1.17.2020

[film] Twentieth Century (1934)

9日、木曜日の晩、BFIの見れば見るほど好きになるCarole Lombard特集で見ました。『特急二十世紀』。

監督Howard Hawks、脚本Ben Hecht and Charles MacArthurによる”Screwball Comedy”というジャンルを語るときに必ず初期の一投として教科書に出てくる問答無用のクラシックなの。このトリオは後に“His Girl Friday” (1940) っていう速射砲掛け合いトーク劇の大傑作を作っているのだが、その原型とも言えるやつかも。

上映前にQueen Mary University of Londonの先生からExtended introとしてCarole Lombardの生い立ちを含めた紹介があった。(Screwball Comedyってなに? の講義はまた別にあったのでそれはそのうち) 小さい頃からスポーツが得意でLAに引っ越すと映画産業がすぐそばにあったのでオーディションとかいろいろ受けたり(チャップリンの”The Gold Rush”を受けたら落とされたって)、地元のチャールストン大会ではJoan Crawfordがライバルだったとか、いろんなエピソードがあって。でもほんとうにみんなに愛される素敵な人だったみたい。

ブロードウェイで泣く子も黙る大御所演出家のOscar Jaffe (John Barrymore)がいて、新作の稽古では周囲の懸念を押し切って大根のMildred Plotka (Carole Lombard)を主役に据えて鍛えあげ、結果劇は成功して彼女はLily Garlandという名のスターになり、ふたりは一緒になってヒットを連発していくのだが、そのうちLilyは彼の過干渉が嫌になってハリウッドに行くっていなくなり、Oscarは行かないで、っていうのだが止められずにずるずる落ちぶれて、やがてシカゴからNYに向かう特急電車にLilyが乗り合わせていることを知ったOscarは... 

男女の立場や身分の境界がある時ある出来事をきっかけにころりとひっくり返ることで起こる悲喜劇の渦 – ま、だいたい喜劇 - をすべてぶっとばして止まらない列車中の劇として、周囲には変な鈍行連中ばかりを配置して収拾つかない逃げようのない状態にまで持っていって、でも気がつけば終点に着いている、という驚異の芸当。 最後まで沸騰しっぱなしのJohn Barrymoreの演技も、「体当たり」っていうのはこういう演技をいうのだと思うCarole Lombardの錯乱 – リハーサルの際、HawksからもBarrymoreからも思いっきりブチ切れろやっちまえ、ってさんざん言われてああなったのだそう -  も、中も外も超特急だもんだから気持ちいいったらないの。

Nothing Sacred (1937)

10日、金曜日の晩に見ました。『無責任時代』。上映は35mmのテクニカラー。
これまだ見たことないやつ、と思っていたら既にシネマヴェーラで2回も見ていた..

監督はWilliam A. Wellman。脚本はBen Hecht(Cosmopolitan誌の短編をもとに)。

冴えない新聞記者のWally (Fredric March)がへまをして窓際の訃報セクションに飛ばされて、最後のチャンスをくれ、ってそこに置いてあった地方紙に載っていたラジウム中毒であまり生きることができないHazel Flagg (Carole Lombard)を指さし、彼女の地元に飛んでみる。そこは変なひとばかりの町で、彼女の中毒って地元のいいかげんな医者の誤診だったのだが、崖っぷちのWallyはうまく切り出すことができないHazelをピックアップしてNYに連れてきて悲劇の主人公としてシリーズで紹介すると大騒ぎになる。 そうなると実は病気ではありませんでした、なんて言えなくなって..  そういう懸念の反対側で、当たり前のようにWallyはHazelを好きになってしまい…

見どころは最後のほうのビンタ合戦の他にもいろいろあって、彼女が川に落ちたあとで恋にも落ちてしまう瞬間 - 消防服を着せられてうっとり、のところはすごいよ。あと彼女の地元に行った際に、いきなりWallyの腿に噛みついてそのまま去っていく子供、とか。

Nothing Sacred - 聖なるものなんてなにもない、ことがじゅうぶんわかる世界なのだが、そんなことをしでかした彼女はと言うと聖なるものとしか言いようのない勝者の輝きに溢れかえっているので、お手あげとしか言いようがないの。

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