるほどよき - がいるところで加速して爆発するものなので、今回の客席に突っこんでいくやりかたはよいのだが、相手の応答がふつうであればあるほどつまんなくなっちゃうのがなー、いや、つまんなくはないんだけど、ふつうの芸人のそれになっちゃうんだよね。

終わりは現れた時の箱に飛びこんで箱がそのまま運ばれていって終わり、バンドは元きた道を演奏しながら帰ったのでした。カーテンコールとかはなし。1時間20分くらい。 でも彼を目の前で見れたのでよかったことにした。

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