6.06.2019

[music] Liz Phair

4日の晩、Islington Assembly Hallで見ました。 立ち見はしんどいので2階の椅子席で。

はじめに昔話をすこし。

もう紙では発行していないVillage Voice紙の音楽年間ベスト - Pazz & Jopの93年のポールでLiz Phairの"Exile in Guyville"がトップになったのは当時としてはなかなか衝撃的な事件で、それに押されるように、94年の4月8日、The Academyていう(NYの、今はもうない)ライブハウスに彼女のライブを見にいったの。前座はThe Raincoats – drumsはSteve Shelley – で、The Raincoats初めてだったしそちらの方が嬉しかったりもしたのだが、曲間でAnaが少し悲しそうに静かに「Kurtありがとう.. 」って言って客席がざわざわしたことを憶えている(当時はネットもそんなになかったし、その日の午後、Kurtの遺体が発見されたことを知らない人も多かったみたい)。

幕間にはAD/DCが流れて、真っ赤なタイトスカートで登場した彼女は、愛想ふりまくわけでも不機嫌になるでもなく、Kurtって誰? みたいなかんじで淡々と演奏して去っていった。
自分が”Alternative”をはっきりと意識しだしたのはこの辺りから。 これが25年前..

その次に見たのは彼女が”Liz Phair” (2003)を出した後のツアーで、Bowery Ballroomで、新曲の方はみんなほぼ、しーん、なのに"Exile in Guyville"からのセットになると大騒ぎしていたのが印象的だった。

そして昨年出た”Girly-Sound To Guyville: The 25th Anniversary Box Set”は決定盤、必携のすばらしさで、ようやく時代は彼女のものになったんだわ、って。  いじょう昔話おわり。

要するにあれから25年(あーあー)経っちまったことを記念したツアー”Girly Sound To Guyville”。
椅子席は無指定なので早めに行って前の方の席を取ったので前座から見ることができた。
Annabel Allumていう女性のギター中心のトリオで、メガネにおかっぱでつなぎ着てて、音はややブルージーなガレージで、どかどか、そんなに巧くはないけどとっても好きな音だった。

Liz Phairは20:30きっかりに始まる。ギター(ぜんぶ、ずっとエレクトリック)は彼女を入れて3人、あとはベースとドラムスだけで、”Supernova”からゆっくり昇っていく。そもそもぶちかましてがつん、みたいな楽曲ではないのでへらへら笑いながら進んでいくのだが、それでも“Never Said”とか“6' 1"”の盛りあがりはすごくて、みんな歌いまくり(鼻歌で歌いやすいしね)。

彼女の音って所謂Girl’s Rock/Punkの正史からはちょっと外れたもの – それは例えばThe Raincoatsがちょっと外れている、ていうのと同じような – だと思うのだが、その異物感が3台のエレクトリックギターの絡みでもって一回転してすばらしいギターロックに変貌していた。ぺったんこで軽くラジオみたいにかちゃかちゃ流れていくのが元の曲たちの魅力でもあったのだが、ギターのフックがところどころで効いて、”Soap Star Joe”のイントロなんてえらくかっこよくスリリングで、Liz Phairの音でこんなにびっくりしたのってこれまでなかったかも。

ステージから一度も引っ込むことはないままたっぷり約1時間半、本編を”Extraordinary” 〜 “Why Can’t I”で締めた後、もうひとりのギターとふたりだけで最初期の(デモに入っている)”Ant in Alaska”と”Explain it to Me”を静かに歌いかけてから、バンドを入れたアンコールは当然の”Fuck and Run” ~ “Divorce Song”。

「ファックして逃げろー ファックして逃げろー、17歳だってかまうもんか~」こんな歌を地声でさらさら歌ってへへん、てやった女の子がいたんだよ、25年前だけど。

そして90年代Girlyへの旅は来週にも。たまたまだけど。

0 件のコメント:

コメントを投稿

注: コメントを投稿できるのは、このブログのメンバーだけです。