2.24.2017

[art] Wolfgang Tillmans: 2017

キューが溜まりすぎてきゅうきゅうお手あげの美術館関係。 見た順で。

Australia's Impressionists
12日の朝、National Galleryでみました。「オーストラリアの印象派作家たち」
オーストリアならわからないでもないが、オーストラリア? で、印象派?  砂漠と岩と海しかないじゃん、ひといないじゃん、とか思ったのだが、割とちゃんとしていて、確かにふつうの風景画よりは印象派ぽい意匠がないこともないかも。
展示そのものは小規模で、4人の作家 - 一部は英国からの移住組で、なんで印象派か、というとヌーヴェルヴァーグがカメラを路上に持ち出したのと同様、カンバスを屋外の光の下に持っていったから、ていうあたりの同時代性とかそのへん、らしい。 あと、オーストラリアで創作したあとでヨーロッパに渡って印象派の画家たちと交流した、とかそういうのも含めて。

Jane Austen  Among Family and Friends
19日の朝、Plum + Spilt Milkていう素敵な(名前がさいこうね)レストランで朝食をたべて、そのあとでBritish Libraryに行って見ました。
オープンが11時で、15分前に着いたら開館待ちのものすごい行列があったのでびっくりして、あーさすがだねえ、て納得して。
ここにはTreasures of The British Libraryていう無料のお宝展示コーナーがあって、そこの一角(全長4mくらい)でこの日まで特別展示をしていたのがこれ。
Jane Austenの最初期の創作ノート - "Volume" - の3冊実物とか、父の死を知らせる手紙とか、彼女が病死する6日前の手紙とか が並んでいて、本物だわ、ていうただそれだけなのだが、本物を見るのはだいじなのよ。彼女のような作家がほんとうに実在して、どんな部屋でどんな光のもとでどんな顔をしてこれらの紙に向かってペンを走らせていたのだろうね、って浮かんでくるようだから。

Robert Rauschenberg
19日の日曜日の午後、Tate Modernで見ました。 RauschenbergはNYにいるとWarholとおなじくらい犬・歩・棒の状態で、企画展にグループ展に常設展示に、どこにだって家具のように置かれているし、記憶に新しいとこだと97-98年にGuggenheim Museumで回顧展があったし、05-06年にMetropolitanで大きめの展示があったし、ここのはそれらに次ぐ規模の、というかGuggenheimのよかきちんと網羅されている気がした。 最初期のわけわかんない実験くんから、組み合せ、とか、メディウムとか材料とか、そういうのを意識しつつだんだんに面倒だったり収拾つけられなくなったりのほうに肥大して(中心が空洞化して)いくところは今から見れば60年代抽象芸術の典型、かもしれないけどよくやっちゃったもんだねえ、とか。 いっこいっこじっと見るタイプのものではなくて、ぱらぱら漫画みたいにして見るくらいで丁度よいのでは、とか失礼なことを。

彼らって絵画芸術そのもの、というより絵画を鑑賞するそのやり方・意識も含めて変えようとしたのだから、それらをびっちり凝縮させたこういう展示では、こっちもふつうの絵画を見るような見方じゃいけないと思うのよね。 せめて走る、とか、逆立ちする、とか。

Wolfgang Tillmans: 2017

RauschenbergとTate Modernの同じフロアの反対側。 こちらはタイトル通り、2017年時点の、現在進行形のTillmans、といったようなざっくりした展開で、いま手元にあるものをざーっと端から並べてみました、いいから見ろ寄ってこいていう焦燥感というかひりひりした切迫感がある。 こないだの国立国際美術館での”Your Body is Yours”の方がテーマも含めてずいぶん暖かかったかんじはして、どちらがこの作家の本質かというと間違いなくこっちではないか。

ものすごい高解像度の工芸品(made in Germany)みたいな大判の作品、あるいは詳細なデータでもログでも、記録として残されることを期待されたぺらぺらのモノや表象たちが孕む危険性 - 取っておくことの危険性、消されてしまうことの危険性、でも結果的にどこかに(必ずどこかに)残ってしまう危険性 - 写真(的にドキュメントされるなにか)としてある、というのはこのゴミのトライアングルのやばさのなかに身をおくことで、ねえ、わかってる? て醒めた目で聞いてくるかのようで、そのへんの冷たさが抜きん出ているところが他の作家とちがうところなのかも。 (例えばRyan McGinleyのどこまでも無邪気なことったら)

彼、3月あたまにパフォーマンスなんかもやるみたいなので注視しておきたい。

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