2月12日、木曜日の晩、Southwark Playhouse Boroughで見ました。
脚本はMona Mansour、演出はブロードウェイのMichael Greif、ミュージカルで歌詞とスコアをアメリカ人のHannah Corneauが書いて4人編成のバンドがライブでバッキングして、アンサンブルの2人はコーラスも兼ねる。90分間、休憩なし。
舞台は暗い倉庫のようなアーカイブのなかで、ファイルや本や書類が山積みになっている2階建て、そこにScottie (Lauren Ward)がひとりで現れ、父は44歳で亡くなって、母は47歳で亡くなって、今日、48歳の誕生日を迎えるわたしは父母の亡くなった歳を越えてしまった!って嘆いたり叫んだりするとどこからかZelda Fitzgerald (Amy Parker)とF Scott (David Hunter)が蘇って、ふたりの出会いから先を歌って踊って綴っていく。
音楽は当時(1910-20年代)のジャズ等を使うわけではなくて、ずっと極めてプレーンなポップス・ロック調で主にZeldaが中心で歌って、ScottもScottieもソロを取る場面もあるが、やはりメインはZaldaの歌。18歳で地元アラバマのMontgomery Country ClubでScottと出会ってから盛りあがっていく恋、そこにScottの作家としての成功が加わって、奔放かつ最強のパワーカップルが生まれていくところ、やがてScottieが生まれて、ふたりの関係が壊れていって... という史実として知られているところをなぞりつつ、やはり中心は歌いあげるZelda、それを背後で見ているしかなかったScottieの嘆息、ということになるだろうか。
“This Side of Paradise”や”The Beautiful and Damned”といったScottの小説名が曲に織りこまれていたりもするが、文芸ドラマとしてはあくまでも控えめで、Scott自身が歌う場面も何かを訴えたり押しだしたり、という場面は殆どなくて、ふたりの関係の破綻についても、ScottによるZeldaの書いたものの盗用とか、精神病院に送ったり、の虐待に近い史実については十分に掘り下げられていなくて、強いふたりの個性がぶつかった帰結のような – すべてはどうすることもできなかった、なトーンで、真ん中と最後に歌われる”Call It Love”として貫かれていて、それを恋と呼ぶのであれば、そりゃなんでもそうなっちゃうよね、なのだった。
タイトルの”Beautiful Little Fool”はZeldaがScottieを産んだ時に呟いた言葉で、後にScottが” The Great Gatsby”で引用したりしているのだが、すべての女の子に”Beautiful Little Fool”であってほしいと願ったScottとあの時代のアメリカの男たち、それに対する毒なり批評なりが少しはあるかと思ったのだが、結局あのときの愛はほんものだったー 程度で終わってしまっているのはどうにも残念だしおめでたすぎるし、父母の歳を過ぎてしまったScottieも、せっかく資料庫にいるのだから改竄するくらいの勢いで何かを見つけ出して叩きつけてくれてもよいのに、結局思い出に溺れてしんみりしたまま終わってしまう。
ふたりが20年代、欧州で過ごした日々のことは、Gertrude Steinの肖像が舞台の袖に置かれて少しだけ出てくるのだが、『優雅な生活が最高の復讐である』のテーマにフォーカスしてZeldaに思う存分語って歌って暴れてもらう、という構成にした方が内容的にもおもしろくなったのではないか。
3人のアンサンブルは歌も含めて固まっていてうまいし楽しくて、でも個人的にはZeldaを壊して潰したのはScott、くらいに思っているので、このトリオネタでそんな楽しいミュージカルになるわけが… という違和感がずっと残ってしまうのだった。
2.21.2026
[theatre] Beautiful Little Fool
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