2月9日、月曜日の晩、Richmond Theatreで見ました。
Richmondって、ロンドンからは電車で1時間くらいかかるくらい遠くにある場所なのに、Orange Tree Theatreとかこれとか、なんで素敵な劇場があったりするのか?
Royal Shakespeare Companyの制作で昨年Stratford upon AvonのSwan Theatreでプレミアされたのがキャストを替えて英国中のツアーを始めて、それがロンドンに来て、ロンドン公演は一週間だけ、英国ツアーの後は、Queen Mary 2のクルーズに乗りこむんだって。
原作はW. Somerset Maughamの同名戯曲(1926)- 1929年にはアメリカでWilliam Powell主演、”Charming Sinners”のタイトルで映画化されている - 翻案はLaura Wade、演出はTamara Harvey、ジャジーでラウンジ―で素敵な音楽はJamie Cullumのオリジナル。 舞台は淡い幾何学模様の壁紙から淡い照明から風にゆらぐカーテンまで、ものすごくおしゃれな一軒家のリビングで、冒頭に執事Bentley(Philip Rham)が現れて、ピアノをじゃんじゃか鳴らしてからドラマがはじまる。
36才の主婦Constance Middleton (Kara Tointon)は医師のJohn (Tim Delap)と結婚してだいぶ経っても幸せそうで、颯爽と誰の心配もいらないふうに暮らしているように見えて、最初の方の母(Sara Crowe)や妹Martha (Amy Vicary-Smith)とのやりとりもコミカルで揺るぎなくて、将来にわたって何の不安も心配もいらないかんじであることがわかるのだが、そのうち - 気づいていたのかいないのか、親友Marie-Louise(Gloria Onitiri)と夫が不倫関係にあることを知り、家に乗りこんできたMarie-Louiseの夫Mortimer (Jules Brown)がわめきたてたことで、夫の嘘や裏切りが決定的に晒されてみんなお手上げ、になってしまう。
お話しはそれを知ったConstanceの揺らぎ、失望や怒り、あるいはどん底からめらめらの復讐やリカバリ、立ち直りにフォーカスしていくのかと思いきや、ぜんぜんあっさりさばさばとひとりで生きていくためにインテリアデザインの職を身につける - その準備を1年くらいかけて着々と進めて行って、それによって却ってじたばたする周囲の愚かさ、いろんな恥ずかしさが露呈していく、その工程を描いていって、そこにおまけのように献身的な恋人Bernard (Alex Mugnaioni)まで付いてくるので、いろいろご心配頂きありがとうー、って爽やかに旅立っていくConstantなConstanceの肖像を描いてかっこよいったらない。
経済的自立がすべて、誰にもやりこめられない、のようなやり方を貫いてとにかく感情に流されない/訴えない、誰の味方もしない、そういう地点から時間をかけて自分を磨いていくと、結局は周りに誰もいなくなっちゃったり、みたいな人間関係における乾いたシニカルな認識 - 原作者Maughamの時代にはちょっと皮肉に映ったかもしれない女性のありようが、今の時代だったらどんなふうに見えるだろうか、という実験? これが皮肉でもなんでもなく極めてまっとうで健全に見えてしまう、というのは一体どう捉えるべきなのか?
お勉強とか備えとか、そんなのやる余裕すらない、とかその間も一緒に暮らしたりしているんだろうし、実際のところは? とか横から意地悪く突っ込まれそうで、でも少なくともこの舞台のConstanceの態度にはブレとかなくて、あたふたするのは周囲の方で。
とにかくConstanceを演じるKara Tointonの颯爽としたしなやかさが突出していて、彼女が約100年前の舞台の世界にいることが勿体ない、そればっかりだった。
2.18.2026
[theatre] The Constant Wife
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