4月7日、木曜日の晩、Netflixで見ました。126分。
日本語字幕があまりにしょぼいので途中で英語字幕に切り替える。あんなんでいいの?
Judd Apatowの”The King of Staten Island” (2020)に続く新作で、目の前にいるおもしろ哀しい変な人物にフォーカスして、そのじたばたした愛(?)だの成長(?)だのを描く人情噺ではなく、大昔にドリフがやっていたようなぐじゃぐじゃどたばたアンサンブルコメディになっている。笑えるかどうかは微妙、というか、今求められているお笑いなんてこんなもんじゃろ、ほれ、みたいな目線がある気がした。 ノリとしては”Tropic Thunder” (2009)あたりのに近いかも。
フランチャイズのアクションホラー大作 – “Cliff Beasts”シリーズの最新作 “Cliff Beasts 6” – 製作費1億ドル - がキックオフされてパンデミックの下、隔絶された英国の古城ホテルにスターたちが集まってくる。迎えるのは英国人プロデューサーGavin (Peter Serafinowicz)に、監督はiPhone6で撮った作品でサンダンスで賞を獲った(のが自慢の)Darren Eigen (Fred Armisen)。その他のキャスト - 登場人物は、落ち目であることを自覚してやや焦っているCarol (Karen Gillan)、元夫婦で自意識過剰のLauren (Leslie Mann)とその反対ですべてがどうでもよくなっているDustin (David Duchovny)、スピリチュアル系宗教にはまっているSean (Keegan-Michael Key)、セックス狂のDieter (Pedro Pascal)と彼がつきまとうホテルの受付のAnika (Maria Bakalova)、演技経験はゼロだがTikTokで1億2千万のフォロワーがいる18歳のインフルエンサー Krystal (Iris Apatow)、Krystalと友達になる(あとで取っ組み合いの大げんかをする)アシスタントのCarla (Galen Hopper)、彼方のスタジオでぶいぶい言ってるエグゼクティブのPaula (Kate McKinnon)、などなど。 彼らにカメラを向けているだけで十分に変てこなものが自動でできてしまうであろうことはわかる。
これらの面々が、撮影となればグリーンスクリーンをバックに逃げたり走ったり叫んだりぶちかましたり – Beastをやる側は緑の着ぐるみを着てずっと宙吊りで、誰かがひとりでも羅患すれば全員2週間ホテル隔離になって、ドラッグ漬けになってみんなで踊って、そんなのの繰り返しでもともとおかしいのが更に病的におかしくなって伝搬していく。Covid-19の隔離政策で用いられた”Bubble”という言葉が映画撮影の隔離された現場下で、肥大化した自意識とか過剰な被害者意識とかただの変人とかが防衛したり攻撃したりする蓑のように用いられて、だれもなにもコントロールしない/できない事態になだれこんでいくのだが、それがどんなに酷くなっても、それ自体がバブルのなかなのだしー。
もともと映画製作の現場なんて古今東西、変人の巣窟魔窟で碌なことが起こらないし変なことが起こって当たり前よ - って映画のネタにされてきたものだから、そんなもんと思ってしまえばよいのか。あるいは、そのありようがなんでもCGとか過剰なコンプラ縛りとかCovid-19とかで特異に変容してきているということなのか、でもそれってSNSでコミュニティや人間関係のありようが変わってひともおかしくなった、っていう(ほんとか?)言いっぷりと同じようなもんなのだからそんなに面白い話でもないよね。
というようなことをいろんなスケッチを重ねて好きなように撮っていったら126分になってしまっただけ、のような。個々のエピソードや俳優はそれぞれにおかしい - Pedro Pascalなんて最高 – のだが終わってみると後になんも残っていなくて、それってたぶん“Cliff Beasts”を見た後とおなじだよね。見たことないけど。
なんでこいつはここでこんな行動に走ったのか、というのを固定で追っかけていくなかで見えてくるバカでしょうもなくて、でもなんか愛おしい人間(模様)への距離感覚がディスタンシングとバブルで狂って捩れて、その結果映りこんでしまったあんなものこんなもの。 こんなふうになったとしても、撮る撮らないでいうと、やはり撮るのだ、ってJudd Apatowはいう。そして、こんなのでも - こういうのこそ見たいかんじではあったの。
James McAvoyとかDaisy RidleyとかBeckとか、カメオも中途半端に豪華だったり。
あと、Galen Hopperって、Dennis Hopperの娘さんなのかー、とか。
音楽は “Donnie Darko” (2001)のMichael AndrewsとAndrew Bird (!) 。
Kate McKinnonは”Yesterday” (2019) でも同じような役柄だったよね。
とにかくはやく“This Is 40” (2012)の次のを見たい。
4.13.2022
[film] The Bubble (2022)
登録:
コメントの投稿 (Atom)
0 件のコメント:
コメントを投稿
注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。