11.06.2024

[film] The Train (1964)

LFFが終わったあとのBFIでは、12月までのでっかい特集として”Art of Action: Celebrating the Real Action Stars of Cinema”というアクション映画特集をやっていて(あと、”Echoes in Time: Korean Films of the Golden Age and New Cinema” - 韓国映画史を俯瞰する特集も)、サイレントの頃からキートンから『七人の侍』からジャッキー・チェンからターミネーターまで、なんでもありなのだが、特集の目玉は4KリストアされたKathryn Bigelowの”Point Break” (1991) - これまで権利関係で公開できなかったものが漸く、だそうで予告を見ると確かにおもしろそうかも。

そこから見た何本かを纏めて。見た順で。

The Long Kiss Goodnight (1996)

10月23日、水曜日の晩に見ました。監督はRennyHarlin、邦題は『ロング・キス・グッドナイト』。

小学校の先生をしているGeena Davisは小さな町で娘とBFと幸せに暮らしているのだが、8年前に妊娠した状態で浜辺で倒れているのを発見され、でもそれより前の記憶がないのが不安で、でもクリスマスパーティの後の自動車事故のショックで自分のなかの何かが目覚め、同時にTVで彼女を発見した悪そうな連中がわらわら追ってくるようになり、探偵のSamuel L. Jacksonと一緒に逃げたり戦ったり - 身体が反射して動く - しながら自分を取り戻していくうち、自分がCIAの凄腕スナイパーだったことを知り…

90年代、絶好調だったRenny Harlinと同様にドル箱脚本家だったShane Blackのコンビなので、なんの捻りもないどかどかと大味のアクション(これでもくらえ → どかーん)が繰り広げられていくばかりなのだが、どこか懐かしいし、これくらいで丁度よい(なにが?)のかも。ぼろぼろに引きずられた挙句、”Oh Shit..”って呻きながら彼方に吹っ飛ばされる定番Samuel L. Jacksonを見れるだけでもすばらしい。Geena Davisもかっこよいのだが、なんか、どこか無理しているかんじ – 眠らせていた女を目覚めさせたら怖いぞ、っていう強引なイメージ作りに貢献しているようなところとか、ね。

そして結婚していたRenny HarlinとGeena Davisはこの後離婚しました、と。


Captain Blood (1935)

10月27日、日曜日の昼に見ました。監督はMichael Curtiz、邦題は『海賊ブラッド』。35mmプリントでの上映。

まだそんなに有名じゃなかったErrol FlynnとOlivia de Havillandを主演に据える賭けに出て大成功した作品。
17世紀のイギリスで、外科医をしていたBlood (Errol Flynn)が逮捕されて死刑寸前のところを西インド諸島に流されて、そこのお嬢さんArabella (Olivia de Havilland)に買われてどうにか生き延びて脱走計画をたてるが、ばれていよいよやばい、ってなったところで横からスペインの襲撃にあって、そのどさくさで海賊になって名をあげて… という波乱万丈の巻きこまれ成りあがり海賊ロマンで、さくさく流れて2時間あっという間。終わってみんな大拍手で。

Bloodの何も考えていないふうでとにかく目の前の危機を乗り越えてなんとか生きていく能天気さと、同様に一切の湿っぽさを見せないArabellaの都合よい軽さ適当さが大恐慌の時代には必要だったのだろうかー。海賊のモンスターみたいに陰惨な、あるいは残酷で貪欲なイメージとは真逆のその場限り無責任男一代で、これなら自分も海賊になれる、って思った人は多かったに違いない。

当時のイギリス、スペイン、フランスとの関係もてきとーにわかって勉強になるけど、みんな英語で会話できたの? とかいつもの…


The Train (1964)

10月27日、日曜日の夕方に見ました。監督はJohn Frankenheimer。邦題は『大列車作戦』。こんなおもしろいのあったのかー、だった。

実話ベースの話ではないが、実際に絵画が運び出されそうになったことも、その手前で発見されたこともあるし、これをアメリカ軍の側から描いたGeorge Clooneyの”The Monuments Men” (2014)もあったよね。

第二次大戦末期のフランスで、ドイツ国防軍が国宝のような美術品 - ゴッホ、セザンヌ、ルノアール、ピカソ、ドガ、等々を次々梱包して列車でドイツ側に運び出そうとしていて、それを断固阻止すべくレジスタンスのBurt Lancasterたちと鉄道員たちが一緒になって飄々と妨害工作を繰りひろげていくの。でもそう簡単には行かずに作戦実行の度に沢山の人が消されていって、たかが絵画のために? って問いが繰り返されるのだが、Burt Lancasterのずっと噛んでいる苦虫と最後のくそったれ、がすばらしい。

最初の方に出てくる機関士のMichel Simonとか駅前食堂/ホテルのJeanne Moreauのそこらにいそうな疲れたかんじもかっこいいし、実際に列車を走らせて、止めて、脱線させてを実際にやっている、そのアクションの重さでっかさには感嘆しかない。走っている狂暴な列車を無理に停めたり壊したりすること、それを再び走らせること、そのために何をするのか、何が必要なのか、等が小さな人々の走りまわるシルエットに重ねられていって、その上に突然飛行機がやってきたり、というめくるめくな展開。

鉄道員たちひとりひとり、そんなに言い合ったりすることもなく、静かに沸騰している佇まいがたまんなくよくてー。


とってもどうでもよい話。BFIではフィルム上映前に、いつも予告数本とLloyds BankのCMが掛かって、このLloydsのCM(子供積み立てみたいなやつ)がすごくださくて不評で(日本の映画泥棒のよりはまし)、元気な客がいるときは”Rubbish~!”って罵声(→拍手)になるのが恒例だったのだが、1年くらい続いていたこのCMがLFFの後についに変わって、スポンサーは変わらずLloydsなのだがちょっとほっこり系のになった。少しはおとなしくなるかな.. と思ったら、先日やはり”Rubbish!!” “Still!!”って...

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