1月24日、土曜日のマチネをRoyal Court Theatreで見ました。
同シアターの70周年を迎えるシリーズのオープニングを飾る作品。
インスタで流れてきた予告だと、男女のどたばたコメディのように見えたのだが、とても重いテーマを扱っていることをシアターに入ってから知る。場内にはContent Guidance and Warningsの張り紙がある。 確かに人によっては重いテーマかも。
原作は(俳優でもある)Luke Norris、演出はJeremy Herrin、1時間35分(休憩なし)のShe (Rosie Sheehy)とHe (Robert Aramayo)によるほぼふたり芝居。
最初は妊娠20週目の超音波検査にやってきた夫婦の会話で、ふたりはおそらく日々の会話そのままのノリで、生まれてくる子の名前について、候補を並べつつ冗談を言ったり小突きあったりしながら結果を待っている。彼はおしゃべりで陽気で、放っておくといくらでも喋っているようなタイプで、彼女はそんな彼を巧みに統御しつつ時折感情を爆発させて黙らせる、そういうパワーを持っている。 いつもそうなのであろうふたりの会話のテンポは卓球のように速く緩急自在で、喧嘩のように声を荒げることはあっても、いつもこんなだから、っていう安定感のようなものが軸にある、そんなふたり。
全体は6つのシーンから構成されていて、最初の病室からふたりだけの寝室まで、シーンごとに中の建付けはがらりと変わるが、暗いなか、その暗転と共にふたりの姿だけ、その思いだけがぽつんと浮かびあがるようなデザインになっている。
ネタバレにならざるを得ないが、テーマは若いカップルが経験する彼らの子の(思いもしなかった)死産と、その悲しみ辛さがどんなふうにやってきて、それをふたりは、ふたりでどう乗り越えるのか、等。 まったくの偶然だけど前日の晩が”I Do”という結婚式当日のドラマだったのと、この日の夕方に見た映画 - ”The Chronology of Water”にもそういうシーンが出てきたので、なんなんだこれは… に少しだけなった。
子を失った悲しみ、その表し方は男女それぞれで当然違う。それぞれがあなたには/君にはわからないだろうけど、と言いながら互いと自分の両方に向かって感情を爆発させて、どれだけ爆発させても相手に響くことはない。彼女は、これはわたしの身体のこと、このおなかで起こったことだ、前と後で自分の体は変わってしまったんだわかるか? といい、そんなのわかるわけないけど、こっちだって辛いに決まってるだろ、って命懸けの口喧嘩、みたいになって、どっちも折れない。折れたところでどうなるものでもないし、どう収拾をつけるのか、つくようなものなのかもわからない。けど、それをぶつけることができる相手は目の前の彼と彼女しかいない。
当然ながら、カップルによってその痛みの重さ、受けとめ方から立ち直りまで、それぞれだと思うものの、この舞台で描かれたふたりについては、思ってもいなかった事態に向きあい、押し寄せる怒涛の悲しみと混乱を引き受けつつもふたりの受けた痛みの重さ、その総量をダイレクトにぶつけ合い、ぶつけあうことで互いを確かめていく(しかない)過程がむき出しで生々しく描かれていて、辛いけど目を離せなかった。
どちらが正しいとか、どちらが勝つとか負けるとか、そういう話ではなく、でもぶつかって吐き出さないことには次に進めない、そんな話をシーンごとに少しずつトーンを変えて解していく。
最後、どうやって終わるのだろう、って思ったが、そうかー って。 改めてタイトルを振りかえるの。
2.03.2026
[theatre] Guess How Much I Love You?
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