7.24.2017

[art] Photographs Become Pictures. The Becher Class

7月のアート関係つづき。

7/4

Picture This: the Music Photography of Sheila Rock

BarbicanのLibraryでやっていた展示の最終日、お昼休みに駆けこんで見た。(駆けこめば見れることがわかった)
Shiela Rockさんがパンク初期の頃から撮っていた写真の一部を、撮り続けて40年記念、てことで。
わたしは彼女の元夫のMick Rockさんとかゆーめー男性写真家(Bob GruenとかAnton Corbijnとか)がミュージシャンを撮った「ロックだぜ!」みたいなやつ(別に写真からロックが聴こえてくることを期待していないの)よか、彼女とかPennie Smithが撮った若者たちがぼーっとしているだけみたいな、淡いかんじの写真のほうが好きで、とても懐かしくみた。
まだ直毛だったころのRobert Smithとか、ClashもSiouxsie Siouxも、初期のモノクロは、静かにこちらを見ているのが多いし、少しあとの雑誌"Face"の表紙群のカラフルなかんじも、薄くて空っぽでよいの。 ひとりだけ日本人の写真が展示されてて、それは高橋幸宏さんでした。

私家版みたいなサイン入りの写真集”Punk+”かった。

7/12

Photographs Become Pictures. The Becher Class

11-12とFrankfurtに出張があって、帰りの日の午後にStädel Museumに行ったらやっていたのがこれ。
ほんとはもっと動きまわりたかったのだが、雨風がひどくて諦めた。

Bernd and Hilla Becherのふたりが70年代から90年代までDüsseldorf Art Academyで行った写真の授業 -  The Becher Class - ここを卒業した写真家の作品を纏めてみた展示。

http://www.staedelmuseum.de/en/exhibitions/photographs-become-pictures

展示されているのは師匠のBernd and Hilla Becherの作品に加えて、以下の門下生たち。 並べてみるとなんかすごいし、展示作品を流していくと圧倒される。

Volker Döhne, Andreas Gursky, Candida Höfer, Axel Hütte, Tata Ronkholz, Thomas Ruff, Jörg Sasse, Thomas Struth, Petra Wunderlich

絵画と写真は違って、絵画は自分の意図でコントロール可能(これが揺らいでいったのが近代)だが、写真には意図と関係ないものまで映りこんでしまう。 では3次元の被写体を2次元に落としこむ写真表現で写真家はどこまでその表象をコントロールすることができるのか、といったあたりに関わる - 「写真を絵画にする」技術を教えたのではないかしら、と推測できるのだが、実際の作品群はそんな簡単に括って総括できるようなものでは当然なくて、共通していそうなところでいうと、画面縦横の端から端までの均等均質なテクスチャーというかぺったんこ感、くらい。工芸品のような細部の緻密さとか。
あとは、全体に漂う冷たさ。 対象や風景が安易にこちらに寄ってくることを許さない、厳格な距離感、みたいのはどの作家からも感じた。Jörg SasseやThomas Struthは自分にとっては新たな発見だった。
どれも十分すばらしいので、べつに"Picture"でなくても、"Photograph"でもいいじゃん、とは思った。 カタログ買った。

ここに来たのは3回目で、ここの常設は大好きだしフライトまで時間があったので、ゆっくり見て回った。
地下の近代絵画のセクションで、出張の合間だろうか、背広を着た日本人の集団がいて、女性の学芸員(?)に日本語の作品ガイドをさせながら「いや、おれはこういうのわかんないんだよな、なあ?」とかやっている。 もう何回も同じような光景みてるけど、①出張の空き時間にこういうとこ来るのはいいけど、集団で来るんじゃねえ  ②モダンアートの前で声にだして「わかんない」とか言うな、それに周囲の同意を求めるなくそバカおやじ。 わかんないのはあんたがバカだからだ  ③何度でも繰り返すけど、わかんないなら、頼むから来ないでほしい。 邪魔だ。 いじょう。


7/16

The Encounter: Drawings from Leonardo to Rembrandt

National Portrait Galleryの展示。 こんなすごいのをなんで大した宣伝もしないでやってるのかしらここ。
タイトルのとおり、da Vinciから Rembrandtあたりまでルネサンスからバロック期あたりのドローイングが中心なのだが、da VinciもRembrandtも1点づつしかなくて、でも他の、Pontormo, Dürerとか、なかでもHans Holbein (Younger) の法廷の人々を描いたシリーズは問答無用ですばらしく、"The Encounter"としか言いようがなかった。 優れたドローイングって、描き手の対象に対する愛も、描かれる側のエモの機微も、すべて一望に露わにしてしまうんだなあ、とか改めて。
コレクションは女王陛下のものが多くて、いいのいっぱいあるんだねー、とか。

もういっこ、毎年恒例の"BP Portrait Award 2017" - これは無料で見れる。
貌を描く - Portraitの技術はここまで進化している、笑っちゃうくらいにすごい。

7/22

Raphael: The Drawings

で、National Portrait Galleryのを見てしまうと、こっちも見ないわけには、がOxfordのAshmolean Museumでやっているこれで、電車で、馬とか牛とか羊の間を抜けて1時間半くらいかけて行った。
同館所蔵のを中心にRaphaelのドローイングを120点。 我々のよく知る神の高みに昇りつめたRaphaelだけではない、同じモチーフをなんども試行錯誤して紙の隙間を埋めていく - でも最後はがっちり決める、みたいな魔法があちこちで起こっていてきょとん、しかない。
最後の、キメの調味料はなんなのでしょう、せんせい?

他のフロアもざーっと見た。 ヨーロッパ絵画は、教科書のようにすごくきちんと纏まっていた。

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