1.12.2020

[log] Budapest

2日のパリ日帰りから1日おいて、4日から5日、1泊でブダペストに行ってきた。
これでやや長めの年末年始の休みはおわり(おかげで仕事始まりの一週間はめちゃくちゃきつかった)。
なんでブダペスト? というとまだ行ったことなかったから、程度。 ヨーロッパのいろんな都市も行けるときに行っておかないとねえ。 でも、都市とか言っても、行くのはほぼ美術館ばっかしだねえ、と思っていたらここのふたつのでっかい美術館の主な収蔵品が大勢日本に行ってしまっていることを知る。とほほ。 なら月末に日本でも見ればいいんだろ、って。 
(やっぱりウィーンの方にすればよかったかな、って少し)

街のまんなかをドナウ川が通っている、片側がブダ、片側がペスト、くらいしか知らないのは失礼だと思ったのでお城のまわりを歩いてまわる2時間くらいのツアーに入って、ちょうどNational Galleryの前まで来たのでしれっとツアーから離脱して美術館に入った。もう暗くなりかけだし寒かったし。

Magyar Nemzeti Galéria

↑ これがNational Gallery。ハンガリー語は他のヨーロッパ言語とぜんぜん違うと聞いたのだが、たしかに。
ふたつ特別展をやっていた。

Forsaken World. The Art of István Farkas (1887-1944)
出版社の一家に生まれ、第一次大戦に従軍して、20年代のパリで画家として成功してハンガリーに戻るもナチスのユダヤ人狩りにあって家族を殺され自らのアウシュビッツに送られてしまった、あまり幸せとは言えなかったかも知れない画家の回顧展。 パリ時代のころころ移ろっていく作風もよいが、ムンクのような淡いペシミズム -少しの希望も - が全開になっていく晩年の画たちが痛ましい。

"I am an Artist of the World…” Philip de László (1869-1937)
このひと、英国の画家だと思っていたらハンガリーの人だったのね。とてもよい意味できれいに並べられた素敵なお菓子のような貴族みんなのポートレート。

これ以外には、ハンガリーの画家の常設展示もよくて、楽しみにしていたMunkácsy Mihályの絵画は(日本に行っているのを除いても)結構あってうれしかった。『あくびをする徒弟』(1869) とか「自分の娘たちに失楽園を書き取らせる盲目のミルトン」(1878) とか、映画の一場面のようなドラマを見せてくれるの。有名な“Ecce Homo” (1896) はないのかしら、って探したらあれは別の美術館(Déri Múzeum)にあるのだった。
あと、ハンガリーのナビ派の作家のいくつかもよかった。

Szépművészeti Múzeum
↑ これが国立西洋美術館。5日の午前中に行った。 特別展はふたつやっていた。

Rembrandt and His Pupils: Drawings and Etchings from the Collections of the Museum of Fine Arts
2019年はレンブラント・イヤーだったので収蔵品を改めて振り返る、という企画か。 油彩が一枚 - レンブラントのママ、とか、農村の子供 - いつも柔らかい- が出てくる風景とか、よかった。

Rubens, Van Dyck and the Splendour of Flemish Painting
ルーベンスのでっかいのを中心に17世紀のオランダ絵画を総括する。
レンブラント・イヤーの前年はルーベンス・イヤーでもあって、ウィーンの美術史美術館のルーベンス展で見たものも結構あったのだが、改めて、あの頬っぺたたちは永遠に最強のものだわ。

3階まである建物も素敵で(National Galleryのほうもそうだった)、常設の目玉はラファエルの『エステルハージの聖母』くらいだったのだが他にもすばらしいのがいっぱいで、だいたい早歩きで2時間くらい。

戻りの飛行機までまだ時間があったので地下鉄とバスでブダ側に渡って前日のツアーで説明を受けたマーチャーシュ聖堂 - 「聖母マリア聖堂」に入った。 今のおおもとは13世紀に建てられたものだというが、ハンガリーの歴史を通してその持ち主はいろんな変遷を辿り、直近の第二次大戦も含めて何度も破壊されて修復されて、を繰り返してきている、と。装飾が天辺までびっしり。ブダペストって、どこに行ってもハプスブルク帝国とオスマン帝国による支配の話は出てくるので、次のときはちゃんと歴史を学んでから行きたい。

あと、5日の朝食でとっても豪華だときいたNew York Cafeにも行った。NYではぜったいありえないぎんぎんで、でもただのCafeなのだが単にほんとに豪華、ってだけだったかも。ご飯はなにこれ? くらいにしょぼかった。 ポルトのMajestic CaféとかプラハのCafé Savoyにはちっとも及ばないかんじ。

そうそう、ブダペストの映画といえば、”The Shop Around the Corner” (1940)があるわけだが、あの舞台となったお店があるところ - ”Andrassy street on Balta street”を探してみたのだがなくて - Andrassyはあるんだけど ..  名前とか変わってしまったのかしらん。

できればもう一度、もう少し暖かい季節に。

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