7.22.2020

[film] These Three (1936)

14日、火曜日の晩、Amazon UKで見ました。事情は知らぬが最近ここ(Amazon)でSamuel Goldwynの30-40年代のクラシックが12本くらいレンタル可能になっていて(£3ちょっと)、こんなの見ない手はない。監督William Wyler、原作はLillian Hellmanの戯曲”The Children's Hour” (1934)、撮影Gregg Toland、音楽Alfred Newmanという鉄壁の人たちが作っていて、Wylerは同じ原作をAudrey HepburnとShirley MacLaine主演で61年にリメイクしている(邦題は『噂の二人』)。こっちの邦題は『この三人』。

Karen (Merle Oberon) とMartha (Miriam Hopkins)が大学を卒業して、ふたりでKarenの打ち棄てられていた実家に戻るとそこで勝手に養蜂とかしている地元の医師のJoe (Joel McCrea)と出会って、KarenとJoeはちょっとときめいて、MarthaもJoeをちょっと好きになるのだが、それはともかく、KarenとMarthaはこの家を改装して女子の寄宿学校にして、そこにやかましいKarenの叔母さんLily (Catherine Doucet)もやってきて、生徒も集まって賑やかにやるようになる。

JoeとKarenはこっそり(でもMarthaにはお見通し)夜中にデートしたりしていたのだが、JoeがKarenを待つ間にMarthaの部屋で休んでいたのを Lily叔母さんが見て勘違いして騒いで(定番)、それを傍で聞いてた女生徒が誤解して、それを日頃から教師を憎んでいる邪悪なMary (Bonita Granville) が 曲解して転がして、学校のスポンサーであるおばあちゃんのところに泣きながら駆け込んだもんだからさあ大変、ふざけんなよガキって裁判まで起こすのだが負けちゃって学校はお取り潰しになって…

よくある三角関係ドラマを無垢であってほしいのにそうでない子供が目撃して騒いだら、しかもその子供がとんでもないモンスターだったら? 知られているように元の戯曲でKarenとMarthaはレズビアンという設定で、当時の舞台でそれが上演できたのは異例で、映画でも当時のヘイズ・コード下では無理だったのでやむなく三角関係を持ってきた(61年のリメイクではそれをオリジナルのに戻した)という、そういう事情があるにせよ、いけない関係をいけないことと認識しているいけない子が上塗りして暴いて騒ぐ、そうやって現れる今でいう「地獄」に「この三人」が手を繋いで立ち向かうのだが、ここでいちばん強く残ってしまうのはMaryだという.. 更に、「この三人」を結果的に救ってしまうのはみんなから煙たがられていた困ったおばちゃんだと..

愛の勝利とか、ぜんぜんそんなのかすりもしない、Joeはなんの役にもたたない、誰と誰が一緒になっても別にどうでもええわ、みたいに展開する変なドラマといえば変なやつで、でもおもしろくて手に汗握るったらないの。

女子たちの寄宿学校での同じように秘められた関係とそれが内側でゆっくり壊れていく行方を追う、というとJacqueline Audryの”Olivia” (1951)があって – これ先週の#FridayFilmClubでかかったの – どっちも素敵だねえ。

でも室内の扉の向こうとこちらとか、ドアの向こう側にいる誰かとこちらとか、外と内を強く意識させる空間の陰影づくりはクラシックとしか言いようがなくて、そのままサスペンスホラーに転化できるくらい強いかんじがした。 そういう捉え方もできないことはないくらい。

というわけで、このシリーズ - Samuel Goldwynもの - をしばらく見ていくことにした。

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