18日、土曜日の晩、これもAmazon UKのSamuel Goldwynシリーズから見ました。
ここまでで1936年にWilliam Wylerが撮った3本、を見たことになる。
"Come and Get It”というタイトルだけだと、”If you want it, here it is ~”で始まるBadfinger、というよりThe Beatlesの、Paul McCartneyの曲(だいすき)が流れてくるのだが、これはEdna Ferberの同名小説 (1935)を原作にしたHoward Hawks & William Wyler監督、Gregg Toland & Rudolph Maté撮影、Alfred Newman音楽、というすごいメンツで作られた映画で、なかなかおもしろかった。
邦題は『大自然の凱歌』 .. セクハラ・パワハラ全開の人間ドラマなんだけど。そういうのも含めた「大自然」てこと?
19世紀のウィスコンシンの山奥は木こり産業が盛んで、一帯の木こり達を束ねる現場監督のBarney (Edward Arnold)は野心たっぷりで、"Come and Get It”っていうのは木こり達に「メシができたぞー、とっとと食べに来やがれー」っていう時にじゃんじゃん打ち鳴らしながらやる掛け声で、その声を合図に木こりは食堂に殺到して、みんな荒っぽいので小競り合いも起こるのだが、Barneyは強いのですぐにぼこぼこにやっつけて、丁度かつて相棒だったSwan (Walter Brennan)もやってきたので俺たち世界最強だな、って盛り上がる。
この後に当時の伐採のシーンがドキュメンタリー風に出てくるのだが、これの迫力がまあすごい。よくこんな勢いでやっていたねえ、ってあきれる。こうやってアメリカは..
で、ある日酒場で歌っていたLotta Morgan (Frances Farmer)のしっとりした歌声に痺れて、その後のよくある大乱闘 - この乱闘シーンの迫力がとんでもないの。Hawksとしか言いようがないの - を経て彼女に惚れて、結婚しようぜ、ってなって彼女も頷くのだが、直前になってBarneyは、俺はやっぱり出世と名誉がほしい、って元々あった彼のボスの娘のEmma (Mary Nash)との縁談を取ることにする。
それから数十年経って、Barneyは狙っていた通り会社の代表になって大金持ちで、息子のRichard (Joel McCrea)も後継ぎとして修行中なのだが、彼は父の無計画な森林破壊のやり方に異議を唱えたりしている。 ある日、Barneyは腰を痛めたという旧友Swanからの手紙を貰って、久々に彼のところを訪ねてみたら、Swanは彼が土壇場でふったLottaと結婚していて、Lottaは既に亡くなっていたのだが同じ名前をもつ娘のLotta (Frances Farmer - 二役)がいて、その姿がBarneyの面影にあるLottaそのものだったので動揺して旧友との再会どころではなくなる。 その日からBarneyはSwanの看病とか理由をつけてやってくるようになり、Swanに自分の会社の仕事を与えて、やがてみんなをBarneyの地元に、おうちからなにから手配して呼び寄せてしまう。
そうやって知り合ったLottaとRichardはだんだんよい仲になっていくのだが、Lottaをマジで愛するようになってしまったBarneyは当然おもしろくなくて…
途中までのフィルムを見たSamuel Goldwynは、Edna Ferberの原作が持っていた荒くれ共が富を求めて傍若無人に自然を破壊していく、という元のテーマがBarneyとSwanとLottaの三角関係の方に移っていたのを見てHawksをクビにして、”Dodsworth” (1936)のポストプロダクションに入っていたWilliam Wylerを呼びつけて脅して、仕上げろ、って。
なので後半のトーンは前半のそれとは明らかに違ってて、若い頃に出世のためにLottaをフった後悔と、その引き換えになんでもできる財力と権力を手に入れたものの、自分の家族はもう思い通りになってくれないし、でも若いLottaは尽くしてあげれば言うこと聞いてくれるかもしれないし、何よりもかつての自分の勢い(もう戻ってこない)を思い起こさせてくれるし、そういうのを通して自分をパパの友人ではなく恋人として見てほしいし見てくれるはずだし … みたいな中年男の気色悪い思い込みと妄想のひだひだ独り舞台が全開になって、それでLottaも含めて周囲がまるごと引いていく様のリアルな描写の惨さと哀れときたらWylerとしか言いようがないおもしろさなので、よいの。 ラストなんてほんといい気味だわ。
"Come and Get It”って、犬みたいにやってもだめよ、ってこと?
で、BarneyとEmmaが引退して旅にでるとまた”Dodsworth”みたいなのが勃発して..
Richardが父親に、紙を使った使い捨て紙コップ(病院とかによくある円錐型の)を提案して、即座に却下されるのだがあれってまだあるよね。Richardえらい。
週末、National Galleryにでも行ってみようかな(無料だけど事前予約要)、ってサイトに行ってみたら当然いっぱいだった。
午後から雨になったのでふて寝した。
7.26.2020
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