2.11.2026

[theatre] Into the Woods

1月29日、木曜日の晩、Bridge Theatreで見ました。

音楽Stephen Sondheim、脚本James Lapineによるグリム童話のマッシュアップ・ミュージカルで、初演は1986年、2014年にはRob Marshallによって映画化されている(もちろんDisneyで)。

演出はJordan Fein。 ビジュアルはずきんを被った赤ずきんが暗闇のなかに浮かびあがっている像で、これだけだとホラー映画のように見える。

上演前の舞台には黒幕が掛かっていて、それが開くとでっかい木 - 背後は深そうな森の闇、そこに普通の会社員みたいな語り部のおじさん(Michael Gould)が現れて何かを語ろうとするが、次々と現れては消える魔物 – というより変な人たち、そしてどこからか流れてきて全員がそのメロディに飲みこまれてしまう歌に圧倒されて、魅せられているうちに、森の奥に迷いこんでしまう。

パン屋(Jamie Parker)とその妻(Katie Brayben)が父親の罪によって掛けられた呪いを解くためにシンデレラの靴、ラプンツェルの金髪、赤ずきん(Gracie McGonigal)のコート、そして豆の木Jack (Jo Foster)が大切にしていた乳白色の牛 - Milky Whiteなどを集めなければいけないのだが、みんなそれぞれいろいろ抱えて這いずりまわっているので、誰かが何かをしようとすればするほど、いろんなのが出てきて事態は錯綜し、混沌は深まっていく、そんな森のなかへようこそ。

グリム童話の世界の根底を流れている家父長制や伝統的な魔女魔物に対する無意識の恐怖とか放擲とか服従とか敵意とか、最終的には自身の運命を受けいれることを呪いとして表にだして歌にして茶化したり、森の表面(表舞台)の反対側 - 森の奥の暗闇で行われていることを示さずに、そこを抜けてきた連中がどんなやつらか – 現れるのみんなほぼ変態だったり– を示して楽しい。

キャラクターとしてはお馴染みのばかりなので、善いやつ悪いやつくらいはわかるのだが、お伽噺の線が入り混じって錯綜していくなか、単純な善い悪いなんて言えなくなって、Wolf (Oliver Savile)もWitch (Kate Fleetwood)も、誰もがいろんな事情や悩みや呪いを抱えて森を抜けてきていることが見えてくる。なんでこうなっちゃうんだろう、って頭を抱えて考え始めた個が、そうやってばらばらになった”I”が”We”になることに気づいた時、そこには歌があることを知った時、など。

あれだけのキャラクターをわらわら裏に表に出してかき混ぜて、その呟きをSondheimの歌が拾いあげて、ひとつの幹とか森に撚りあげていく、そのプロセスの複雑さを思うと森のなかで方向感覚を失ったようにくらくらするが、楽しい歌と音楽はとにかくそこにあって、重ねられていくことでひとつの森を形成しようとするかのよう。Sondheimの魔法っていうのはこれかー、って初めてわかったような(おそい)。

人を悪い方に変えてしまう象徴的な筺としての森に、存在そのものが象徴として継がれてきた御伽噺の主人公たちをくぐらせてみると、どんな変態が生まれて何を歌い出したりするのか、というびっくり箱の仕掛けというか。

キャストのアンサンブルも見事で、パン屋夫妻はもちろん、Jackを演じたJo Foster (they/them)、赤ずきんのGracie McGonigalの輪郭の強さが印象に残った。あと、Jackが抱えていたMilky Whiteのぬいぐるみが異様にかわいくてとても欲しくなった。なんで売店で売ってくれないのだろう…

映画版も公開時に見たけど、個々のキャラクターとストーリーラインを正直に追っていくので、今回のような森の奥の闇の恐ろしさ、脅威を見せつける、そういう迫力はなかったような。

あと、このシアターはものすごく音がよいのだが、今回は森の奥で響く轟音が雷鳴のようにすさまじく、客席で飛びあがっている人が結構いた。

近い将来、改変版で誰かがトトロを加えたりしないかしら?(ヒトじゃないとだめか..)
でもこの劇の森とトトロの森はちがうよね。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。