4.11.2022

[film] Shadow in the Cloud (2020)

4月3日、日曜日の夕方、シネクイントで見ました。
監督はRoseanne Liang、脚本は彼女とMax Landisの共同- 書き上げたところでLandisがセクハラ告発されて監督が仕上げた - のニュージーランド/米国映画で、83分。

2020年のトロント国際映画祭で”People's Choice Award for Midnight Madness”というのを受賞している。清々しいくらいにジャンクで、でも言いたいことがきりっと詰まったB級もので、この辺、映画が投資ビジネスに近くなった昨今の、フランチャイズでもなくNetflixでもAmazonでもない、こういうのにがんばってほしいな、っていうのもある。

冒頭、戦時中の公共広告(PSA)様式のカートゥーンが流れて、空にはグレムリンっていう悪いことをする化け物がでるので要注意ですよ! とかいわれる。

1943年、ニュージーランドのオークランドに駐留する米軍基地で、サモアに飛ぼうとしていた軍用機 - “The Fool’s Errand”- 「バカのお使い」に四角い箱型のカバンを抱え左腕に三角巾してやややつれたMaude Garrett (Chloë Grace Moretz)が極秘任務の書類を携えて現れる。同機の荒っぽくてやる気なしのクルーはそんなの聞いてないしあんたに命令される覚えも権限もない、ってあしらうのだが、書類やサインは本物のようなので、仕方なく乗せることにするが、座る場所はないから銃座に座っていな、って狭いとこに彼女を押し込み、大事な荷物だけは、唯一まともそうだったQuaid (Taylor John Smith)が預かる、というので手渡す。

飛び立ってから、両手両足の自由が利かない銃座に閉じこめられた状態で上の機内にいるクルーたちの会話を聞いてみれば、ものすごいセクハラ、ミソジニーまみれの中学生レベルの戯言くそ話にまきこまれて、いい加減にしろよ、ってブチ切れたところで足の下にゼロ戦が現れてどうする? になるのと更には翼の下のところで配線を齧ったりなんかやっている図体は大猿 - 顔はネズミかコウモリで羽があってなんも考えてないふう - こいつがグレムリン? - が目に入り、手元の拳銃で撃ってみたり、とにかく放っておけない/なんもしなければ墜落、みたいな事態が想像されてー。

で、それを機内の連中に報告しても当然のように信じて貰えず、そもそもお前だれだ? 本当のミッションはなんだ? って問い詰められて、大切に持っていたカバンの中身を見られてしまう。で、この荷物はやばいだろう… ってなったところでそれ以上にやばいグレムリンとゼロ戦が示し合わせたように襲いかかってきて、混乱のなか銃座はずたずたになって足場はぶっ飛んで、クルーもひとりまたひとりとやられていって.. (そらみろ)。

という、足元すら覚束ない空中で ①戦争の敵方と、②味方のはずなのに執拗にいじめてくる奴と、③その向こうで知らないけどちょっかい出してくる獰猛な奴、の三者と繰り広げられる”Die Hard” & “Alien”なサバイバルゲームで、その中でぜったいにやられるわけにはいかないMaudeはどんなことがあってもぜったいにやられなくて、そのあまりの滅茶苦茶な曲芸や玉突き展開においおい、って笑ってしまったりもするのだが、それくらい真剣なんだから黙れ、って彼女はいうにちがいない。

正義は勝つ、っていうのと同じ正しさと強さでもってフェミニズムは勝つのだ - 正義だから、ということについて、彼女があの荷物とああいう旅をしなければならなかった過去の経緯も含めて、違和感はない。 というか説得力は十分にあって、それはエンディングでこの映画を捧げられた女性兵士たちの映像を見てもうんうん、てなる。

そしてそこまで行ってから改めて、あの野獣みたいにやらしく執拗に絡んできた下等なグレムリンとは何だったのか、の正体 - そのグロさがわかって、最後のMaudeの行動も台詞もぜんぶ腑に落ちて、かっこいいな、って。 結局どこまでも追っかけてくるさいてーなやつだったぜ。って今の我々に向かって語る。

続編は”Shadows in the Cloud”で、Maudeが新たな任務を担って飛ぶことになるのだが、積荷のなかにはギズモが紛れていて、グレムリンがグレムリンズ、になって襲いかかってくるの。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。