4.06.2026

[log] Paris - Mar 21 2026

パリ一泊の続き、3月21日、土曜日のことを少し。

Musée de Cluny - Musée national du Moyen Âge

クリュニー中世美術館は、パリの美術館の中でもずっと大好きな場所なのでちゃんとお別れしたいな、だったところにたまんない企画展示がくっついていた。

LICORNES !

もともと『貴婦人と一角獣』のタペストリーで有名な館でのユニコーン特集。古代の木彫のからイッカクの角を使った装飾、彫刻、近代の絵画まで、点数はそんなにないが、ユニコーンの特異な容姿に人は何をこめたり現したりしてきたのか、そして全体として悲劇的なトーンが感じられてしまうのはどうしてか、など。 手塚治虫の「ユニコ」はやはりないのだった。

階上の通常展示の方、イタリアの方をいろいろ周って、現地のクラシックなキリスト教美術に触れた上で接すると改めてなにやら迫ってくるコレクションになっているのではないかと思って、タペストリー以外のも含めてじっくり見てみればなんとすばらしいこと、になって抜けられなくなる。

Leonora Carrington

Musée du Luxembourgで見ました。フランスでは初となる彼女単独での回顧展とのことで、126点出ている。Carringtonは数年前に出た彼女のタロットを集めた画集ではまって、その前からRemedios Varoと並んで追ってはいたのだが、纏めて見たいとずっと思っていた。

あと、あまりきちんと想定はしていなかったのだが、↑のクリュニー美術館の中世美術とユニコーンからの流れの見事なこと(自画自賛)。 歩いていける距離なのでこれから行く人は是非(Carrington → クリュニーよりはこっちで)。

テーマ別、年代別の構成だったが、彼女が思春期の頃に出会ったイタリア古典美術やルネサンスへの傾倒から晩年のシュールレアリズムへと至る流れが極めて自然に説明されていくようで、そうするとユニコーンなんてとても架空の生き物とは思えなくなってきてしまうし、他の生き物たちだってたんに絶滅危惧種としてその辺で少し見えにくくなっているだけなのではないか、とか。

CarringtonからRenoirへ。Musée d'OrsayのRenoir展は、2018年の”Renoir père et fils:  Peinture et cinéma”(単独というより父子展)以来だと思うが、今回のは大規模改修前のお蔵出しというかんじだろうか(実際にはお蔵出しを遥かに超える規模だった)。この展示だけ入口もいつものとは別で、川沿いの道をずっと歩いたところから入る。

Renoir dessinateur

企画展示は2つあって、Renoirのデッサンを集めたものがこちら。彼の丸かったり温かかったりするあの面や空間たちがどんな線の重なり、連なり、濃淡、くしゃくしゃから生まれていったのかを並べてみせる、という興味深い企画。既にほぼできあがっているようなパステル画や水彩画から、落書きのようなスケッチから線描まで、創作の秘密、というよりもあれこれ書き散らしたりしつつ、こうやって纏めて固めていったのか、というのがわかる。 というか、シンプルになにこのかわいいの? になるという。それらを嬉々として描いているのがもしゃもしゃしたおっさんである、というとこだけが少し。

Renoir et l'amour  - La modernité heureuse (1865-1885)

『ルノアールと愛』。Renoirの活動の初期20年間に絞って、彼が描いた「愛」や「幸福」をテーマにした企画展示。

『デッサン展』での試行や習作がどんなふうに彼の目の奥に火をつけ、それが極彩色の「愛」として画布の上に結実していったのか、がわかる、というか、オルセーの収蔵品だけではなく、ワシントン - 『舟遊びをする人々の昼食』(1876)やボストン - 『ブージヴァルのダンス』 (1883) - などからも来ていて、そしてここに150歳を迎えるオルセーの『ムーラン・ド・ラ・ギャレットの舞踏会』 (1876)が加わると、ちょっととんでもないというか、絵巻物のようなドラマに溢れていて、これらを貫いて司る「愛」とは... などとつい考えてしまいたくなるような、そういう密な空気に溢れているのだった。その空気のありようって、そこらの「印象派展」に必ず数点は添えられているルノアールのプランターに植ったような品のよい可愛らしさ、なんてものではなく、獰猛で猛々しく迫ってくるものなのだった - 「印象」なんて柔いものでもなく。

この『愛』の展示は、今年後半にロンドンのNational Galleryにも行くようで、でも『デッサン』展の方までは行かないのだとしたら、オルセーでやっているうちに両方見といた方がよいのかも。

図録は両方の展示で2冊あって、でもそれまでにユニコーン!のとCarringtonのも買ってしまっていたので、1冊だけにした - のをちょっと後悔している。どんなに重くても船荷に突っ込むだけなんだから買っちゃえばよかった。

この後は、午後2時くらいまでゆっくりオルセーの他の展示を見て、朝から十分お腹いっぱいになったので本屋を数軒回って、いつものLa Grande Épicerie de Paris - バターなんて買うもんか - に寄って帰った。

今回Sold outしてて諦めたのはJeu de PaumeでのMartin ParrとLa Galerie DiorでのAzzedine Alaïa's Dior Collectionだった。くやしい。

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