11月8日、金曜日の晩、BFI IMAXで見ました。
BFIのアクション映画特集の目玉 - ‘“Art of Action: Celebrating the Real Action Stars of Cinema”となるリストア版によるリバイバルで、その公開初日。それを記念してなのか土曜日の晩のIMAXでは”John Wick”ぜんぶをオールナイトでやるって(すごく疲れそう&ぜんぶ同じじゃないか)。IMAXで『七人の侍』が一度だけ掛かった際も、まだ完成はしていないが、という断りつきでこの予告編が流され、予告なのに拍手が起こったのだった。
監督はKathryn Bigelow、音楽はMark Isham、邦題は『ハートブルー』 …
“Bram Stoker's Dracula” (1992)よりも、”My Own Private Idaho” (1991) よりも前のKeanuがいて、これだけで一見の価値かも。
冒頭はJohnny Utah (Keanu Reeves)がLA警察に入る前のトレーニング風景で、射撃訓練とか完璧! って言われたり恥ずかしくなるくらいキラキラで、そんな彼がどことなくBoris Johnsonみたいな上司のPappas (Gary Busey) と組んで、神出鬼没の銀行強盗グループを追うことになる。 そいつらはレーガンとかニクソンの覆面をしていて、きっかり30分で済ませて逃げてしまうので足がついていなくて、でもこれまでの調査であるビーチにたむろするサーファーのグループである可能性が高い、と。
そこでJohnnyはサーフィンを習いたい、とその浜の売店でバイトをしていたTyler (Lori Petty) に声を掛け、経歴を偽って彼女と仲良くなりつつ、グループのリーダーのBodhi (Patrick Swayze)に近づいて、最初怪しまれていたグループの連中からも(運動神経はよいし根が素直なので)認められていって…
よくある潜入捜査で抜けられなくなっていってヤバいモノ、ではあるのだが、ありがちな仲間たちとの絆、というよりはJohnnyとBodhiの間のブロマンス、そして銀行強盗と同列に並べられるサーフィンやスカイダイビング、といった”100% Pure”アドレナリン放出系の死と隣り合わせのスポーツの快楽があり、それらを彼らと一緒に経験していくJohnnyは警察の顔を露わにして – 簡単に見抜かれる - 裏切るなんてことができなくなる。
そしてこの映画のBodhiは、わかりやすく邪悪なヴィランではなくそのような生をど真ん中に据えて堂々と生きる魅力的なアニキとして描かれていて、Johnnyが彼のと比べたら自分の仕事なんて… になることはわかっているし、BodhiもJohnnyの正体をわかってしまうし、彼が自分に惹かれていることも十分わかった上で、Johnnyを試すかのように最後の銀行強盗にうってでる。
どこかに『狼たちの午後』 (1975)と『ビッグ・ウェンズデー』 (1978)の変てこミックス、と書いてあって、確かにそんなふうなのだが、ここに70年代風の強いわかりやすさはなく、イノセンスが転がされ白とも黒とも言い切れない狭間で誰かが誰かを – 愛するのか殺すのか、という刹那。 例えば漫画の『バナナフィッシュ』にもこの感覚はある。 そういうのがあるのでアクション映画としては、大波ざぶーんで終わり、でやや大味、というか、アクションのもとにあるのは憎しみとか怒りとか、犯罪の動機になりそうなエモではなくただのアドレナリンではないか(動物か..)、という辺りにKathryn Bigelowの冷めた目があって、変な映画ではあるかも。
あと、きらきらのKeanuよりもPatrick Swayzeがすごくよいのでびっくりした。”Dirty Dancing”(1987) よかぜんぜんよいじゃん。
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