2.16.2017

[film] Hidden Figures (2016)

12日の日曜日の朝、観光みたいなかんじでThe WolseleyていうとこのArnold Bennettオムレツ(鱈の白身と卵の組み合せ、驚異的)ていうのを食べて、National Galleryをうろついて、Leicester Squareで見ました。

米国の師匠からも見たほうがいいよ、て言われていて、確かにおもしろいったら。

61-62年の米国、NASAはソビエトに一歩先を越された宇宙開発にやっきになっていて、特に有人の宇宙飛行(飛びあがって、戻ってくる)をなんとしても実現したくて、それをやるには軌道だの推力だの重力だのやったことのないような複雑な計算をする必要があって、それを裏で支えた数学が得意なAfrican-Americanの女性たちのお話。 実話ベースだという、知らないことばかりよね。

メインの3人はKatherine (Taraji P. Henson)とDorothy (Octavia Spencer)とMary (Janelle Monáe)で、特にKatherineは数学の腕を買われてエリートだらけの部屋に配属されるのだが、そこは白人の男性ばっかり、"Colored"が明確に区分けされていた時代なので、彼女は職場でまったく相手にされないし、コーヒーのポットも別にされるし、"Colored"のトイレに行くには半マイル遠くの別キャンパスに走っていくしかない。 Dorothyは自分が仕切っている女性チームのSupervisorになりたいしなれると思っているのだが、上司(Kirsten Dunst)がいじわるでしょっちゅうぶつかるし、Maryもいっこ上のキャリアを目指したいのだがそれには特定の学校の履修が条件で、なのにそこに”Colored”の入学は許可されていなかったり。

そこには職場の男女差別どころか人種差別の壁までもはっきりとあって、時代はキング牧師が登場して公民権運動が盛んになっていく頃、そして宇宙開発も含めて「敵」としてのソビエト連邦が明確になってきた頃、そういう内も外もダイナミックな時代の波の突端で、でもぜんぜんめげずに自分たちの実力を認めさせていく彼女たちのかっこいいこと。

Katherineの上にいるのがKevin Costnerで、なんでそんなに席を外すのか?て問い詰められてとうとう爆発した彼女の怒りに応えて、"Colored"と書かれたトイレのプレートを思いっきり叩き壊す- Kevin Costnerてこういう役やらすとほんとかっこいい - とことか、解析計算用にIBMの最新メインフレームを入れたのにIBMは線を繋いだあとちゃんと動かすことができなくて(ありがち)、図書館でFORTRAN(てしってる?)の本を借りてこっそり勉強していたDorothyが一発で動かしちゃうとことか、入学資格を求めて訴訟を起こしたMaryが法廷で判事に面と向かってかけあうとことか、痛快なシーンがいっぱいあるの。

同じ宇宙の、“Interstellar” (2014)に出てきた数式はとっても怪しいかんじがしたものだが、ここでKatherineが叩きつける数式はとっても切なく、切実なものに見えたりする。

クライマックスはもちろん、宇宙飛行士のJohn Glennを乗っけて宇宙に飛びあがったときの世紀の一大勝負で、発射直前まで検算が必要でばたばたで、戻るときもシールドが剥がれちゃったけどどうする、とか、そのへん、結果はわかっているにしても手に汗握るねえ。

音楽はPharrell Williams (& Hans Zimmer) 、爽快にかっとばすかんじがすんばらしいったら。

邦題は頼むから「xxxの方程式」みたいのやめてね。あと、プロモーションで「リケジョ」とか使ったらほんとに、まじで怒るからね。
これは男女差別と人種差別に果敢に立ち向かって戦った、われわれとおなじような職場で働く人たちのお話なんだから。 なんでもカテゴライズして蓋するんじゃねえよ。

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