20日の晩、Parliament Square(国会前ね)でTrump渡英断固阻止集会 - Stop Trump があって、Billy Braggさんから「ぼくは行けないけどみんな行ってくれ」と言われたので帰宅の途中だし行ってみた。 地下鉄のWestminsterの駅を出てすぐのとこで、Big Benの時計台をあんなに間近で見たのは初めてだったのでわーってびっくりしつつ、いろんな人たちが棒のついたプラカードを持ってけ、ていうかんじで配っていて(ゴミになるので受け取らず)、とにかくいろんな人のいろんな声を聞いた。 他国の大統領の話だし、一時滞在している他国のことではあるのだが、自分も広義の移民だと思うし、差別も壁も、あんなやりかたも断固容認することはできないので声はあげる。日本の首相もあの腐れブタも身の毛がよだつくらいだいっきらいだ、と何度でもいう。 集会の雰囲気は日本の国会前とおなじように暖かいし笑いもいっぱいあって、いろんな立場の人が次々といろんなスピーチをしてて、Trumpの(立場にいる奴らが)しでかしたことの重さ、愚かさを、彼らの怒りがどれだけ切実なものかを改めて身にしみて感じた。 あと、ちゃんと発言の場所が確保されていることの余裕とか、警察の対応はこっちのが100000倍ましでしたわ。
で、そのBilly Braggさんの名曲"Greetings to the New Brunette"でも歌われているShirleyさん(別人よ。こっちは81歳よ)のライブに、17日の晩、行った。
場所はBarbicanで、時間は19:30とあって、"Fifty Shades Darker"のあとShake Shackでバーガーを食べてから地下鉄で向かって、19:35くらいに着いたら始まっていたので天を仰いだ。 始まっていたといっても、前座というか、ステージ前方の講義台に大学教授みたいな威厳たっぷりのおじいさんがいて、彼の紹介でいろんなミュージシャン - 彼女のバッキングをする人たちを含め - がソロかデュオで歌と演奏の腕前を順番に披露していくのだった。 このへん- アイリッシュ・ブリティッシュフォークの人たちの楽器の技量ってふつーにすごいのだけど、それ以上にすごいのはみんなまず歌う、歌があることなの。大きな声で朗々と歌って、声が届いてなんぼみたいな。何人か出てきた女性はとくに声がすばらしくきれいに響いてうっとりするしかない。
だいたい各自2曲くらいで次に替わっていくのだが、最後にでてきたのがGraham Coxonさんで、万年浪人みたいなぼさぼさしょぼしょぼの恰好だったがギターも歌もちゃんとしていて、見直した。 1曲目、ギターがアンプに通ってなかったのは愛嬌だったけど。
20分の休憩のあとで本編、彼女が昨年38年ぶりにDominoからリリースした"Lodestar"の演奏。ステージ後方に横並びで8人、Shirley Collinsさんもその真ん中にちょこんと紛れている。
"Lodestar"は彼女がその長いキャリアのなかで収集した英国や米国のフォークソング - 古いのは16世紀のも - を彼女の自宅で録音しつつ歌いこんだもので、ステージ前方の壇上でさっきのおじいさんが曲の内容や成り立ちや説明して、曲が始まると自分も演奏の列に加わる。 背後のスクリーンにはそこで歌われている土地や風土や伝承を記録した映像やスライドが流れていく。
"Lodestar"は一聴するととっても地味な民謡みたいに聴こえるかもしれないが、聴けば聴くほどじわじわ沁みて、ここ一か月くらい離れられない謎の盤で、一曲目の"Awake Awake..."の最初の弦の一音から魔法としか言いようのない時間が現れては消えていって、でも彼女の声はずっとそこにあるような。すごい声とか歌唱とか、そういうのではなく、でもずっとそこに漂う。 曲によっては彼女自身がその曲を収集したときのエピソードを語ってくれて、そうやって継がれてきた歌の運命とか不思議さを思うと目がまわる。 38年ぶりの録音で400年ぶりくらいに蘇るフォークソングって。 その間、そこで歌われていた精霊だの魂だのは、いったいどこにいたのだろうか。 彼女、Alan Lomaxと一緒にアメリカで音の収集もしていたんだねえ。
曲によってはステージ前方でMorris Danceのひとたちが入って舞って、あーこれがMorris Danceなのかー、て初めてライブでみて思った。 日本だと盆踊りとか獅子舞みたいなものかしらん。 あの衣装、一回くらい着てみたいかも。
それにしても、柳田國男や宮本常一にはちっとも来ないのにこっちのケルトのとかウェールズのとかにやられてしまうのはどうしてなのか、それを言うなら洋楽も洋画も海外文学もそうなのだが。
それにしても、今年に入ってからのライブって、toddle → PJ Harvey → Alessandra Ferri → Dagmar Krause → Sacred Paws → Shirley Collins とずうっと女性にぼこぼこにされていて、べつにそれでぜんぜんよいの。
2.22.2017
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