11.23.2024

[film] Red One (2024)

11月10日、日曜日の午後、Leicester Squareのシネコンで見ました。

クリスマス映画で、ポスターの真ん中にあんなようなでっかい白熊がいて、Dwayne JohnsonとChris EvansとLucy Liuが並んでいたら、これぜったい見なきゃ、ってふつうなるよね。

“Red One”と呼ばれる超人のようなハイパフォーマーであるサンタクロース(J. K. Simmons)がいて、Dwayne Johnsonは彼のガードを含む警備隊長をずっとやってきたのだがもう引退することを考えていて、でもクリスマスイブを控えたある日、Chris Evansのチンピラハッカーが厳重に管理されていたサンタの場所を漏らしてしまったので、悪の組織がサンタクロースを誘拐・監禁して、世界中のクリスマスを混乱させて真っ暗にしようとして、Dwayne JohnsonとChris Evansがどつきあいながら救出作戦に乗りだすの。サンタはプレゼントをイブの晩に配達することができるのか? って。 設定もストーリーもぜんぜん悪くなさそうなのに、ぜんぜんしまらない展開になってしまったのは、白熊がフロントに出てこないのと、巨大トナカイ戦隊を自在に働かせなかったのと、Lucy Liuにちょっとしかアクションさせなかったからではないか。 どうせならFast & Furiousのシリーズみたいに、だいじなのは家族と筋肉と車、みたいに吹っ切ってぶっ飛んだどんぱちにすればよかったのに。

というか、サンタがあんなマッチョな超人で、あれだけ厳重装備と組織で守られているのに、なんでプレゼント配りしかしないの? 子供たちの願いをかなえてあげるのが、仕事なんじゃないの? って、“Elf” (2003)に出てきたサンタのすばらしさを改めて思った。

『ダイ・ハード』の約10倍の予算を使った作品だそうで、あーなんてもったいない、そのお金で子供たちになんかしてあげた方がどんなにか、っていうアンチ・クリスマスの方に行ってしまう危惧すら。


Christmas Eve in Miller's Point (2024)

11月17日、日曜日の昼、ICAで見ました。
これもクリスマス・イブを描いたコメディで、↑のの100倍くらいよかったかも。

作(は共同)・監督・プロデュースはTyler Thomas Taormina、今年のカンヌでプレミアされている。
出演もしているMichael Ceraはプロデューサーとしても参加している。

クリスマス・イブの晩、Balsano familyの夫婦や子供たちが代々から続く一軒家にどこからか集まってきて、Michael Ceraは車の中でスピード違反とかを監視している警官(この後も何度か出てくるがほぼむっつり何もしない)で、家では料理作るのが大好きなおじさん(よくいる)が大量の料理を作っては盛大に並べていて、仲良い親戚 - よくない親戚 - 知らない親戚たちはとにかく朗らかにキスしてハグして子供たちは床とか隅とかにわらわら散っては固まり、とにかく意外な光景は何ひとつない。お正月、盆暮れで見慣れた動物たちの群れを見事な編集で繋いでいくなか、誰が誰なのか、どういう関係や過去があったりするのか、などがぼんやりと浮かびあがってくる。飽きずにいくらでも見ていられる絶妙な滑らかさ。

いつの間にか宴が始まってからも老人、夫たち、妻たち、子供たちのサークルは群れては解れを繰り返し、小さな波風は立つものの見知らぬ誰かのとんでもない狼藉が何かをぶち壊すことはなく、寧ろその輪郭を強く温かく固めていって、そのうちみんなで恒例らしいイブの晩の消防車のパレードを見に行って、そのうち女子ふたり - Matilda Fleming & Francesca Scorseseがそこを抜け出して車で夜遊びにでて行ったり、大人たちはおばあちゃんが亡くなった後のこの家をどうするかについて議論していたり、それでも… (以下延々)

みんなの定番”Love Actually” (2003)や、こないだの”That Christmas” (2024)のように無理しなくても、誰かが誰かを抱きしめたいと思ったり願ったりする、それさえあれば、その兆しが見えるのであれば、クリスマス映画なんてこんな金太郎飴でよいのだ、というのを確信させられてしまう。そしてそこに魔法も筋肉もいらない。

そして、ラストにThe Ronettesの”Baby, I Love You”が大音量で流れるので、それだけでもう何も。
 

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