3月30日、水曜日の夕方、Tohoシネマズの日本橋で見ました。邦題は『アンビュランス』。「救急車」でいいじゃん..
2005年のデンマーク映画 - “Ambulancen” (未見)- のリメイクで、元のは76分の低予算映画だったのを、Michael Bayがステロイドをぱんぱんに打ち込んだメガ盛りの136分のにビルドアップしていて、驚かない。ものすごく見たいやつでもないのだが、たまにこういうの(ってどういう?)を見て頭をからっぽにしたくなる、これはこれで病気の類のあれだとおもう。
冒頭、白人の男の子と黒人の男の子が仲良く遊んでいる回想のような絵がでてくる。
それと、救急車に乗りこんだ救急隊員のCam (Eiza González)が事故にあった女の子に現場で応急処置を施して励ましながら病院まで運ぶところ – 正義感が強くて頼もしいかんじ。
現代のLAに暮らすWill (Yahya Abdul-Mateen II) はアフガンからの帰還兵で、乳飲み子を抱えた妻の手術費用をなんとかするためいろんなところに電話をしても埒があかなくて気が変になりそうだったところに義兄弟 - 冒頭のふたりの少年はWillとDannyだった - でワルのDanny (Jake Gyllenhaal)から電話を受けて、今から30分後に銀行強盗をやるけど来ないか、と誘われる。本当はやりたくなかったけど、妻と家族のことでどうしてもお金が必要だったので渋々参加することにする。
ぜんぜんスマートじゃない銀行窓口からの現金強奪が銃撃戦 – “Heat” (1995)の100倍しょぼい – になり、パトロールで居合わせた警官のZach (Jackson White)が撃たれて負傷して、Camの乗った救急車が呼ばれて、Zachを車に乗せたところで陰に潜んでいたDannyとWillが滑りこんでハイジャックして、救急車だから戒厳令状態の現場からうまく抜けて街中に飛び出す。Zachは殺してしまってもよかったのだが、人質にできそうなのと警官を殺してしまうと刑が重くなるので生かしておく。Camは最初なんとか自分だけ逃げようとするのだが、Zachの危険な状態を見て車内に留まることにする。
ここから先は”Speed”よろしくノンストップでひたすら爆走しようとする救急車 – LAを知り尽くしているWillの運転の腕 - とそこに乗せた重傷患者 - 一刻も早くERに運ばないとやばい - の一進一退と、捕まえるのはちょろいだろとなめてかかっている警察のトライアングルの駆け引きで、すぐ決着もつきそうな気がしたのだが、逃亡工作でDannyが父の代から世話になっている地元のラティーノギャング団に分け前をちらつかせて助っ人を頼んだり、Dannyの大学の同窓で彼の行動パターンを知るFBIが横から入ってきたあたりからぐじゃぐじゃに転がっていくの。
そこらにたくさんある段差とか小競り合いでいちいちぎくしゃくするので、ジェットコースターで転がっていくスピード感とカタルシスには欠ける(小爆発 → 大爆発にはあんましならず)ものの、CamがやばくなったZachへの応急処置で、Willからダイレクトに輸血するとか、ゴルフ場で遊んでいる専門医をリモートで繋いで脾臓を引っ張りだすとか、ギャング団とのやりとりがタランティーノふうの内輪もめに捩れていくところとかは少しおもしろい。
Michael Bayにしてはキャラがきちんと描き分けられている気もして、医師を志していたのに挫折したCamの熱さとか、忠義に篤いWillとか、でもやっぱしDannyだけは、ものすごく周囲から怖れられているわりにはなんも考えていないしょぼさがあって、なんでこんなぼんくらのためにこんな大騒ぎにー にはなってしまうかも。
CGとか一切使わずにどこまでも即物的に - 故にガキのまぬけさがあって、なので実際に起こってもおかしくなさそうな隙 - リアリティ? - に満ち満ちている、というあたりは賛否かも。で、これが90分で纏まってくれたらなー、とか思う反面、それだとMichael Bayにならないよね、とか。
最後の最後に救急車が、おまえらいいかげんにしろや、ってオートボットにトランスフォームしてくれるのを期待したのだが、やっぱしそれはなかった..
音楽はふたりがぶっちぎっていくところで流れて一緒に歌うChristopher Chrisの”Sailing”のあたりが浮きあがっててよかった。
あのわんわんがどうなったのか、ちょっと気になる。
4.06.2022
[film] Ambulance (2022)
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