4.12.2022

[film] Fantastic Beasts: The Secrets of Dumbledore (2022)

4月8日、金曜日の晩、109シネマズの二子玉川で見ました。 ※ ふつうにネタバレしているかも。

“Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald” (2018)に続く、シリーズでは3つめのお話し。もともとこれってHarry Potterのよりはもう少し軽い、ファンタスティックな妖怪やもののけがいっぱい出てきて大騒ぎする、そういう楽しいものになると思っていた。のだが前作はものすごくダークで政治的な方に振れてその結果はとても苦くて、『帝国の逆襲』を見たあとのような戸惑い(『帝国..』がよくないというのではなくて単に勝ち負けのとこ)が残った。そういうやつの後のなので、今度のはきっとだいじょうぶかも、って思ったらやはり悪くなかったかも。

原作と(共同)脚本はJK Rowling、監督はずっとおなじみDavid Yatesで、前作までいたJohnny Deppは降板している。これだけじゃなくてJK Rowlingはしょうもない差別発言を続けているし、公開直前にEzra Millerは暴行で逮捕されているし、コンプラ的には問題だらけのぼろぼろで、それでもわたしは「キャンセル・カルチャー」なんてものを持ち出して公開〜見ることの是非を語ったり迫ったりするのはすごく愚かなことだと思う。

こんなにも魑魅魍魎とか変態にまみれた物語を編んできたJK Rowlingが、なんであんな差別発言ばかり繰り返すのか、配役でもダークサイドにいるJohnny DeppやEzra Millerはどうして実際にもあんなことをしてしまったのか、きちんと見て考えてみる必要がある。もちろん、加害の規模や程度によっては見る価値のこれぽっちもないゴミ作品があることも確かだけど、「キャンセル・カルチャー」の「カルチャー」の括り方ってほんと雑でばっかみたい(一時期の「買ってはいけない」とおなじかんじ)だし、こうした「カルチャー」の扱われ方にはずっと文句を言ってきたし、言っていきたいし。

1930年代、中国の桂林の山奥でNewt Scamander (Eddie Redmayne)が探検の果てに動物を探し当てる – そいつが麒麟 – Qilinで、彼の到着を待っていたかのように子供を産んで、そしたらGellert Grindelwald (Mads Mikkelsen)が差し向けたCredence (Ezra Miller)たちに襲われて母親は亡くなり子供は連れ去られる。(連れ去られた後に麒麟は双子だったことがわかる)

牢屋に入っているGrindelwaldの今後を巡ってAlbus Dumbledore (Jude Law)が語るところによると、彼とは若い頃に強い愛 - 血の絆で結ばれてしまったので、どうしても憎んだりできなくて、その絆を断とうとすると大変なことになるのだ、とか言われてそいつはやばいぞ、って。

そんなことを言っているうちにGrindelwaldはベルリンの牢獄からなぜか出されて、魔法使い連盟のトップを選ぶ選挙に出るとか言っているので、それを阻止すべくNewtと兄Theseus (Callum Turner)とLally Hicks (Jessica Williams) – かっこいい – とまだQueenie (Alison Sudol)に未練たらたらのJacob Kowalski (Dan Fogler)とかが集まって、ふつうに計画を練っても察知されるから奇襲作戦で行こうぜ、っていう捕物劇みたいなやつ。

で、後半は選挙をめぐるごたごたで逮捕されてしまったTheseusの救出から選挙が行われるブータンの山奥に向かって、選挙キャンペーンと陰謀論の作られかた、がGrindelwald組の内部に潜入したYusuf Kama (William Nadylam)の目で明らかにされ、さらわれて亡霊にされた麒麟の子 - ちゃんとした人の前に跪く - がうまい具合に利用されてGrindelwaldが選ばれようとしたその時に..   

というメインの流れに、一作目からずっとかわいそうな子だったCredenceの出自が明らかになって、でもその時に彼はもう弱りきっていて、とか、マグルなのになぜかこの戦に呼ばれて巻き込まれたJacobのQueenieへの片思いはどうなるのか、とか。

ファシズムの勃興と大戦に向けた人間界のうねりは魔法使いの世界でもこんなふうにどす黒く覆っていた(あるいは逆に.. )、ということなのだが、今はウクライナの件があるのでMads Mikkelsenのつるっとした面の皮がプーチンのそれのようにしか見えなかったり(前作はトランプだったし)。

まだ続いていくらしいこのお話が大戦を経てどうやってLord Voldemortをめぐる血の物語に繋がっていくのか、暗いものになることはわかりきっているので映画だけをじっとり追っていくことにしよう。

Jacobが暮らすブルックリンの通りのとこ、いいなー。雪の上に足跡が残っていったらもっとよかったのに。
“Big Heart”をもつJacob - Dan Fogler - はあとちょっと枯れてきたら志村喬みたいになると思う。

コスチュームはみんな素敵なのだが、特にDumbledore - Jude Lawの着る緑色、いいなー。ぜったい無理だけど。

今回も動物たちはみんなかわいかった。あれらを図鑑構成にした偽ドキュメンタリーを見たい。ぜったい当たるから。

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