1日、水曜日の15時過ぎ、予定通りにヒースローに着いた。
雨が降っていなかったのはよかったもののそれだけ、としか言いようのない半端に暗い陽気で、車でとりあえず3ヶ月間滞在するアパートメントホテルみたいなところに向かって、荷物をひーこらいいながら6階までひっぱりあげて、3ヶ月分の荷物を解いて広げて外に出てみるともう日が落ちてて、当面のシリアルとかミルクとか石鹸とかキッチンペーパーとか買いにでて、駅までの道を確認して、5年前に作ったOyster(PASMOみたいなやつね)がまだ使えることを確認して、やっぱしなんか食べておかないと、と近所にあったBritish Foodと書いてあるパブみたいなとこに入ってソーセージたべた。
このへん、つい比べてしまうのはやはりNYで、あそこで長期滞在のときも着いたときにやる動きはおなじようなものなのだが、いろいろ違うもんだねえ、と改めて思った。 町と町を比べるなんてできないし、意味ないものだとわかっているのだが、あそこで3ヶ月過ごすための必需品を備えるとなればそこらのDuane Readeでも入ればあっという間なのに、こっちのファーマシーのなんかしょぼいことときたら、Seventh Generationのいろんなのが恋しいよう。 といったところでしょうがないので、たんたんと暮らすしかない。世界のどこでもこんなもんよ。
おなじなのはあれ、歩行者が信号気にしないとことか。
2日からはお仕事で、久々の通勤地下鉄で穴のなかをするする抜けて乗り換えて、会社に着けば連れまわされて紹介されて紹介していろんな説明をきいていろんなのにサインして、お仕事っていうのはそういうもんよね、の外側をよくわかんないなりに一通りやってみて、午後は銀行に口座つくりにいって、ものすごいがっちりした迫力まんてんの担当おねえさんにあらあらあなたの誕生日はあたしのママと生年も含めてぜんぶおなじだわと言われて衝撃で口をきけなくなって(「でもだいじょうぶよあんた若くみえるわよ」)、そのあとで郵便局に滞在許可のカードを取りにいって、20分くらいかけて歩いて戻ったら別の会社に連れていかれてそのまま飲み会で、とにかく寝たい眠い早く終わって、しかないのだった。
ふつか目もだいたい同じでこんなふうに3ヶ月くらいあっというまに過ぎてしまうにきまってる。
来るときに機内で見た映画。
出張だとこれは帰りの便で、とか割り振ることができるのだが、今回それはできないのでがんばって3本みた。
ほーんとにさあ、日本の公開タイミングが遅すぎるせいで見れなくなりそうなのがいっぱいだわ。
「ペレグリン」なんて、こっちではもうDVDの宣伝やってるのに。
A Hologram for the King (2016)
「王様のためのホログラム」
冒頭でいきなりTalking Headsの”Once In A Lifetime”をTom Hanksがすべるように滑らかに歌ってて、あまりにはまりすぎ。彼の家庭はぶっこわれてて、仕事 - 3Dの会議システムの営業 - では上から突きあげられて追いたてられるように中東に出張に来て、王様の前でプレゼンしようとするのだが全てがどん詰まりでうまく行かなくて、王様がどこにいるのかすらわからないありさまで、誰かを捕まえようとしても見つからなくて、カフカのようにそれが毎日反復されて、そのうち、背中にできた瘤を取ってもらった女医さんと仲良くなって。
うまくいかないものはどこまでもうまくいかない、しかも/さらにどこにも行きようがない時、どうしたらよいのかしら、ていう問いに答える、といよりも例えばこんなふうにしたらこんなふうになったりして、というのを軽く差しだしてみせる。 Tom Hanksはこういうじたばたをやらせると本当にすごいねえ。
かんじとしては”The Terminal” (2004)に近いけど、あれよか好きかも。
原作はDave Eggersなんだねえ。 なるほどー。
Miss Peregrine's Home for Peculiar Children (2016)
『ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち』
フロリダの内気で変わった男の子Jake (Asa Butterfield)が奇妙な死に方をした祖父の遺言に沿って島に行ったら森の奥の崩れたお屋敷で変な暮らしをしている変な人たちと会うの。
単なるAdams Familyみたいなファンタジーかと思ったらぜんぜん違って、流れていく時間から自分たちを守ろうとするMiss Peregrine (Eva Green)と彼らを狙う悪い化け物たちがいるのと、1943年のナチスの脅威と、JakeとEmma (Ella Purnell )の恋と、彼の成長と、いろんなのが入り混じったてんこ盛りの作品だった。
流れていく時間に抗う恋、ていうのがひとつ、それを壊して別の永遠を手に入れようとする悪 = 全体主義(ナチズム)ていうのと、最後はそれでも恋は、ていうところに落ちるの。
そしてあたりまえだけど、恋は時間だけでなく正常とか異常とか、そういうのも超える。
悪い連中が永遠を手にするために目玉を抜き取る、ていうのとか、いろいろ象徴的なの。
Eva Green、いつもながらかっこいいねえ。
そして”Hugo”のAsa Butterfieldくんも。
最後のいろんな旅をするとこ、昔の大島弓子の漫画にああいうのあったよね。
Remember (2015)
邦題「手紙は憶えている」 - わけわかんないけど。
Zev (Christopher Plummer)が目覚めると老人ホームで、妻は亡くなったばかりで、同じとこに住むMax (Martin Landau) から俺たちにはやらなければならないことがある、と手紙を渡されそこに書いてある通りに行動するように言われる。
ふたりはアウシュヴィッツの生き残りで、70年前に家族を殺したナチスの生き残り - アメリカに渡って名前を変え、調べたところその名前の老人は4名いるはず - を探し出して殺せ、復習しろ、と。
そうだその使命があった、とZevは手紙を手にひとり旅に出るのだが、寝て起きると記憶がリセットされて妻がいないことに狼狽えてしまうので別の時間との戦いで、家族は当然要介護老人の失踪として追いかけてくるし、大変なの。
テーマ的には「ペレグリン」と繋がっていた。時間のループの外で(或いは中で)生きようとする者のあがきとそこに関わってくる戦争の記憶と。
衝撃の結末、ということなのだが、途中でなんとなくひょっとしたら.. になってきて、あたった。
“50 First Dates” (2004)の老人/極北版、かも。
ああ週末が行ってしまうようー。
2.06.2017
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