6.08.2019

[film] The Farewell (2019)

2日、日曜日の晩、Sundanceの最終日に見ました。
舞台はほぼ中国(長春市)で、中国語での会話も多いけど、A24配給による米国映画。

冒頭、”Based on actual life event”と出て、NYに暮らすBilli (Awkwafina)が中国にいるおばあちゃんのNai Nai (Zhao Shuzhen)といつものように元気? とか電話で話していて、でもおばあちゃんのいるところは病院でなにやら検査を受けているらしい。

その後の両親(在NY)との会話で、おばあちゃんが末期ガンにあって長くないようなので、Billiのいとこの結婚式にあわせて自分達は中国にしばらく行くから、というのでBilliはそれなら自分も連れていって、と請うのだが、ダメ、と言われる。理由を聞くと、中国ではガン患者に対して末期の告知をしないし、おばあちゃんにもしていない。おばあちゃんは自分の病気を知らないのにそういうのがすぐ顔に出るあんたが行くとばれちゃうでしょ、って。Billiは最期がわかっているのに本人に伝えないのって嘘をついているのと同じじゃないかおかしいよ、と反発するのだが、アメリカはそれがふつうだけど、中国ではそれをやることで気落ちして亡くなってしまうこともあるの、だからふつうは伝えない、と言われてううむ、って。(日本にもこの事情はあるしわかるし。最近は違うのかもだけど)

でもBilliは応募していたフェローシップの審査に落ちてしまったがっかりもあって、両親には告げずに後からひとり中国に飛んで、おばあちゃんを含む家族と再会する。 再会するとあーあー、っていうくらいありあり顔に出てしまい、それがえらくおかしいのだが、横のいとこを見ると彼の方がもっとひどく顔に出ていて..

そこから先は、結婚式の準備に追われて忙しい家族親族と、その先頭に立って楽しそうに孫の式に向けて指揮をとるおばあちゃんと、その様子を見れば見るほど複雑に落ちこんでいくBilli(まだ本人に告げるべきなんじゃないかと悶々している)とおばあちゃん、更にその周りの親族のやりとりやじたばたを追っていって、いよいよ笑いと涙まみれの結婚式の日がやってきて..

結末というかオチは書きませんけど、基本は家族のどたばたコメディで、おかしいところはいっぱい。 でも人によっては自分に起こったことと照らしていろいろ思いだして泣いてしまうのでは(←自分。ボロボロ)。

でも邦画だと山田洋次とかがやりそうな(← 見てません。偏見です)べたべたに泣ける/泣きたい人に向けて泣かせたい人が作るような、そういう湿度と粘度のタッチはなくて、どこまでも乾いていて、だからこそちょっとしたハグとか目が合うのを見ただけで決壊してしまう。 これはラブコメだったけど、“The Big Sick” (2017)のトーンにやや近いかも。

それにしてもさー、自分のときはNYと日本だったけど、距離が隔たっているのってほんとにつらかった。そういう、どうすることもできない距離感とかもどかしさがとても細やかに描かれていて、その隙間に挟まってくるスズメなんて絶妙すぎて。

Awkwafinaさんが女優としてもすばらしいことは昨年の”Ocean's Eight”でも”Crazy Rich Asians”でも十分わかっていたが、ほんとにいいの。こういう人いるし、喋りの間合いの見事なことときたら。

上映後は監督のLulu WangさんのQ&Aがあって、これは監督自身の家族に起こった実話なのだが、結末に絡む驚愕のオープン・イシューが明らかになって、ざわざわした。
あと、おばあちゃん役のZhao Shuzhenさんは本国では有名な昼メロドラマ女優さんで(どうりで..)他もみんなプロの役者たちなのだが、おばあちゃんの妹役だけは監督のおばあさんの妹さん(素人)がそのまま演じていて、最初は嫌がっていたけど、周りがみんな有名な人たちなので喜んでいた、って。

この日の昼間には恒例のサプライズ上映もあったのだが、なにを上映したのかをSNSとかで広めるのはもうちょっとだけ待って、とヒースローから直行した監督たちもお願いしていたので、まだ書かない。 タイトル言ってよくなったその時になってもまだ内容憶えていたらー。

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