2月14日、土曜日の昼、Curzon Bloomsburyで見ました。
イラク/カタール/アメリカ映画で、原題は“Mamlaket al-qasab”。
作・監督はこれがデビューとなるイラクのHasan Hadi。Executive ProducerにはChris ColumbusとEric Rothの名前がある。昨年のカンヌのDirectors' Fortnightでプレミアされて、Audience AwardとCaméra d'Orを受賞している。
90年代初、サダム・フセインの独裁政権下のイラクで、国民の祝日であり国民全員が彼の生誕を祝わなければならない日に向けて、学校の教室のクジで、彼の誕生日のケーキを焼いて持ってくる係(でもそれを食べるのは先生)に当たってしまった9歳の少女Lamia (Baneen Ahmed Nayyef)がいて、こんな光栄なことはない、ってみんなは言うのだが、そんなわけあるか、って口には出さないけど彼女の顔は言ってて、でも拒否したり持っていかなかったりすると罰せられるのでしょうがない。祖母Bibi (Waheed Thabet Khreibat)と雄鶏のHindiと一緒に湿地帯の脇の家で暮らす彼女は、家に帰ってBibiにそのことを言うと、Bibiはぶつぶつ言いながら卵、小麦粉、砂糖、のリストを作ってくれて、では材料を買いに行こうと車に乗せて貰ったりしながら町にでる。でも町で最初に入った家で、Bibiがそこの女性と里親の相談らしきことをしているのを聞いて、たまらずそこを飛びだして、町でスリとかをしている同じ教室のSaeed (Sajad Mohamad Qasem) – 彼もクジで外れてフルーツ担当にされた - と一緒になってケーキを作る材料を集めはじめるが経済制裁下なので調達は容易ではない。
これだけだとの世間知らず怖いもの知らずの子供ふたりのほんわかしたサバイバル冒険話に見えてしまうし、自分も軽くそんなものか、と思っていたのだが実際にはとても暗くて重い – Lamiaの将来についても、家族についても、この先幸せになれそうな要素なんて欠片も出てこないし、どこに行ってもサダム・フセインの肖像だらけで、なんなのこいつ?になって落ち着かない。そんな心配が山のように溢れてくるなか、Saeedに助けられたりしつつ粉を探していくと、Hindiがどこかに消えてしまったり、Bibiが動けなくなってしまったり。
どこの町にも良い人はいるし悪い人もいるし、サダム・フセインみたいに、なんであんなに祭りあげられて騒がれているのかわからない人もいるし – それくらいの知識でもって人混みを渡って大人たちとケーキの材料の交渉をしていかなければならないLamiaとSaeedの不安ときたらとてつもないだろうと思うし、自分がBabiの立場にあったらその倍たまらなくなると思うし、Babiはきっとそうなっているだろうなと思うだけでいたたまれなくなるし、要はサダムがどう、という以前に、ここで生まれた不安と感情の渦の広がりに胸が痛くなるばかり。
で、こういう子供(冒険)映画の定番として、必ずどこからか頼りになれそうなおじさんおばさんが現れてどうにかしてくれる、という流れがあったりして、この映画でも実際そういうところもあるのだが、戦時下なので最後までどうなるかわからないし、実際にあの終わり方には目の前が真っ暗になる。 けど実際のところだと、あんなふうだったのだろうな、と思う。90年代初のイラクで子供時代を過ごした監督の発言などを読んだりすると。
Lamiaを演じるBaneen Ahmed Nayyefの素人のすばらしさを讃えるのは簡単だが、それ以上に、あんな世の中だったら、演技だなんだ以前にあんなふうに子供たちを縛ったり凍りつかせたりしてしまうであろう寒々しさのことを思ってしまう。
タイトルの『大統領のケーキ』の後に続くのは「のために犠牲にされる子供たち」なのか。
さいごにネタバレになってしまうが、オンドリはぶじ、ということだけはー。
2.24.2026
[film] The President's Cake (2025)
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