3日、金曜日の晩、配給のOscilloscopeから来たメールに従って、”Other Music” (2019)の時と同様に現地のレコード屋を指定して(売上げの半分が行くらしい)お金を払って見ました。
Blind MelonのヴォーカリストShannon Hoon - 1995年に28歳で亡くなった彼のドキュメンタリー映画。ドキュメンタリーといっても映像の殆ど(全部かな?)はShannon自身が90年から死の数時間前まで自分のハンディカメラで撮り続けていたバンドとか家族とか自分とかの - を編集したもので、だから彼自身も4人目の監督としてクレジットされている。
Blind MelonはShannonの死後に解散してしまった(まだやっているらしいが)ので若い人は知らないかも知れないが、泥沼ぐちゃぐちゃのグランジの横でルーツ回帰みたいなシンプルなロックがあった時期(→ その一部は90年代中後期のSSWとかに繋がる、とか?)があって、大ヒットした”No Rain” (1992)は一時期毎日のように蜂の子のPVと共に流れていた。この映画のタイトルもこの曲の最初の一行めので、それは”All I can say is that my life is pretty plain” ていうの。
冒頭は95年10月21日、ホテルの客室に録画オンのままのカメラを置き、電話で喋りながらベッドに横になるShannonの姿で、彼はこの数時間後に亡くなってしまうのだが、映像はそこからぱたぱた遡っていって90年頃、ビデオを撮り始めた頃までいく。
見る前にこの映画の内容 – Shannonが遺したホームビデオの映像が中心 – を聞いたときはちょっときついかなあ、と思ったのだが、インディアナの田舎から出てCapitolとメジャー契約をして”No Rain”の大ヒットでバンドが爆発してやがて.. の5年間が当時の音楽シーン、ライブの現場、バンドの内側外側、Shannonの家族、Shannon自身まで極めてパーソナルなところからパブリックに近いところまで、upperなのもdownerなのもplainなのも、彼個人の視点と目線できちんと網羅され切り取られていて、目を離すことができない。
彼のセンスによるものなのか編集が見事なのか、90年代初のアメリカの音楽シーンの熱狂 – あの時代に自分のバンドがブレークする – がどんなだったのかというのが目をひんむいている当事者の目で綴られ、更にはその動きと決して無縁ではない94年のKurt Cobainの悲劇がShannon自身に与えた衝撃とそのよくない余波までありありとわかる。関係者証言なんてほぼない。彼が撮ったMTV Newsの映像と独り言だけでも十分に。
“No Rain”のメイキング映像も少し。このPV、どこに行っても笑いもの除け者にされてしまうかわいそうな蜂の女の子が最後に同じような仲間を見つけてみんなで歓喜のダンスする、そういうやつで、いま意地悪くみればオタク的集団の興隆を描いたものに見えてしまうのかも知れないけど、このビデオの中に置かれるとShannonとバンド自身の姿でもあったのかもねえ、とか。
あと圧倒されるのは当時のライブ会場の熱。死者が出たり怪我人が出たりで90年代終わりにはおとなしくなってしまうのだが、ダイブ、モッシュ初期の狂った芋洗い状態が最前線で撮られている。いまの、そしてこれからの若者たちからすれば信じられない肉団子かも知れない、今後100年くらいは御法度になってしまうであろうやばいやつ。
Woodstock ‘94の映像とかやっぱり疼くねえ。タイムテーブル、彼らの少し後にはNINがいる..
それよりもなによりもギターをかき鳴らして歌いだせばそれだけで一曲できあがってしまうようなShannonの才能とあのバンドが持っていた可能性を思うとしみじみする。再開された”Soup”のツアーのチケットはすぐ買ったのにな。そういえば払い戻ししていないわ。
何度か出てくるMTV NewsでのKurt LoderとTabitha Sorenの姿、Webなんてまだぜんぜん、だった90年代初、このふたりが世界の窓だったんだよ。まじで。
来日公演時の移動とかインタビューを受けるシーンも少しだけ出てくる。
“Other Music”のドキュメンタリーと同様、あの時のあの場所を知っている人にしか伝わらないような、突然出てきた手紙のようなやつかもしれない。 けど別にそれでいいじゃん、って。
こないだの”The King of Staten Island”のThe Wallflowersあたりから火がついたのか90年代の割とどうでもいい寄りバンドをYouTubeでぐるぐる回しだしたら止まらなくなっている。レコードを持っているわけでもなくMTVでただ流れていただけだったのに結構覚えているもんだねえ。… Gin Blossoms, Third Eye Blind, Collective Soul, Spin Doctors, 4 Non Blondes, Semisonic, Goo Goo Dolls, Soul Asylum, Deep Blue Something, Sixpence None the Richer ... とかそんなの。自分は80年代の人だと思っていたしたぶんそうなのだが、この辺ならシンガロングも結構できるかも。(嫌いなのもいっぱいあったけどね)
Lockdownの間、ずっと閉まっていた最寄りの駅が今週になってようやく開いて、今日そこから地下鉄に乗ってみた。 地下のホームに降りるエレベーターは一台に4人までしか乗ったらダメって。 朝の通勤時なんてぜったい無理なので通勤あきらめる。
7.08.2020
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